もうすぐ一年の半分が終わる6月末。夏のボーナスを手に、我が家の家計やこれからの貯蓄プランを見つめ直している方も多いのではないでしょうか。

そんな中、ちょっと気になる最新データが先月(2026年5月19日)発表されています。総務省統計局の「2025年家計調査報告(貯蓄・負債編)」です。

結果を見ると、二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円に到達。前年から75万円(3.8%)アップし、これで7年連続の増加となりました。世間の貯蓄に対する意識の高さがうかがえますね。

さらにデータの「貯蓄額の分布」に目を向けると、トップ階級として設定されているのは「4000万円以上」の世帯。

平均値や中央値をはるかに超えるこの金額に、「そんなに貯金があるなら、さぞかし年収も高いんでしょ?」と思わず勘繰る人もいるかもしれません。

でも、実際のところ「年収」と「貯蓄額」は、本当に比例関係にあるのでしょうか。

この記事では、そんな素朴な疑問を解消すべく、二人以上世帯を「全体」「働く現役世代」「65歳以上のシニア世代」という3つの視点に分けて、最新データからみんなの貯蓄事情をひも解きます。

「貯蓄4000万超えの世帯は、一体どれくらい稼いでいるのか?」という気になるポイントにもしっかり切り込み、数字の裏に隠されたリアルな家計の実態に迫っていきましょう。

1. 最新データで比較!【全体・働く世帯・シニア】の平均貯蓄と中央値

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」をもとに、世帯属性ごとの貯蓄額を見ていきます。

貯蓄額を確認する際は平均値だけでなく中央値にも注目することが重要です。

平均値は高額な金融資産を持つ一部の世帯の影響を受けやすいため、実際の状況を把握するうえでは中央値も参考になります。

※中央値とは、貯蓄額を少ない順に並べた際に中央に位置する世帯の金額です。

1.1 二人以上世帯「全体」の貯蓄事情

まずは、二人以上世帯全体の貯蓄状況を確認してみましょう。

  • 平均値:2059万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1264万円
  • 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値:1167万円(※参考値)

1.2 現役世代「働く世帯(勤労者世帯)」の貯蓄事情

続いて、働いている世帯()に限定した場合の貯蓄額を見てみます。

  • 平均値:1717万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1015万円
  • 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値:964万円(※参考値)

※家計調査では「勤労者世帯」と定義され、世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤務している世帯を指します。ただし、世帯主が社長や取締役、理事といった会社・団体の役員である場合は「勤労者・無職以外の世帯」に分類されます。

1.3 世帯主が65歳以上のシニア世帯

二人以上世帯のうち「世帯主が65歳以上のシニア世帯」貯蓄額の平均・中央値4/5

二人以上世帯のうち「世帯主が65歳以上のシニア世帯」貯蓄額の平均・中央値はいくら?

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」

世帯主が65歳以上の世帯に絞った場合の結果は次のとおりです。

  • 平均値:2564万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1777万円

二人以上世帯全体や勤労者世帯と比べると、平均値・中央値ともに高い水準となっています。

この背景には、退職金を受け取った世帯などが含まれていることが考えられます。

また、勤労者世帯の中央値が1000万円程度であるのに対し、シニア世帯の中央値は1777万円となっており、両者の間には大きな差が見られます。

2. 【貯蓄4000万円超世帯のリアル】高額貯蓄を持つ世帯の年収はいくら?

ここからは、貯蓄4000万円以上を保有する世帯の収入状況に注目してみましょう。

総務省統計局の同調査では、貯蓄額ごとの年間収入も公表されています。

貯蓄現在高が4000万円以上の世帯における平均年収は、次のとおりです。

  • 二人以上世帯全体(貯蓄4000万円以上):平均年収837万円
  • 勤労者世帯のみ(貯蓄4000万円以上):平均年収1107万円

勤労者世帯に限ると、貯蓄4000万円以上の世帯は平均年収が1000万円を超えており、高い収入水準にあることが分かります。

一方で、二人以上世帯全体の平均年収は837万円となっています。

これは、現在は年金収入が中心であっても、長年の資産形成や退職金の受け取りなどによって多額の貯蓄を保有しているシニア世帯が含まれているためと考えられます。

3. 貯蓄額の分布から見える、資産状況の「二極化」とは

平均値や中央値だけでは実態を把握しにくいため、貯蓄額ごとの分布も見ていきましょう。

3.1 二人以上世帯全体の貯蓄分布

  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円:5.4%
  • 200~300万円:4.8%
  • 300~400万円:3.8%
  • 400~500万円:4.1%
  • 500~600万円:4.2%
  • 600~700万円:3.4%
  • 700~800万円:3.3%
  • 800~900万円:3.1%
  • 900~1000万円:2.5%
  • 1000~1200万円:5.8%
  • 1200~1400万円:4.3%
  • 1400~1600万円:4.3%
  • 1600~1800万円:3.1%
  • 1800~2000万円:3.1%
  • 2000~2500万円:7.0%
  • 2500~3000万円:5.2%
  • 3000~4000万円:7.5%
  • 4000万円以上:15.2%

