4. 国民年金メインで受給する人の場合は?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっていますが、自営業者やフリーランスなど、厚生年金に加入していない人の場合、老後の収入の中心は国民年金となります。
そこで気になるのが、「国民年金だけで老後の生活費をまかなえるのか」という点です。
冒頭で確認したように、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月14万8445円でした。一方で、国民年金の満額は2026年度で月7万608円です。生活費の目安と比較すると、大きな開きがあることがわかります。
4.1 国民年金満額でも生活費の半分程度
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480カ月)すべての保険料を納付した場合に満額を受け取れます。
しかし、2026年度の満額は月7万608円です。
仮に単身高齢者の平均的な生活費である月15万円前後を基準にすると、国民年金だけでは半分程度しかカバーできません。
実際には住居費や医療費、介護費用などが増える可能性もあるため、年金以外の資金準備が重要になります。
4.2 繰下げ受給を利用しても月15万円には届かない
老齢年金は受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を利用できます。
受給開始を75歳まで繰り下げた場合、年金額は84%増額されますが、それでも国民年金満額は月およそ13万円程度にとどまります。
増額効果は大きいものの、平均的な生活費の目安である月15万円には届かず、老後資金の問題を完全に解決できるわけではありません。
また、繰下げ受給を選択する場合は、その期間の生活費を別の収入や貯蓄でまかなう必要があります。
4.3 自営業者・フリーランスは上乗せ準備が重要
会社員や公務員の場合は、国民年金に加えて厚生年金を受け取れます。
一方、自営業者やフリーランスは原則として国民年金のみとなるため、老後の収入格差が生じやすい構造です。
近年は働き方の多様化によりフリーランス人口も増えていますが、その分、自ら老後資金を準備する必要性は高まっています。現役時代から計画的に資産形成を進めているかどうかが、老後の家計に大きな差を生む可能性があります。
4.4 iDeCoや私的年金を活用する選択肢
こうした不足分を補う方法として注目されているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険などの私的年金制度です。
iDeCoは掛金が全額所得控除となるため、老後資金を準備しながら税負担の軽減も期待できます。また、新NISAを活用した長期の積立投資も、将来の資産形成を後押しする選択肢の一つです。
国民年金だけに頼るのではなく、公的年金を土台としながら、自分自身で上乗せ資金を準備するという考え方が、これからの老後設計ではますます重要になっていくでしょう。