6月に入り、店頭には夏野菜が並び始めました。エアコンの稼働による電気代増加に加え、日々の買い物のたびに生活費の負担を実感している方も多いのではないでしょうか。

実際、月別の値上げ品目数は2024年の1万2520品目から、2025年には2万609品目へと急増しました。

2026年もすでに1万1157品目の値上げが判明しており、7月から10月にかけてさらに5664品目の値上げが控えている厳しい状況です。

公的年金を中心に生活を送るシニア世帯にとって、こうした終わりの見えない物価高は家計に重くのしかかります。

そんな中、2026年6月15日の支給日からは、今年度の増額改定(国民年金1.9%増、厚生年金2.0%増)が反映された年金が支給されます。

少し安心できるニュースである一方で、「天引きされる税金や社会保険料はどうなるのか」「同世代は毎月いくらもらっているのか」とリアルな懐事情に不安を感じる方もいるでしょう。

本記事では、2026年度の最新の年金支給額や通知書の正しい見方に加え、60歳から89歳までの「1歳刻みの平均年金月額」を解説します。これからの生活設計のヒントとしてお役立てください。

1. 2026年度はいくら増える?6月支給分からの最新年金額をチェック

公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて見直されます。2026年度については、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。

この新しい改定率は、2026年6月に支給される4月・5月分から適用されます。年金受給者の方には、6月の支給に合わせて日本年金機構から改定後の年金額が記載された通知書が送付される予定です。

1.1 2026年度の国民年金(満額)と厚生年金(モデル世帯)の支給額

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額2/9

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

【2026年度】国民年金・厚生年金の支給額モデルケース

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分)(※1):月額7万608円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)(※2):月額23万7279円

※1:昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※2:厚生年金のモデルケースは、平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、その配偶者が国民年金を満額受給する場合の世帯の給付水準(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金)です。

2. 額面だけで安心しないで!6月に届く「年金通知書」で手取りを確認

すでに年金を受給している方には、毎年6月に日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が郵送されます。

「年金額改定通知書」には、当該年度(4月分以降)の改定後の年金額が記載されています。

一方の「年金振込通知書」では、年金から特別徴収される税金や社会保険料の内訳、そして実際に口座に支給される手取り額を確認できます。

2.1 「年金振込通知書」で確認!年金から天引き(特別徴収)される項目

「年金振込通知書」3/9

「年金振込通知書」

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

老齢年金から天引きされる税金・社会保険料とは

  • 介護保険料
  • 公的医療保険料(国民健康保険または後期高齢者医療制度)
  • 個人住民税・森林環境税
  • 所得税・復興特別所得税

年金の受給額が一定以上の場合、現役時代と同様に介護保険料、医療保険料、住民税、所得税などが特別徴収(天引き)されます(※)。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で示される金額は、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなる点に注意が必要です。

※年間の受給額が18万円未満である場合など、条件によっては年金からの天引きが行われないケースもあります。

3. 【60歳代のリアル】1歳刻みで見る国民年金・厚生年金の平均受給額《年金一覧リスト》

ここからは、現在のシニア世代が実際に受給している老齢年金の平均額を見ていきましょう。

厚生年金と国民年金について、1歳刻みの平均年金月額を一覧表で確認します。

本記事で示す厚生年金の月額には、基礎年金である国民年金部分が含まれています。

3.1 60歳代の厚生年金平均月額(1歳刻み)

60歳代の厚生年金額4/9

60歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

3.2 60歳代の国民年金平均月額(1歳刻み)

60歳代の国民年金額5/9

60歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

データを見ると、65歳から69歳の平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が6万円台であることがわかります。

64歳までの平均額が65歳以降より低いのは、繰上げ受給(※1)を選択した人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人が含まれるためです。

※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳から64歳の間に前倒しで受給する制度です。繰上げた月数に応じて年金額が1カ月あたり0.4%減額され、その減額率は生涯適用されます。
※2 特別支給の老齢厚生年金:厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられたことに伴う経過措置です。生年月日などの一定条件を満たす場合に、65歳になる前から受給できます。

4. 【70歳代のリアル】同世代はいくらもらってる?1歳刻みの平均受給額《年金一覧リスト》

次に、70歳代における各年齢の平均年金月額を確認します。

4.1 70歳代の厚生年金平均月額(1歳刻み)

70歳代の厚生年金額6/9

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

4.2 70歳代の国民年金平均月額(1歳刻み)

70歳代の国民年金額7/9

70歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

70歳代の平均月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金は5万円台から6万円台で推移しています。

5. 【80歳代のリアル】受給額に差は出る?1歳刻みで見る平均受給額《年金一覧リスト》

続いて、80歳代の各年齢の平均年金月額をみていきましょう。

5.1 80歳代の厚生年金平均月額(1歳刻み)

80歳代の厚生年金額8/9

80歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

5.2 80歳代の国民年金平均月額(1歳刻み)

80歳代の国民年金額9/9

80歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

80歳代の平均受給額をみると、厚生年金は15万円台から16万円台、国民年金は5万7000円台から5万9000円台となっています。

ここで紹介したデータは、あくまで各年齢の平均値です。実際の受給額は、現役時代の加入状況や保険料の納付実績に応じて個人差があります。

6. 年齢とともに減少する所得。年代別「住民税課税状況」を見る

厚生労働省が公表した「令和6年国民生活基礎調査」を基に、年代別の住民税課税世帯の割合を確認します。

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

  • 30〜39歳:87.5%
  • 40~49歳:88.2%
  • 50~59歳:87.3%
  • 60~69歳:79.8%
  • 70~79歳:61.3%
  • 80歳以上:52.4%
  • 65歳以上(再掲):61.1%
  • 75歳以上(再掲):54.4%

※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。

住民税が課される世帯の割合は、年齢層によって大きく異なることがわかります。

30歳代から50歳代では約9割が課税世帯であるのに対し、60歳代では79.8%、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、年齢が上がるにつれて課税世帯の割合は低下する傾向にあります。

7. 年金改定の今こそチャンス!手取り額を把握して老後の生活設計を

年金額の増額改定は喜ばしいニュースですが、相次ぐ物価高やそれに伴う支出増を考慮すると、公的年金だけでゆとりある生活を送るのは決して容易ではありません。

今回確認した60代〜80代の平均受給額からもわかるように、実際の受給額には個人の加入実績により大きな差があります。

さらに、年齢が上がるにつれて住民税非課税世帯の割合が増加する(=所得が減少している)という厳しい現実も直視する必要があります。

だからこそ、6月に届く「年金振込通知書」は必ず開封し、額面だけでなく「天引き後の手取り額」を1円単位で正確に把握することが大切です。

税金や社会保険料の仕組みは複雑に思えるものが少なくありません。

ご自身の家計を見直すだけでなく、離れて暮らす親御さんとも通知書を見せ合いながら「実際の手取り額」について話し合ってみてはいかがでしょうか。現状を正しく知ることが、安心できる将来の生活設計への第一歩となります。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班