3.2 働く世帯(勤労者世帯)の貯蓄分布

  • 100万円未満:11.2%
  • 100~200万円:6.5%
  • 200~300万円:5.6%
  • 300~400万円:4.5%
  • 400~500万円:4.8%
  • 500~600万円:4.8%
  • 600~700万円:3.8%
  • 700~800万円:3.6%
  • 800~900万円:3.3%
  • 900~1000万円:2.7%
  • 1000~1200万円:6.0%
  • 1200~1400万円:4.6%
  • 1400~1600万円:4.3%
  • 1600~1800万円:3.2%
  • 1800~2000万円:3.2%
  • 2000~2500万円:6.3%
  • 2500~3000万円:4.6%
  • 3000~4000万円:6.3%
  • 4000万円以上:10.9%

3.3 世帯主が65歳以上のシニア世帯の貯蓄分布

  • 100万円未満:7.7%
  • 100~200万円:3.7%
  • 200~300万円:3.4%
  • 300~400万円:2.8%
  • 400~500万円:3.2%
  • 500~600万円:3.4%
  • 600~700万円:2.6%
  • 700~800万円:2.9%
  • 800~900万円:3.0%
  • 900~1000万円:2.3%
  • 1000~1200万円:5.6%
  • 1200~1400万円:3.9%
  • 1400~1600万円:4.4%
  • 1600~1800万円:3.1%
  • 1800~2000万円:3.3%
  • 2000~2500万円:8.2%
  • 2500~3000万円:6.2%
  • 3000~4000万円:9.0%
  • 4000万円以上:21.1%

貯蓄額の分布を見ると、世帯の属性によって状況が大きく異なることが分かります。

二人以上世帯全体では、「200万円未満」の世帯が15.5%であるのに対し、「4000万円以上」の世帯も15.2%を占めており、資産状況の差が大きいことがうかがえます。

また、勤労者世帯では4000万円以上の割合が10.9%にとどまる一方、世帯主が65歳以上のシニア世帯では21.1%となっています。

この結果から、現役世代とシニア世代では貯蓄状況に大きな違いが見られることが分かります。

次章では、こうした資産の差と年収との関係について詳しく見ていきましょう。

4. 年収と貯金は本当に比例する?データから浮かび上がる実態

一般的に、「年収が高ければ貯蓄もしやすい」と考えられがちです。

しかし、総務省統計局の「家計調査 貯蓄・負債編-2025年(令和7年)-第8-11表」のデータを確認すると、年収と貯蓄額が必ずしも同じように増えていくわけではないことが分かります。

ここでは、二人以上世帯全体と勤労者世帯について、貯蓄額ごとの平均年収を見ていきましょう。

4.1 二人以上世帯全体の「貯蓄額別・平均年収」

  • 貯蓄100万円未満: 489万円
  • 貯蓄100~200万円: 583万円
  • 貯蓄200~300万円: 607万円
  • 貯蓄300~400万円: 634万円
  • 貯蓄400~500万円: 617万円
  • 貯蓄500~600万円: 619万円
  • 貯蓄600~700万円: 655万円
  • 貯蓄700~800万円: 650万円
  • 貯蓄800~900万円: 651万円
  • 貯蓄900~1000万円: 718万円
  • 貯蓄1000~1200万円: 681万円
  • 貯蓄1200~1400万円: 686万円
  • 貯蓄1400~1600万円: 694万円
  • 貯蓄1600~1800万円: 733万円
  • 貯蓄1800~2000万円: 762万円
  • 貯蓄2000~2500万円: 688万円
  • 貯蓄2500~3000万円: 736万円
  • 貯蓄3000~4000万円: 753万円
  • 貯蓄4000万円以上: 837万円

4.2 働く世帯(勤労者世帯)の「貯蓄額別・平均年収」

  • 貯蓄100万円未満: 564万円
  • 貯蓄100~200万円: 675万円
  • 貯蓄200~300万円: 697万円
  • 貯蓄300~400万円: 743万円
  • 貯蓄400~500万円: 714万円
  • 貯蓄500~600万円: 736万円
  • 貯蓄600~700万円: 773万円
  • 貯蓄700~800万円: 776万円
  • 貯蓄800~900万円: 776万円
  • 貯蓄900~1000万円: 883万円
  • 貯蓄1000~1200万円: 835万円
  • 貯蓄1200~1400万円: 855万円
  • 貯蓄1400~1600万円: 900万円
  • 貯蓄1600~1800万円: 883万円
  • 貯蓄1800~2000万円: 998万円
  • 貯蓄2000~2500万円: 863万円
  • 貯蓄2500~3000万円: 968万円
  • 貯蓄3000~4000万円: 977万円
  • 貯蓄4000万円以上: 1107万円

