2. アナリストコンセンサスとは何か(=多数のアナリストによる業績予想の平均値)
では、市場の「期待値」はどのようにして測ればよいのでしょうか。目に見えない期待を数値化したものが、「アナリストコンセンサス」です。
コンセンサス(Consensus)という言葉は、一般的には「合意」や「意見の一致」を意味しますが、株式投資の世界では「平均値」を指します。何の平均値かというと、「アナリストの業績予想の平均値」です。
株式市場には、証券会社などに所属し、企業の業績や財務状況を専門的に分析する「アナリスト」と呼ばれるプロフェッショナルたちがいます。彼らは独自の調査に基づき、「この企業の今年の売上高はこれくらいになるだろう」「利益はここまで伸びるだろう」といった業績予想を立てます。
しかし、アナリストの予想も確実な未来を予言するものではありません。あくまで様々なデータに基づいた「期待値」の一つにすぎません。そこで、複数のアナリストが弾き出した業績予想を集め、その平均値をとったものが「アナリストコンセンサス」となります。
3. なぜ「1人の予想」ではなく「平均値」が役立つのか
ここで、「アナリストの予想なんて当たるか外れるかのギャンブルのようなものではないか」という疑問が浮かぶかもしれません。確かに、1人のアナリストの予想だけを見れば、当たるか外れるかの二択になってしまう側面があります。
しかし、多数のアナリストの予想を集めて平均値をとることには、非常に重要な意味があります。泉田氏はこの理由について、市場の原理から次のように説明します。
「見方が180度逆じゃない。今から買いたいっていう人と、今から売りたいっていう人って、その会社に関して真逆の見方をしてるからそういう判断になる」
株式市場で株価がつく(取引が成立する)のは、その価格で「買いたい人」と「売りたい人」の両方がいるからです。買いたい人は「これから業績が伸びて株価が上がる」と強気に見ており、売りたい人は「これ以上業績は伸びず株価は下がる」と弱気に見ています。
アナリストたちの予想もこれと同じです。ある企業に対して非常に強気な予想を立てるアナリストがいれば、弱気な予想を立てるアナリストもいます。
1人の予想だけを頼りにすると予想のばらつき(振れ幅)が大きくなってしまいますが、多くの人の予想の平均値をとることで、「市場全体がその企業に対してどれくらいの期待を抱いているか」という客観的な目線が見えてきます。
この平均値(コンセンサス)こそが、現在の株価に「織り込まれている(すでに反映されている)」期待の基準となるのです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日