「一人暮らしの生活費って、結局みんないくら使っているの?」。そう検索したことがある方は少なくないはずです。
自分の支出が多いのか少ないのか比べる物差しがないまま、なんとなく不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
総務省の家計調査によると、単身世帯の消費支出は2025年平均で月17万3042円でした。ただし年代によって19万円台から15万円台まで幅があり、平均だけを見ても自分に当てはまるとは限りません。
本記事では、年代別の内訳の違いと、手取り20万円を想定した予算配分のシミュレーションを、総務省の最新統計をもとに解説します。
1. 一人暮らしの生活費、平均はいくらかかっている?
まずは全年代平均の数字から確認します。ここが以降の年代別比較・シミュレーションの土台になります。
1.1 2025年平均は月17万3042円
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、単身世帯(平均年齢58.6歳)の消費支出は、1世帯当たり1カ月平均17万3042円でした(2026年2月6日公表)。
前年に比べると名目では2.1%の増加ですが、物価上昇の影響を除いた実質では1.5%の減少です。これは3年連続の実質減少にあたります。
単身世帯には持ち家に住む人も含まれているため、賃貸暮らしの方の実感とはややずれることがあります。この「平均に持ち家世帯が混ざっている」という点は、次の年代別の章でより大きな意味を持ってきます。
2. 年代別にみる一人暮らしの生活費、住居費に2.7倍の差
単身世帯といっても、34歳以下の若い世代と60歳以上とでは家計の中身がまったく異なります。ここからは年代別の違いを具体的な数字で見ていきます。
2.1 34歳以下・35〜59歳・60歳以上の消費支出
単身世帯の消費支出を世帯主の年代別にみると、34歳以下は17万7542円、35〜59歳は19万8488円、60歳以上は15万8546円でした。働き盛りの35〜59歳が最も高く、平均を2万5446円上回ります。
一方、60歳以上は平均を下回ります。これは公的年金収入が中心となる世帯が多く含まれることが背景にあるとみられます。
2.2 【年代別の生活費、主要費目の内訳】
34歳以下の場合
- 消費支出(合計):17万7542円
- 食料:4万1992円
- 住居:3万5060円
- 交通・通信:2万640円
35〜59歳の場合
- 消費支出(合計):19万8488円
- 食料:4万7405円
- 住居:2万8041円
- 交通・通信:2万3773円
60歳以上の場合
- 消費支出(合計):15万8546円
- 食料:4万4364円
- 住居:1万3103円
- 交通・通信:1万6317円
3. 【編集者の視点】
年代別の数字で最も目を引くのは、住居費が34歳以下で3万5060円、60歳以上で1万3103円と、2.7倍近い差になっている点です。合計額の差(34歳以下と60歳以上で1万8996円)の大部分を、この住居費の差が説明しています。
背景にあるのは持ち家率の違いです。単身世帯全体の持家率は59.0%ですが、若い世代ほど賃貸住まいの人が多く、家賃負担がそのまま生活費を押し上げます。逆に60歳以上は持ち家に住み替わっている人が増えるため、住居費が軽くなる一方で、住宅の維持修繕費や固定資産税のような形で別の負担が生じている可能性もあります。
「平均17万3042円」という数字だけを見て自分の家計と比べると、賃貸で一人暮らしをしている34歳以下の方ほど「使いすぎている」と誤解しやすい構造になっています。比べるなら、まず自分の年代の数字(34歳以下なら17万7542円)を基準にするほうが実感に近いはずです。
家計を見直す際は、総務省の統計データを「自分の年代・住まいの形態に近い区分」まで絞り込んでから比較することをおすすめします。年代別の内訳は総務省統計局のe-Statで誰でも確認できるため、気になる方は他の費目も含めて確認してみてください。
4. 手取り20万円で暮らすなら?予算シミュレーション
続いて、実際に家計を組み立てる際の目安として、手取り(可処分所得)が月20万円の場合の予算配分を試算してみます。
4.1 総務省データの構成比をもとにした編集部試算
総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」の単身世帯・費目別データ(消費支出17万3042円に対する各費目の金額)から、費目ごとの構成比を編集部で算出しました。
