4. 成長の死角は?事業リスクと「在庫」のシグナル

事業環境認識(リスクと機会)4/4

事業環境認識(リスクと機会)

出所:村田製作所「2025年度 決算説明会資料」(2026年4月30日)p.22

好調な見通しが示されている一方で、ビジネスには常にリスクが伴います。村田製作所は決算説明会資料の中で、業績予想に織り込んでいないリスク要因を明確に開示しています。

具体的には、ホルムズ海峡の封鎖などによる外部環境の悪化、サプライチェーンにおける不確実性の高まり、部品需要の変動に伴う生産計画の変更、そして原材料やエネルギー価格の高騰によるコスト上昇などが挙げられています。

4.1 危険な予兆を察知するための「在庫」の見方

こうしたマクロ環境の変化やサプライチェーンの混乱が起きた際、投資家はどこを見て危険なシグナルを察知すればよいのでしょうか。これに対し、泉田氏は「在庫」の動向に注意を払うべきだと指摘します。

「今は注文がいっぱい来てるから、在庫は貯めないといけない。貯めてどんどん出せたら一番いいんだけど、ただキャンセルが来た時に在庫をどうするのっていう話になる」

現在のように需要が旺盛な時期は、顧客からの注文に応えるために生産を増やし、ある程度在庫を積み増すのは健全な経営判断です。

しかし、顧客側の設備投資計画が変更されたり、景気後退で突然注文がキャンセルされたりした場合、積み上がった在庫が行き場を失うリスクがあります。

特に、特定の顧客のスペックに合わせて作った高単価な製品は、他社に転用することが難しいため、不良在庫化する危険性が高まります。

泉田氏は、売上の伸び率と在庫の伸び率が同じくらいであれば健全な範囲だと分析します。

しかし、もし売上の伸びに対して在庫の伸びが急激に大きくなるような局面があれば、それは需要の逆回転が起きている「危険なシグナル」として警戒する必要があるのです。