2026年も7月に入ろうとしています。

今年の年金支給日(6月15日)を迎え、年金に関心を寄せている方も多いのではないでしょうか。

老後の生活を支える大切な収入源である年金ですが、ご自身の受給額が平均と比べてどうなのか、また他の方がどのくらい受け取っているのか、気になることもあるかと思います。

この記事では、日本の公的年金の基本的な仕組みから、厚生年金と国民年金の平均受給額、さらには受給額ごとの分布まで、最新のデータを基に詳しく解説します。

男女別の差や高齢者世帯の所得の実態にも触れていきますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、今後のライフプランを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

日本の公的年金制度の基本的な仕組みとは

まずは年金のしくみについて解説します。

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、いわゆる2階建て構造です。下の図をイメージするとわかりやすいでしょう。

厚生年金と国民年金の仕組み1/6

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

下にある国民年金には、原則として「国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人」が加入します。ちなみに、国民年金保険料(※1)は全員一律です。

上乗せとなる厚生年金には、企業や官公庁などで働く人たちが加入しますす。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めるため、個人差があるのが特徴です。

では、将来もらえる「年金額」はどのように決まるのでしょうか。

まず国民年金の場合、国民年金保険料を全期間(480月)納めれば、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。逆に未納期間等があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。

厚生年金の場合、「年金加入月数」と「納めた保険料」に応じた老齢厚生年金額が決まります。一般的には長く働いた人、たくさん稼いだ人が多くの年金をもらえることになります。

※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円

【2026年度版】公的年金の支給日カレンダー

公的年金は、原則として偶数月の15日に支給されます(15日が土日・祝日の場合は、その直前の平日)。年金は後払い方式で、前月までの2カ月分がまとめて支払われるという仕組みです。

2026年度の年金支給日と支給対象月を見てみましょう。

2026年度の年金支給日カレンダー2/6

2026年度の年金支給日カレンダー

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」を参考にLIMO編集部作成

2026年度における年金支給日と対象期間の詳細

  • 2026年4月15日:2026年2月と3月分
  • 2026年6月15日:2026年4月と5月分
  • 2026年8月14日:2026年6月と7月分
  • 2026年10月15日:2026年8月と9月分
  • 2026年12月15日:2026年10月と11月分
  • 2027年2月15日:2026年12月と2027年1月分

例えば2026年10月15日の支給日には、2026年8月と9月分の2ヶ月分が一度に支給されるということです。

給与を月に一度受け取っていた現役時代とは、家計管理のサイクルも変わってくるでしょう。

厚生年金と国民年金の受給額を1万円単位で分析

気になるのが「厚生年金」と「国民年金」の平均月額です。

ここでは厚生労働省の資料より、60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」をご紹介します。

 

厚生年金の平均受給月額:男女差はどのくらい?

厚生年金の平均額(全年齢)3/6

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

厚生年金受給額の分布状況(1万円ごと)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金の平均年金月額は15万289円ですが、男女別に見ると、男性が16万9967円、女性が11万1413円で、6万円近い開きが見られます。

 

国民年金の平均受給月額と金額別の分布

国民年金の平均額(全年齢)4/6

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金受給額の分布状況(1万円ごと)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は5万9310円。男女別に見ると、男性が6万1595円、女性が5万7582円となりました。

ボリュームゾーンを見ると、「6万円以上~7万円未満」が最も厚い層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。

シニア世帯の平均所得と収入の内訳

高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」という資料を参考にします。

なお、資料内における高齢者世帯とは「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯」と定義されます。

高齢者世帯における平均所得額の実態

資料によると、高齢者世帯の総所得は314万8000円 です。総所得に占める金額や割合も見ていきましょう。

高齢者世帯の所得構成:年金とそれ以外の収入

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
    • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円 (4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)

月額に換算すると約26万円の所得のうち、3分の2となる約16万6000円が「公的年金」となります。次いで約5万5000円の「雇用者所得」が続きます。

高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。

※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む

国民年金の受給額を増やす「付加年金」という選択肢

働き方の多様化する中で、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業の方なども増えています。

一方で、国民年金しか受け取れないとなると、老後の年金が少なくなる傾向にあります。

国民年金の受給額を増やす方法のうち、今回は「付加保険料の納付」について解説します。

国民年金付加年金制度6/6

国民年金付加年金制度

出所:日本年金機構「国民年金付加年金制度のお知らせ」

付加年金とは、「付加保険料(月額400円)」を定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に上乗せで支払うことで、将来の年金額を増やすことができるしくみです。

付加年金に加入できる対象者

  • 国民年金第1号被保険者
  • 65歳未満の任意加入被保険者

付加年金に加入できないケース

  • 国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
  • 国民年金基金の加入員である人

個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金には、同時に加入することができます。ただし、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合もあるので注意が必要です。

シミュレーション:40年間付加保険料を納付した場合

20歳から60歳の40年間、付加保険料を納付したとしましょう。

65歳以降に受け取れる「付加年金額」は「200円×付加保険料納付月数」で試算できます。

  • 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
  • 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)

40年間に納付した付加保険料は19万2000円。毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされることから、2年で元が取れる計算です。

まとめ

今回は、公的年金の仕組みから平均受給額、そして高齢者世帯の所得の実態まで幅広く見てきました。

ご自身の年金額や家計の状況と比べて、どのような印象を持たれたでしょうか。

特に厚生年金では、現役時代の働き方によって受給額に大きな差が出ることや、男女間での開きも確認できました。

また、高齢者世帯の多くが年金を主な収入源としつつも、就労による所得で生活を補っている実情も見えてきました。

国民年金のみの方にとっては、今回ご紹介した「付加年金」のように、将来の受給額を少しでも増やすための制度を知っておくことも大切です。

変化の多い時代ですが、こうしたお金に関する情報を定期的に確認し、ご自身の状況に合わせた備えを考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

石津 大希