この構成比を手取り20万円に当てはめると、食料は約5万1600円、住居は約2万5000円が目安になります。
4.2 【手取り20万円の場合の予算配分】
支出が大きい費目
- 食料:約5万1600円(構成比25.8%)
- 住居:約2万5000円(構成比12.5%)
- 教養娯楽:約2万3400円(構成比11.7%)
固定費に近い費目
- 交通・通信:約2万2200円(構成比11.1%)
- 光熱・水道:約1万5400円(構成比7.7%)
この試算はあくまで総務省の平均的な支出構成比に基づくものです。特に住居費は、実際の家賃水準によってこの試算より大きく上下しやすい費目である点は踏まえておく必要があります。
5. 【編集者の視点】
このシミュレーションを実際の家計に当てはめる際、最も注意したいのが住居費です。今回の試算は「約2万5000円」という数字になりますが、これは持ち家世帯を含む全世帯平均の構成比をそのまま使っているためで、賃貸で一人暮らしをする場合、実際の家賃はこれより高くなるケースがほとんどです。
実務的には、まず自分の家賃を固定値として置き、残りの手取り額を食料・交通通信・教養娯楽などに配分し直す方が現実的です。家賃が7万円なら、残り13万円を今回の構成比(住居費を除いた分)で按分し直す、という考え方です。
もう一つの注意点は、「その他」に含まれる交際費や貯蓄です。2025年の単身世帯では、その他の消費支出が実質11.4%増と、10大費目の中で最も高い伸び率でした。使途の柔軟な支出は膨らみやすいため、家計簿アプリなどで内訳を可視化し、貯蓄に回す分を先取りで確保しておくことをおすすめします。
※本記事は、編集部が総務省統計局が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
6. まとめ
- 単身世帯の生活費は2025年平均で月17万3042円、前年比実質1.5%減と3年連続の減少です。
- 年代別には34歳以下17万7542円、35〜59歳19万8488円、60歳以上15万8546円でした。
- 住居費は34歳以下が3万5060円と最も高く、60歳以上(1万3103円)の2.7倍近くに達します。
- 手取り20万円を想定した場合、総務省データの構成比をもとに費目ごとの配分目安を試算できます。
一人暮らしの生活費は、年代や住まいの形態によって内訳が大きく変わります。全世帯平均の17万3042円という数字だけで一喜一憂せず、自分の年代・住居費の実額と照らし合わせて考えることが大切です。
まずは今回のシミュレーションを叩き台にしながら、自分の家賃や固定費を当てはめ直し、無理のない予算配分を組み立ててみてください。
7. よくある質問
7.1 Q. 一人暮らしの生活費の平均は本当に月17万3042円ですか?
A. 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」による単身世帯(平均年齢58.6歳)の消費支出の平均値です。持ち家世帯も含む全世帯平均のため、賃貸暮らしの方はこれより高くなる場合があります。
7.2 Q. 年代によって生活費はどのくらい違いますか?
A. 2025年平均で、34歳以下は17万7542円、35〜59歳は19万8488円、60歳以上は15万8546円でした。特に住居費は34歳以下が3万5060円と、60歳以上(1万3103円)より2万1957円高くなっています。
7.3 Q. 手取り20万円なら生活費をどう配分すればよいですか?
A. 総務省データの費目別構成比を当てはめると、食料約5万1600円、住居約2万5000円、交通・通信約2万2200円、教養娯楽約2万3400円が目安です。実際の家賃水準によって最適な配分は変わるため、あくまで参考値として活用してください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」2026年2月6日公表
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 表番号1(用途分類(総数))」2025年(e-Stat)
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 表番号2(用途分類(年齢階級別))」2025年(e-Stat)
LIMO編集部家計解説班
