2. 資金が必要なときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が利用できる

とはいえ、「葬儀代を親の口座から引き出したい」「遺された家族の当面の生活費が必要」ということも少なくありません。その場合は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」の利用を検討してみましょう。

遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは、遺産分割協議が完了する前でも、相続人が単独で一定額まで払い戻しを受けられる制度です。

「ご存知ですか?」遺産分割前の相続預金の払い戻し制度

「ご存知ですか?」遺産分割前の相続預金の払い戻し制度

出所:一般社団法人 全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払い戻し制度」

引き出せる上限額は次のとおりです。

  • 相続開始時の預貯金残高 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

ただし、同一金融機関からの払い戻しは150万円までが上限です。手続きには戸籍謄本など相続関係を証明する書類が必要となるため、事前に各金融機関の窓口で確認しておくとよいでしょう。

2.1 必要なお金は事前に準備しておくことがおすすめ

亡くなった後は銀行の手続き以外にも公的年金や健康保険の手続き、電気・ガス会社への連絡などさまざまな手続きが発生します。遺された人の負担が少しでも軽減されるように、葬儀代などの費用は生前から準備しておくことがおすすめです。

たとえば、生命保険は受取人を指定して遺せることに加えて、受け取り手続きも比較的簡潔です。「生命保険で葬儀代を受け取れるようにしておく」「当面の生活費は生命保険でまかなうようにする」といった方法で活用するのもよいでしょう。

また、生前贈与によってあらかじめ必要な金額を渡しておくのもひとつの方法です。贈与は年間110万円の基礎控除がありますので、控除内の金額であれば原則税金は発生しません。

ただし、複数年にわたって贈与し続けると、税務署から「あらかじめ決まった金額を分割して贈与した」とみなされ、まとめて贈与税が課される可能性があります。

また、贈与の事実が書面で残っていない場合、相続発生後に他の相続人とのトラブルに発展することもあるかもしれません。贈与を行う際は、「贈与契約書」を毎回作成しておくと安心です。