敬老の日にちなみ、総務省統計局が2026年9月20日に公表した「統計トピックスNo.149」によると、日本の65歳以上人口は3624万人で過去最多を更新しました。総人口に占める割合は29.6%となり、世界39か国の中でも最も高い水準となっています。

数字だけを見ると遠い話に感じるかもしれませんが、内訳をたどっていくと「ひとり暮らしの高齢者」の増加という、お金の備えに直結するテーマが浮かび上がってくるのです。本記事では、独居高齢者の資産状況と、今のうちから準備しておきたいお金の考え方を整理します。

1. ひとり暮らしの高齢者はどれくらい増えている?

総務省統計局が2026年9月20日に公表した「統計トピックスNo.149」によれば、65歳以上人口は3624万人(前年に比べ2万人増)で過去最多となりました。65歳以上の就業者数も943万人に達し、22年連続で増加し過去最多を更新しています。

高齢者が増える一方で、家族の姿も大きく変わりつつあるのではないでしょうか。背景には、生涯未婚率の上昇や配偶者との死別などにより、単独世帯で暮らす高齢者が増えている事情があるようです。

また、内閣府が公表した「令和8年版高齢社会白書」によると、65歳以上のひとり暮らしの人数は1980年の88万1000人から増加を続け、2020年には815万5000人に達しています。

2025年の一人暮らし高齢者数は887万人に達したとみられており、いまや「ひとり暮らし」は高齢期における珍しくない暮らし方の一つです。

性別の内訳を見ると、2020年時点で65歳以上人口に占めるひとり暮らしの割合は男性が15.0%、女性が22.1%となっています。将来推計では2050年に男性26.1%、女性29.3%まで上昇するとされており、独居という暮らし方は今後さらに広がっていくでしょう。

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65歳以上の一人暮らし者数の推移

出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書」をもとにLIMO編集部作成

2. 単身高齢者の金融資産はどのくらいある?

それでは、ひとり暮らしの高齢者は実際にどれくらいの資産を持っているのでしょうか。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年12月18日に公表した「家計の金融行動に関する世論調査2025年」の単身世帯調査では、60歳代の金融資産保有額は平均1364万円、中央値は300万円という結果が出ています。

平均値と中央値の差の大きさには注意が必要です。

一部の資産を多く持つ世帯が平均値を押し上げており、実際に「真ん中」に位置する世帯の金融資産は300万円にとどまります。さらに同調査では、60歳代の単身世帯のうち金融資産を保有していない世帯が30.4%に上ることも示されました。

たとえば中央値の300万円を毎月5万円ずつ取り崩していくと、5年ほどで底をついてしまう計算になります(編集部による試算:300万円÷5万円/月=60か月)。老後の期間が20年、30年に及ぶ可能性を考えると、早いうちから資産の見直しを検討しておきたいところです。

二人以上世帯の60歳代(平均2683万円、中央値1400万円、非保有12.8%)と比べると、単身世帯は資産額・非保有割合のいずれの面でも厳しい状況にあることがわかるでしょう。年金収入だけに頼る生活設計では、想定外の出費に対応しにくくなる可能性があります。頼れる同居家族がいない分、資産面での自衛が一段と重要な立場だといえるでしょう。

熊谷 良子

「老後の生活費は年金だけでまかなえるはず」と考えている方も少なくありませんが、単身世帯の場合は生活費のすべてを自分一人で賄う必要があり、想定外の出費への備えがより求められます。

家計管理の基本としてよく挙げられるのが、病気やケガ、家電の故障といった急な出費に対応するための「生活防衛資金」です。

一般的には生活費の半年分から1年分を目安に、すぐに引き出せる預貯金として確保しておくことが勧められています。

普段の生活費用の口座と、いざというときのための資金の口座を分けておくと、使いすぎを防ぎやすいでしょう。年に一度など決まったタイミングで資産の状況を振り返る習慣をつけておくのもよい方法です。

資産の多寡にかかわらず、まずは手元の資金がどのくらいあるかを把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。