8. 40歳代に多い「資産の目減り」への不安。元銀行員が伝えたいこと

老後の生活費や年金の受給額に不安を感じ、定年後の収入減にどう備えるべきか悩むという声をよくいただきます。特に、これまで預貯金や保険を中心に堅実に備えてきた方ほど、昨今の物価上昇を前に「このままのペースで老後資金は足りるのだろうか」と焦りを感じる方が少なくありません。

8.1 40歳代に多いお悩み相談は「資産の目減りが不安」「これまでの備え方でよいのか分からない」

40歳代のお客様
共働きで住宅ローンを返済しながら、財形貯蓄や保険で数千万円規模の資産を準備してきましたが、物価が上がる中で今の運用効率に不満があります。このままでは資産が目減りしてしまうのではないかと不安です。過去に投資で元本割れを経験したこともあり、運用には慎重になっています。

ご夫婦で働きながら住宅ローンを返済しつつ、まとまった資金を準備されてきたという方は多く、こうしたケースでは日々の生活で物価上昇を実感するほど、今の運用効率への不満が募りやすいものです。過去の投資で元本割れを経験し、運用に慎重な姿勢をお持ちの方も少なくありません。それでも、老後の生活費を補うための具体的な備えが必要だと感じ、家計全体の見直しに向けて一歩を踏み出そうとする方は多くいらっしゃいます。

8.2 【元銀行員からアドバイス】保険と貯蓄のバランス、資産の持ち方を見直す

こうした悩みに対して、相談の中でよくお伝えしているのが、まず保険と貯蓄のバランスを見直すという視点です。

「保険は最低限の備えで、浮いた分をNISAに回す」という考え方に納得される方は多く、将来の不安から保険料を払いすぎるのではなく、必要な保障を適正なサイズに抑えることで、老後に向けた資産形成の原資を無理なく生み出すことができます。現役時代の家計負担を軽くしながら、将来のための資金を確保することは、多くの方にとって有効な選択肢となります。

そのうえで、預貯金だけで資産を持つことのリスクにも目を向ける必要があります。シミュレーションをすると老後の不足額はそれほど大きくないと分かるケースもありますが、物価が上がっているのに預金は変わらないままでは、実質的な資産の価値は目減りしてしまいます。資産の一部を運用に回すことは、物価上昇から生活を守るための大切な視点になります。

また、年齢やライフステージに応じた資産の持ち方を意識することも重要です。現役世代は複利で資産を育て、老後は単利で年金のように受け取るという使い分けは、収入減の不安を和らげる有効なアプローチとなります。若い頃以上に、出口戦略を見据えた運用が大切になるでしょう。

私自身、23歳で投資信託を始めた頃、個別株をわずか数%の利益で解約し、買い直した銘柄で数十%の損を出した経験があります。焦って売買してしまうと、かえって資産を減らしてしまうこともあります。だからこそ、老後の収入減への備えは、預金か投資か、あるいはどの制度を使うべきかと決めつける前に、現在の家計のバランスや保有資産の役割を一つずつ整理してみることが、将来の安心に向けた出発点になります。

そして、老後の収入減に対しては、一つの方法に頼り切らないことも安心につながります。年金だけでは生活が不安なときにどこから補填するかを考えたうえで、NISAや既存の資産を組み合わせて使えることを知っておくと、選択肢はぐっと広がります。公的年金だけで不足する部分を、これまで準備してきた多様な資産から計画的に引き出していく視点が求められます。

9. 【監修者コメント】40歳代から資産の一部をNISAで運用したらどうなる?

たとえば40歳から65歳までの25年間、財形貯蓄などの一部を毎月5万円、年3%程度の利回りで積み立てられたと仮定すると、元本1500万円に対して資産評価額は約2217万円になる計算です(あくまで一例の試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません)。

この場合、運用益にあたる約717万円分は、通常の課税口座であれば20.315%の税金(約146万円)がかかりますが、新NISA口座であれば非課税のままそのまま受け取れます。まとまった資産をお持ちの方ほど、この非課税枠の効果は大きくなります。

大切なのは、すでにお持ちの資産はそのまま守りつつ、無理のない金額でインフレに強い資産を並行して育てていく、というイメージを持っていただくことです。

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出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

参考資料