年収が多い人は、裕福で貯蓄もある暮らしをしているだろう、というイメージがありますが、そうとも限らないと分かるデータも。

そのひとつ、金融広報中央委員会(知るぽると)が行った「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、2人以上世帯の年収と貯蓄について見てみきましょう。調査に参加した3579世帯の年収別の分布は、以下のようになっています。(表「過去1年間の年間収入別世帯数」を参照)

過去1年間の年間収入別世帯数(金融広報中央委員会の資料をもとに編集部作成)

最も世帯数が多いのは、300万円以上500万円未満の世帯。年収1000万円以上の世帯は、全世帯の約8%となっています。なお、上記は2人以上世帯の調査であるため、夫婦共働きのケースも含まれています。

さらに同調査によれば、年収が「1000万円以上1200万円未満」の137世帯のうち、金融資産を持たない世帯は約10世帯、年収が「1200万円以上」の131世帯のうち、金融資産を持たない世帯は約5世帯となっています。彼らはフローの年収は多いけれども、ストックである金融資産がない状況であることがわかります。

※ここでいう「金融資産がない」とは、預貯金(定期性・普通の区分に関わらない)を含む金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみを保有していても「そのうち運用または将来の備え」がゼロの世帯のことを指します。

金融資産がない世帯の割合

ここで、金融資産を持たない世帯を年収ごとにまとめてみます。(表「年収別の金融資産非保有世帯数と割合」を参照)

年収別の金融資産非保有世帯数と割合(金融広報中央委員会の資料をもとに編集部作成)

全体的に見れば、年収が高くなるほど金融資産を持たない世帯の比率は減少してきますが、どの年収帯にも金融資産のない世帯がいることがわかります。

年収が1000万円あっても金融資産のない世帯が1割もいることを鑑みると、“貯蓄もしっかりあるお金持ち”になるためには、単に「年収が高い」というだけでは不十分な可能性が示唆できます。「節約術」や「資産形成の方法」など、ほかにも要因がありそうです。

貯蓄1000万円以上の世帯は4割!?基本をおさえて貯蓄をはじめよう

年収を上げるのはそう簡単ではないですが、《貯蓄1000万円》ならば、年収に関わらず達成している人が少なくありません。

先ほども引用した「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、金融商品が1000万円以上の世帯は1375世帯で、全体の4割。ある程度の貯蓄があると、生活や気分にも余裕が出てきます。仕事やお金のことに振り回されすぎず、人生設計をコントロールしていきやすくなるでしょう。

最初のハードルは100万円

貯蓄をするには「収入を増やす」「支出を見直す」という2つの方法があります。まずは家計の流れを把握してみましょう。アナログな家計簿に限らず、銀行口座のアカウントと連動したアプリなどを利用すると、複数のお金の一元管理が簡単になるのでおすすめです。

貯蓄目標を1000万円に設定した場合、「最初の100万円を貯める」のが実は一番のハードルといわれています。最初のステップである100万円を達成できる頃には、貯蓄や節約の習慣もかなり身についてくるはず。「自分の暮らしでは、どのくらいの期間で100万円貯蓄できるか」も把握できると思いますので、その後も計画的に貯蓄額アップを目指していきましょう。

貯蓄1000万円を達成して人生をコントロールしよう

ある程度貯金できたら、次は「投資」に取り組んでみるのがおすすめです。上手に運用すれば、収入アップと同じかそれ以上の貯蓄効果が得られます。

資産の減少を避け、安定的に収益を生み出すには、人気もあり定評のある投資先が安心。長期的に運用したり、国内外の金融商品に分散投資をするなど、リスクも鑑みながら投資することも重要です。貯蓄と投資の両方に励みながら、“ゆとりある生活”を作り出していきましょう。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部