1.1 市場が注目する先行指標「BBレシオ」とは

村田製作所に投資する上で必ず押さえておくべきポイントを問われると、泉田氏は真っ先に「BBレシオ(Book-to-Billレシオ)」という指標を挙げました。

BBレシオとは、「受注高(Book)」を「売上高(Bill)」で割って算出される数値です。電子部品や半導体業界の業績トレンドを占う上で、最も重要視される指標の一つです。泉田氏はこの仕組みを、飲食店に例えてわかりやすく解説します。

「『吉野家』みたいに注文したらすぐ出てくるっていうわけではない。しばらく前に注文を受けてて、それがしばらく経った時に納められるものが売上なんですよ」

つまり、現在計上されている「売上」は過去に受けた注文の結果であり、現在受けている「受注」は未来の売上を約束するものです。

したがって、受注が売上を上回っている状態は、顧客からの需要が旺盛であり、将来的に売上が拡大していくサインとなります。

「この受注がしばらく経った時に今度売上になってくるんで、BBレシオが1倍を超えていると今後も売上が増えていく可能性がある、という風に見えます」

決算説明会資料によると、直近の四半期における村田製作所の全社BBレシオは1.24倍に達しています。過去の四半期(第2四半期や第3四半期)では1倍を割れていた時期もありましたが、足元でこの数値が大きく改善しました。

市場の投資家たちは、この「1.24倍」という先行指標の力強い回復を見て、次期以降の業績拡大を確信し、株価を買い上げているのです。

BBレシオ推移(受注高・売上高の四半期推移)1/3

BBレシオ推移(受注高・売上高の四半期推移)

出所:村田製作所「2026年3月期 決算説明会資料」(2026年4月30日)p.11