4. 年金月額とあわせて考えたい、介護や終活のリアルな費用

ねんきん定期便やねんきんネットで将来の年金見込額を確認しておくことはとても大切ですが、豊かなセカンドライフを思い描くには、それだけでは不十分かもしれません。

家族の介護・看取り、親族の相続を多数見てきた立場からお伝えしたいのは、「想定外の出費」に対する備えのたいせつさです。

総務省が公表した「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、75歳以上の後期高齢シニア夫婦(無職世帯)では、年金などの社会保障給付を中心とした収入に対して消費支出等が上回り、毎月約2万7000円の赤字が生じています。

さらに、加齢に伴い介護が必要になれば、この赤字幅は一気に膨らむ可能性があります。

ちなみにLIFULL介護の試算(※)では、生涯で介護に必要な金額はおよそ「2300万円」にのぼると試算されています。

また、認知症を発症して施設に入居する場合の費用や、墓じまいなどの終活にかかるお金も意識しておく必要があるでしょう。

だからこそ、現役時代のうちに「ねんきん定期便」で将来のベースとなる年金見込額を把握し、そこから不足するであろう生活費や介護費用などを逆算しておくことが求められます。

※2026年6月18日公表。要介護状態で自宅で1年過ごし、有料老人ホームに5年入居する想定で試算

5. まとめにかえて

今回は最新の統計データから、女性の厚生年金受給額の実態や、老後に向けたリアルな備えについて考えてきました。

月額15万円以上の厚生年金を受け取る女性は約12.3%にとどまり、男性との間には依然として大きな受給額の差が存在しています。女性は結婚や出産、育児、そして親の介護といったライフイベントにより、働き方の変更を余儀なくされやすいことが、将来の年金額に直結しているというシビアな現実があります。

公的年金だけで、ゆとりある老後や介護・終活の費用まですべてを賄うのは容易ではありません。だからこそ、まずは「ご自身の現在地」を知るために、ねんきん定期便などで受給見込額を確認してみてください。

その際、ねんきん定期便は年齢によって記載内容が異なる点に注意が必要です。50歳未満の場合は「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されており、今後の納付によって金額は増えていきます。

一方、50歳以上の場合は、現在の働き方のまま60歳まで納め続けたと仮定した「65歳からの年金見込額」が記載されるため、実際の受給額により近いリアルな数字を確認することができます。

ご自身の年齢に合わせた見方で現在地を正しく把握し、将来の不安を少しでも安心に変えるため、ご家族と話し合いながら、無理のない範囲で早めの資産形成を始めていきましょう。

参考資料