この春日本は、平成から令和へと新しい時代を迎えました。改めて平成という31年間を振り返ってみると、本当にさまざまな生活の変化が起こりました。それは子育てについても例外ではありません。
では実際、急速に普及する電子機器の発達など、私たちの生活に一体どのような影響を及ぼしてきたのでしょうか。また、世相を表しやすいとされる子どもの名付けなどはどのように時代を反映してきたのでしょうか。
SNSの形態の変化
この10年間で最も大きく変化したもののひとつがSNSです。2000年代に流行した「mixi」といったブログ型を利用した子育て交流からはじまり、2008年に登場した「Facebook」といった実名型サイトでのリアルな友人関係の交流、2010年代に入ると、「Twitter」を利用して共感や情報収集といった形で育児利用を始める人が増加するなど、若者だけでなく、SNSは育児中のママたちにとっても心強い味方として活用されるようになりました。
また、Facebookでのつながり疲れを感じた人々が次にハマっていったのが「Instagram」でのビジュアル重視の投稿です。いわゆる「映え」が重視されるようになったのもInstagramが大きな転機といえるでしょう。
画像の発信とファストファッションによるイベントの浸透
こういった身近なツールを使って簡単に世界に発信できる環境が整ったことが、私たちの日常の中に「ちょっとした非日常」を進化させてきました。ここ数年で圧倒的に浸透したイベントとして挙げられるのが、なんといってもハロウィンです。SNSと時を同じくして、日本にはさまざまなファストファッションが上陸しました。子供向けのトレンドを抑えたかわいらしい服が安く買えることもあり、「SNS映え」するイベント衣装をまとう人々は、あっという間に急増し、ハロウィンは定番イベントとなりました。
そして、「イイネ」を重ねていくうちに、私たちは自分から発信していくことにだんだんと慣れていくように。平成は、一般人でも気軽に自己表現ができるようになった時代ともいえるでしょう。
キラキラネームが進んだのは時代の影響?
いわゆる「キラキラネーム」といわれる個性的な名前は、近年話題にあがるようになってきました。生まれてきた子どもへの初めてのプレゼントでもある名づけが、こういった「個性」重視になってきた背景には、さまざまな理由があるようです。
10万人以上の名づけ相談を受けてきたという専門家・牧野恭仁雄氏の著書『子供の名前が危ない』によると、子の名づけには社会的な背景が隠されているといいます。それは名前のトレンドには社会の欠乏感が反映されやすいということ。例えば、戦況が思わしくない時代に流行った名前として「勝利」や「勇」があげられ、敗戦後に訪れた食糧難の時代には「茂」や「豊」といった豊作を望む名前が流行りました。さらに、高度経済成長期により家族が空洞化し始めたとされる80年代には「愛」という名前が流行したといいます。これらを踏まえ、平成で流行ったキラキラネームは何を意味しているのでしょうか。
それは、時代の変化に伴い選択肢が広がった中で、「自分が何者で、何をしたいのか実感できない」人々の空虚な感覚からくるものでは?と著者は本のなかで警鐘を鳴らしています。