2026年度の年金額は、国民年金が前年度比で1.9%、厚生年金は2.0%の増額改定となります。

しかし、年金額は現役時代の働き方や収入によって個人差が大きく、年金収入のみで生活するのが難しい世帯も少なくありません。

このような年金受給者の生活を経済的に支援する目的で設けられたのが「年金生活者支援給付金」制度です。

この制度には、基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3つがあります。

本記事では、このうち老齢年金を受給している方を対象とした「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当て、支給されるための条件や給付額の決まり方について詳しく見ていきましょう。

1. 老齢年金生活者支援給付金とは?支給されるための3つの要件

老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の支給要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計額が一定の基準額以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。
※2 基準額は、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下です。この基準額をわずかに超える方(それぞれ90万9000円以下、90万6700円以下)には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。

この制度は、消費税率の引き上げ分を財源としており、年金を受給している方の生活をサポートするために創設されました。

一度条件を満たせば、生涯にわたって年金に上乗せして給付金が支給されます。

2. 2026年度の給付基準額は月額5620円!納付状況別のシミュレーション

2026年度における老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5620円に設定されています。

もし支給要件を満たし、かつ国民年金保険料を40年間(480カ月)すべて納付済みの場合、毎月5620円の給付金を受け取ることが可能です。

この場合、老齢基礎年金の満額(月額7万608円/昭和31年4月2日以降生まれの方)と合わせると、受給総額は月額7万6228円となります。

納付状況別:給付金額・年金額の試算表3/5

納付状況別:給付金額・年金額の試算表

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに試算の上LIMO編集部作成

(1956年4月2日以降に生まれた方のケース)

  • 保険料を480カ月納付(免除なし):給付金5620円+老齢基礎年金7万608円=合計7万6228円
  • 保険料を400カ月納付(免除なし):給付金4683円+老齢基礎年金5万8840円=合計6万3523円
  • 保険料を360カ月納付(120カ月は全額免除):給付金7157円+老齢基礎年金6万1782円=合計6万8939円
  • 保険料を300カ月納付(180カ月は全額免除):給付金7926円+老齢基礎年金5万7369円=合計6万5295円
  • 保険料を240カ月納付(240カ月は全額免除):給付金8694円+老齢基礎年金5万2956円=合計6万1650円
  • 保険料を240カ月納付(免除なし):給付金2810円+老齢基礎年金3万5304円=合計3万8114円
  • 保険料を120カ月納付(360カ月は全額免除):給付金1万231円+老齢基礎年金4万4130円=合計5万4361円
  • 保険料を120カ月納付(免除なし):給付金1405円+老齢基礎年金1万7652円=合計1万9057円
  • 保険料の納付なし(480カ月すべて全額免除):給付金1万1768円+老齢基礎年金3万5304円=合計4万7072円

※上記の数値は1956(昭和31)年4月2日以降に生まれた方を対象としています。
※老齢基礎年金額は、免除期間を2分の1(国庫負担分)で評価した概算値です。

3. 老齢年金生活者支援給付金の申請手続きをパターン別に解説

年金生活者支援給付金の支給対象となる方には、日本年金機構から請求手続きに関する案内が郵送されます。

送られてくる書類の形式や時期は、年金の受給状況によって異なります。

3.1 【パターン1】65歳になり、老齢基礎年金を新たに請求する方

  • 65歳になる3カ月前に届く「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
  • 必要事項を記入の上、年金の受給を開始する誕生日の前日以降に、年金の請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。

3.2 【パターン2】すでに基礎年金を受給中で、新たに給付金の対象となる方

  • 毎年9月の初めから、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、このはがき型の請求書が届いた方は、電子申請も利用できます。
  • 郵送で手続きする場合は、必要事項を記入し、切手を貼って投函します。

なお、支給要件に該当するかどうかの確認が必要な方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送付されます。

4. 老齢年金生活者支援給付金はいつ支給される?

年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に年6回、偶数月の15日に支給されます。もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。

給付金は年金の受取口座と同じ口座に、年金とは別々に支給されます(通帳にはそれぞれ別の項目で記帳されます)。

各支払月には、原則としてその前月までの2カ月分がまとめて支給されます。例えば、6月の支給日には4月分と5月分の給付金が支払われる仕組みです。

5. まとめ:利用できる制度を理解して老後の生活に備えよう

今回は、老後の生活を支える制度の一つである「老齢年金生活者支援給付金」について解説しました。

国や自治体では、このほかにも高齢者の生活をサポートするためのさまざまな支援制度が用意されています。

老後になってから収入を大幅に増やすのは容易ではありません。だからこそ、利用できる制度について正しく理解し、賢く活用していくことが、将来の安心した生活につながる重要なポイントといえるでしょう。

参考資料

マネー編集部年金班