6月も下旬に差し掛かり、梅雨空が続く日が増えてきました。

物価の上昇が家計に影響をあたえるなか、年金収入を主な生活の糧としている世帯では、「毎月のやりくりが厳しい」「少しでも生活の助けになる制度があれば知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

そのような年金受給者を経済的に支える制度として「年金生活者支援給付金」があります。

この制度は、公的年金に上乗せして給付金が支給されるものですが、受け取るためには所得などの条件を満たし、ご自身で請求手続きをおこなう必要があります。

2026年度からは給付額も引き上げられており、制度内容を改めて確認する良い機会といえるでしょう。

この記事では、年金生活者支援給付金の対象となる方の条件や給付額、申請方法について詳しく解説していきます。

再来月、8月14日は給付金の支給日ですが「年金生活者支援給付金」が年金に上乗せされるのはどのような人なのでしょうか。

1. 年金生活者支援給付金とは?生活に困窮する年金受給者を支援する制度の概要

年金生活者支援給付金とは、所得などの条件を満たす方に対し、公的年金に上乗せして支給される給付金制度のことです。

この給付金は、受け取っている基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

いずれの給付金も、支給要件を満たす場合には2カ月ごとに年金と同じ口座へ支給されます。

2. 年金生活者支援給付金の対象者は?3つの種類別に支給条件を解説

次に、それぞれの給付金における支給条件を見ていきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象となるのは、障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者で、前年の所得が479万4000円以下の方です。

この所得の判定には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれない点に注意が必要です。

また、扶養親族の人数によって所得の上限額は変わります。

一方で、「老齢年金生活者支援給付金」については、所得以外にもいくつかの要件が定められています。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るための3つの支給要件

年金生活者支援給付金制度について2/9

年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下全ての支給要件を満たす人です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である

こちらの所得判定においても、障害年金や遺族年金といった非課税収入は計算に含まれません。

さらに、所得基準を少しだけ超えてしまい対象から外れる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みも用意されています。

所得基準をわずかに超える方向けの「補足的老齢年金生活者支援給付金」

昭和31年4月2日以後生まれの人で所得が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前生まれの人で80万6700円を超え90万6700円以下の場合は、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象となります。

この制度では、所得額に応じて支給額が段階的に調整される仕組みになっています。

3. 【2026年度版】年金生活者支援給付金の支給額はいくら?3.2%の増額改定

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年の物価変動を反映し、支給額が3.2%増額改定されました。

年金生活者支援給付金の給付額3/9

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金については、月額5620円が基準額となり、ここから個人の保険料納付状況などに応じて実際の支給額が計算されます。

4. 注意点:老齢年金生活者支援給付金の支給額は基準額と異なる場合も

これまで説明したように、年金生活者支援給付金には基準額が設けられていますが、必ずしも全員がその金額を受け取れるわけではない点に注意が必要です。

実際の支給額は、保険料を納めた期間や免除された期間などに応じて個別に計算されます。

具体的には、月額5620円を基準として、「保険料納付済期間に基づく額」と「保険料免除期間に基づく額」を足し合わせて算出する仕組みです。

例えば、被保険者期間480カ月のすべてで保険料を納付した場合、計算式は「5620円×480/480カ月」となり、月額5620円が支給されます。

しかし、納付済期間が半分の240カ月だった場合、「5620円×240/480カ月」で月額2810円となります。

実際には保険料の免除期間も計算に反映されるため、支給額は一人ひとりの状況で異なります。

このように、給付額は個人の納付実績によって変動するため、提示されている基準額は一つの目安として捉え、ご自身の状況に合わせた金額を確認することが大切です。

また、この給付金は請求手続きをしないと受け取れませんので、対象になった方は忘れずに申請手続きをおこないましょう。

次の章で、具体的な申請方法を解説します。

5. 年金生活者支援給付金は申請が必要!手続きの方法をケース別に解説

年金生活者支援給付金4/9

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金の支給対象に該当する方には、日本年金機構から請求のための書類が郵送されます。

ただし、年金の受給状況によって送られてくる書類の形式や時期が異なります。

ここでは3つのパターンに分けて、届く封筒の種類や手続き方法を説明します。

5.1 ケース1:これから老齢年金の受給を始める方(緑色の封筒)

これから老齢年金の受給を始める方には、65歳になる3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」と一緒に「年金生活者支援給付金請求書」が送られてきます。

書類に必要事項を記入したら、受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所に提出してください。

5.2 ケース2:すでに年金を受給している方(薄緑色の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒6/9

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受け取っていて、新たに給付金の対象となった方には、毎年9月1日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)7/9

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼り付けます。

その後、差出人欄にご自身の住所と氏名を書き、切手を貼ってポストに投函すれば手続きは完了です。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

5.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方(薄橙色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用8/9

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

老齢基礎年金を繰上げ受給している方で、給付金の対象となる可能性がある場合、65歳になる誕生月の初め(1日生まれの方は前月の初め)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。

はがきに必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼った後、差出人欄に住所と氏名を書いて切手を貼り、ポストに投函してください。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

一度申請して受給が決定すれば、支給要件を満たし続ける限り、原則として2年目以降の申請は不要です。

もし所得が増えるなどして要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は止まります。

なお、2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が送られてきた方は、電子申請も利用できます。

電子申請で手続きをした場合、郵送での提出は不要です。

6. 請求書が届いたら要チェック!給付金の「見込額」を確認する方法

日本年金機構から年金生活者支援給付金の請求書が届いた際には、必要事項を記入するだけでなく、記載されている「給付額」も忘れずに確認しましょう。

郵送される請求書には、給付金の種類とあわせて見込額(月額)が書かれており、どのくらいの給付を受けられるかを事前に知ることができます。

この見込額は、毎年8月時点の年金受給状況に基づいて計算された目安の金額です。

ただし、実際の支給額は受給中の年金の種類や保険料の納付実績などによって変わるため、一律ではありません。

したがって、請求書に記載の金額は参考として捉えておくのがよいでしょう。

もし見込額の欄に「*」印が表示されている場合、それは現時点では金額が確定していないことを示しています。

その際は、審査が終わった後に送付される決定通知書で正式な支給額が知らされるので、そちらで確認してください。

申請手続きをおこなう際には、こうした給付額に関する情報にも目を通し、制度を正しく理解しておくことが重要です。

7. まとめ:年金生活者支援給付金は対象条件の確認と申請手続きが鍵

この記事では、年金生活者支援給付金の対象者、給付基準額、そして申請方法について詳しく解説しました。

この制度は、所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するため、公的年金に加えて支給されるものです。

2026年度には給付額が増額されましたが、特に老齢年金生活者支援給付金の場合、保険料の納付状況などによって実際の支給額は変動します。

そのため、基準額がそのまま支給されるわけではない点に注意が必要です。

また、支給条件を満たしていても、自動的に支給が始まるわけではなく、ご自身での請求手続きが不可欠です。

まずはご自身が対象になるかを確認し、日本年金機構から案内が届いた際には、書類の内容をよく確認して、忘れずに申請手続きをおこないましょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料