2026年も半分が過ぎ、将来の生活設計についてあらためて考える機会が増えた方も多いのではないでしょうか。65歳~69歳の就業率が50%を超える時代となりましたが、「75歳を過ぎて年金だけの収入になったら」と老後に不安を抱えるシニア層は少なくありません。

日々、年金や老後資金の相談を受けている社会保険労務士の視点から、今回は75歳以上の夫婦に必要な毎月の生活費や、リアルな家計事情についてわかりやすく解説します。
平均的な年金額や貯蓄額のデータも紹介しますので、安心して老後生活を送るためのヒントとしてお役立てください。

1. 【社労士が解説】75歳以上の夫婦、平均支出「約28万円」生活費の50%を占めるものは?

総務省の「家計調査 家計収支編(2025年)」によると、75歳以上の二人以上無職世帯の1か月の平均支出額は約28万円です。

1.1 平均支出額は年齢とともに減少

高齢になり消費活動が減ることにより、平均支出額は年齢とともに減少傾向にあります。

高齢者の1か月の平均支出額1/6

高齢者の1か月の平均支出額

筆者作成

老後の支出を考えるときは、日常生活費のほかに税金や社会保険料などの非消費支出を考慮しなければなりません。

1.2 生活費の内訳

生活費(消費支出)の内訳を見ると、食費と光熱・水道費、交通・通信費(車の購入・維持費など)が全体の50%以上を占めます。高齢になると保健医療費が気になりますが、保健医療費の平均額は2万円程度となっています。後期高齢者医療制度の自己負担割合なども影響していると考えられます。

75歳以上の1か月の生活費(消費支出)の内訳2/6

75歳以上の1か月の生活費(消費支出)の内訳

筆者作成

非消費支出の平均額は約3万円で、税金が約1万円、社会保険料が約2万円くらいです。

75歳以上の1か月の非消費支出の内訳3/6

75歳以上の1か月の非消費支出の内訳

筆者作成

ここまで、75歳以上の後期高齢夫婦の毎月の生活費について解説しました。次章では、75歳以上の家計収支と生活費を賄うための年金や貯蓄について紹介します。

2. 【社労士が解説】75歳以上の夫婦、家計収支「月2万7225円」赤字が生じる状況

前述の総務省調査によると、75歳以上の二人以上無職世帯の1か月の平均収入は25万2798円で、毎月の家計収支は2万7225円の赤字です。ただし、支出額の減少に伴い、家計収支の平均赤字額は年とともに少なくなっています。

75歳以上の毎月の家計収支4/6

75歳以上の毎月の家計収支

筆者作成

75歳以上の二人以上無職世帯の平均収入は月25万2798円ですが、そのうち公的年金が21万150円を占めます。ただし、公的年金の受給額は加入する年金制度(国民年金と厚生年金)で大きく異なり、また同じ年金制度に加入していても個人間で大きく異なります。

厚生労働省の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年齢別の平均年金額は次の通りです。

老齢年金受給権者の1か月の平均年金額5/6

老齢年金受給権者の1か月の平均年金額

筆者作成

3. 【社労士が解説】75歳以上の夫婦、貯蓄額の平均「2362万円」

総務省の「家計調査 貯蓄・負債編(2025年)」によると、75歳以上の二人以上無職世帯の平均貯蓄額は2362万円です。ただし、貯蓄がほとんどない世帯と高額の資産を持つ世帯があるなど、個人間の格差は非常に大きいことに注意が必要です。

4. 【社労士が解説】75歳以降の生活設計「必要貯蓄額」の試算結果をみる

75歳以降の生活設計を見直すためには、家計の収支と貯蓄額の確認が必要です。最初に、毎月の家計の赤字を、現在の貯蓄で賄えるかを試算してみましょう。「毎月の赤字額」に「老後の生活期間(月数)」を掛ければ、必要な貯蓄額の目安がわかります。

  • 必要貯蓄額=毎月の赤字額×老後の生活期間(月数)

75歳以上の後期高齢夫婦の家計収支は平均で月2万7225円の赤字です。現在75歳で95歳まで毎月2万7225円の赤字が継続すると仮定すると、必要貯蓄額は約653万円(=2万7225円×240か月)が目安となります。

平均貯蓄額は2362万円ですが、貯蓄額は個人差が大きいため後期高齢夫婦のすべてが老後は安泰と言えるわけではありません。公的年金を含めた収入見込やこれからの支出見込み、現在の貯蓄状況から、老後の生活資金に問題がないかを確認しましょう。

また、医療や介護などの臨時支出も見込んで試算したほうが、より安心できるでしょう。確認の結果、将来的に資金不足が見込まれる場合、「節約して支出を抑える」「アルバイトをして収入を得る」などの対応が必要になります。

5. おわりに

75歳以上の二人以上無職世帯の1か月の平均支出額は約28万円です。平均収入は25万2798円であるため、毎月の家計収支は2万7225円の赤字となります。平均的な貯蓄額(2362万円)があれば、月々の赤字は貯蓄の取り崩しで対応できる計算です。

ただし、実際の収入額や支出額、貯蓄額は世帯によって大きく異なるため、平均値が当てはまるケースは限定的です。75歳以降の家計収支見通しや現在の貯蓄額を確認して、老後の生活設計を見直しましょう。

参考資料

西岡 秀泰