貯蓄額階級が上がっても年収が下がる?貯蓄と年収が一致しないケース

貯蓄4000万円以上の世帯を見ると、平均年収は二人以上世帯全体で837万円、勤労者世帯では1107万円となっており、確かに高い水準にあります。

しかし、一覧を詳しく確認すると、貯蓄額が上の階級に移っているにもかかわらず、平均年収が前の階級より低くなっているケースも見られます。

つまり、年収が高い世帯ほど必ず貯蓄額も多いという単純な関係ではないことが分かります。

貯蓄の多さは「現在の年収」以外の要素にも左右される

ここで注目したいのが、前章で紹介した「世帯主が65歳以上のシニア世帯では、21.1%が貯蓄4000万円以上を保有している」という結果です。

こうした背景には、退職時に受け取る退職金や相続による資産取得など、年間収入には反映されにくい資金が影響している可能性があります。

このように、貯蓄額の大小は現在の年収だけで決まるものではありません。

長年にわたる資産形成や退職金、相続なども含め、さまざまな要因が貯蓄額に影響していると考えられます。

5. 自力で資産を築く「新富裕層」の台頭と、これからの家計事情

年収だけでは説明しきれない高額貯蓄世帯の背景には、「富裕層」と呼ばれる層の動向も関係していると考えられます。
野村総合研究所の調査データ(※1)によると、日本の富裕層(※2)の世帯数および保有資産額は、長期的に見て増加傾向にあります。

特に2021年から2023年にかけては、株高や円安を背景に資産価値が押し上げられ、その増加が顕著になりました。

ここで注目したいのは、親からの相続などに頼らず、自らの働き方や資産運用によって富裕層の仲間入りを果たす「新しいタイプの資産家」の存在です。

今回の調査では、こうした層として以下の2つのタイプが紹介されています。

5.1 ① 「いつの間にか富裕層」

主に40代後半から50代の一般的な会社員が中心で、コツコツと資産運用を続けた結果、運用資産が1億円を超えた層です。富裕層以上の世帯の1~2割を占めると推計されています。

5.2 ② 「スーパーパワーファミリー」

都市部に住む、世帯年収3000万円超の大企業・共働き世帯です。高い収入を元手に40歳前後から急速に資産を形成し、50歳前後で富裕層に到達する可能性が高い層とされています。

こうした新しいタイプの資産家の存在は、家計調査のような平均データだけでは見えにくい側面かもしれません。

贈与や相続がなくても、自身の収入や運用次第でしっかりと資産を築ける可能性があることは、これからの資産形成を考える現役世代にとって、ひとつの励みになるデータといえそうです。

※1 株式会社野村総合研究所 ニュースリリース「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
※2 世帯の純金融資産額(金融資産から負債を差し引いた金額)を基に、超富裕層(5億円以上)、富裕層(1億円以上5億円未満)、準富裕層(5000万円以上1億円未満)、アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)、マス層(3000万円未満)の5段階に分類

6. まとめ:数字に振り回されない「自分サイズの資産形成」を

ここまで、世帯ごとの貯蓄分布や年収との関係、さらには新しいタイプの資産家の台頭など、さまざまなデータから現代のリアルな資産状況を見てきました。

浮かび上がってきたのは、世代間における資産の格差だけでなく、同じ年収であっても貯蓄水準に大きな差が生まれる「二極化」の現実です。

とはいえ、「平均値」や「中央値」はあくまで全体の傾向を示すひとつの目安にすぎません。理想とする貯蓄額は、家族構成やライフスタイル、将来の夢や目標によって一人ひとり異なります。「一律でいくらあれば絶対に安心」と言い切れるものではないのです。

さらに、家計の本当の姿を把握するためには、「貯蓄」だけでなく「負債」や「実物資産」にも目を向ける必要があります。

住宅ローンなどの借り入れがある場合は、単純な貯蓄額から負債を差し引いた「純貯蓄額」で考える視点が欠かせません。同時に、今住んでいる「不動産の価値」なども考慮に入れ、実質的な資産全体で評価することが大切です。

まずはご自身のライフプランを見つめ直し、現在の資産と負債のバランスを正確に把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
その上で、自分たちに合った無理のないペースで資産形成を考えていくことが、将来の安心へとつながる最も確実な一歩になるはずです。

参考資料

7.1 【補足】家計調査における「貯蓄」の定義

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によれば、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行、その他の金融機関(普通銀行など)への預貯金、生命保険や積立型損害保険の掛金(払込総額)、そして株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式・投資信託は時価、債券・貸付信託・金銭信託は額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金や勤務先の共済組合など金融機関外への貯蓄の合計を指します。

7.2 【補足】家計調査における「年間収入」の定義

総務省統計局の「家計調査」でいう「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の税込み収入を指します。具体的には、以下の1から6までの収入を合計した金額です。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与など)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費などを除く)
3. 内職年間収入(材料費などを除く)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具などの材料費、営業上の諸経費などを除く)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入など)
6. 現物消費の見積り額