2026年8月14日(金)は、偶数月の年金支給日です。この日には2026年6月分と7月分の年金が振り込まれます。

厚生年金の標準モデル世帯(夫婦2人分)では、2か月分の支払い額が47万4558円となります。

そこで本記事では、夫婦2人分の年金額の中身と標準モデルが示す意味を見ていきます。あわせて老後の家計設計で押さえたい論点も一次ソースを基に整理して紹介します。

1. 厚生年金「夫婦2人分47万4558円」の中身

2026年度の年金改定では、国民年金(老齢基礎年金)は前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%引き上げられました。厚生年金の標準モデル世帯では、月額23万7279円・2か月分で47万4558円が支給されます。

1.1 2026年度の標準モデル年金額

2026年度の厚生年金における夫婦2人分の標準的な年金月額は23万7279円で、前年度の23万2784円から4495円増えました。

老齢基礎年金の満額(1人分)は月7万608円で、前年度から1300円増えました。1956年4月1日以前生まれの人は月7万408円が満額となります。

1.2 4月15日支給は旧額、6月15日支給から新額

公的年金は偶数月の15日に前2か月分がまとめて支給されます。4月15日に支給された2月分・3月分は2025年度の年金額に基づくものでした。一方、4月分・5月分が支給された6月15日からは、2026年度の改定後の年金額が反映されています。

年額ベースでは、厚生年金の標準モデル世帯で5万3940円、老齢基礎年金の満額受給者で1万5600円の増額となりました。ただし、年金額の改定率は物価上昇率を下回っているため、実質的な購買力は低下している状況です。

2. 厚生年金「標準モデル」が示す金額の本当の意味

夫婦2人分47万4558円という数字は、あくまで一つのモデルケースが示す金額です。誰でも自動的に受け取れるわけではありません。実際の受給額は加入期間と現役時代の報酬で大きく変わります。

2.1 標準モデルの前提は「夫が40年厚生年金・妻が40年専業主婦」

厚生労働省と日本年金機構が公表する標準モデルは、夫の働き方と妻の働き方に明確な前提を置いています。夫は平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)で40年間厚生年金に加入。妻は同じ40年間すべて専業主婦(第3号被保険者)だった想定です。妻の老齢基礎年金(満額)が夫の厚生年金に上乗せされた合計が、月額23万7279円となります。

賞与込み45万5000円という前提は、年収にすると約546万円です。この水準を40年間維持し続ける働き方は、誰にでも当てはまるとは限りません。標準モデルはあくまで一定の前提に立った参考値で、現役時代の収入が低い人や加入期間が短い人は、ここから下振れします。

2.2 現実の厚生年金は月15万円。男女差も大きい

実際の受給額をみていきましょう。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(第1号、基礎年金を含む)の平均月額は15万0289円です。標準モデル世帯の夫1人分(23万7279円から妻の基礎年金7万608円を差し引いた16万6671円)よりも、現実の平均は約1万6000円下回ります。

厚生年金月額ごとの受給権者数2/3

厚生年金月額ごとの受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

男女別では男性16万9967円、女性11万1413円で、5万8554円の差があります。

女性の平均額は、標準モデルの夫1人分(16万6671円)と比べると、およそ3分の2の水準です。 育児や介護などで就労期間が短くなりやすいことや、賃金水準の違いなどが受給額に反映されています。標準モデルの数字をそのまま自分の将来の受給額と考えるのではなく、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自身の見込額を確認しておくことが大切です。

3. 老後の家計設計で押さえたい3つの論点

夫婦2人分47万4558円という数字は、額面の総支給額です。ここから税金・社会保険料が差し引かれます。手元に残る金額と毎月の支出を見比べて、家計設計を進める視点が欠かせません。

3.1 論点1:手取りと額面のギャップ

モデル年金額は夫婦2人分で月額23万7279円(2か月に1回の支給額では47万4558円)です。実際には、この年金から所得税や住民税のほか、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料などが差し引かれます。そのため、夫婦1か月分の手取り額は、概ね20万円前後となるケースが多いでしょう。

3.2 論点2:単身化リスクへの備え

夫婦2人分の標準モデルは、夫婦が同じ年に65歳を迎え、同じ期間生き続ける前提で語られがちです。実際には夫婦の年齢差や寿命差で、いずれは単身世帯になる時期がきます。配偶者死亡後は遺族厚生年金(亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3が基本額)が残ります。ただし家計の固定費は2人世帯から半減しにくく、単身期の家計圧迫は避けにくい構造です。

3.3 論点3:2025年6月13日成立の年金制度改正法

2025年6月13日に成立した年金制度改正法では、厚生年金の適用拡大や在職老齢年金の見直しなど、今後の年金制度に影響する変更が段階的に進みます。具体的な施行時期や内容は、今後の政省令で順次明らかになります。働き方や加入状況に影響する改正が含まれるため、自身のライフプランと照らし合わせながら、今後の制度動向を確認していきましょう。

4. 8月14日の入金額を通帳で必ず確認しよう

2026年6月15日は、厚生年金の夫婦2人分標準モデルで47万4558円が支給されました。前回4月15日支給分から8990円の増額となり、月額換算では23万7279円です。

ただし、この金額は、夫が40年間平均的な収入で厚生年金に加入し、妻が40年間国民年金に加入した場合の標準的なモデル年金額です。実際の受給額は、加入期間や収入、働き方などによって異なります。実際の厚生年金(国民年金を含む)の平均受給月額は15万289円(男性16万9967円・女性11万1413円)で、標準モデルとは差があります。

年金額が改定された後は、「年金振込通知書」や通帳の入金額を確認し、自分が実際に受け取っている年金額を把握しておくことが大切です。手取り額や制度改正の内容も踏まえながら、老後の家計を見直すきっかけにしてみるとよいでしょう。

参考資料

苛原 寛