5. 私的年金制度の改正ポイントを解説
2025年6月に、年金制度改正法が成立しました。
この改正には、「年収106万円の壁」の見直しにつながる社会保険の適用拡大や、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金制度の変更といった、公的年金に関する重要な変更点が含まれています。
同時に、私的年金であるiDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCについても、いくつかの見直しが実施されることになりました。
5.1 iDeCoの加入可能年齢が70歳未満に引き上げ(3年以内に実施)
働き方の違いにかかわらず、iDeCoに加入できる年齢の上限が「70歳未満」へと引き上げられます。
- 改正前の加入条件
- 国民年金被保険者であること
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していないこと
- 改正後の対象者イメージ
- iDeCoを活用して老後の資産形成を続けたい方
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない方
5.2 企業型DCのマッチング拠出上限が撤廃へ(3年以内に実施)
企業型DCにおいて、加入者本人が掛金を追加できる「マッチング拠出」の上限がなくなります。
この変更により、事業主の掛金額を上回る拠出も可能になり、限度額内でより柔軟な資産形成ができるようになります。
5.3 企業年金の運用状況の「見える化」がスタート(5年以内に実施)
企業年金の運用実績に関する情報を厚生労働省が一元的に集約し、公表する仕組みが導入されます。
これにより、他社の運用状況との比較や分析がしやすくなります。
6. まとめ:年金制度の理解と自身の受給額把握が老後設計の鍵
この記事では、公的年金の基本的な構造や、最新の年金額の動向について解説してきました。
公的年金の統計データを見ると、平均受給額と個々の受給実態には乖離があり、高額な年金を受け取っているのは一部の人に限られることがわかります。
年金制度は物価や賃金の変動に合わせて毎年調整される仕組みであり、私的年金についても制度の見直しが進んでいます。
したがって、老後の資金計画においては公的年金のみに頼るのではなく、複数の手段を組み合わせて準備するという視点が不可欠です。
制度の仕組みとご自身の受給額の見込みを正しく理解し、自分に合った対策を講じることが大切です。
単に「平均額」を参考にするだけでなく、まずは「ねんきん定期便」でご自身の状況を確認することから始めましょう。
その上で、必要に応じてiDeCoや新NISAの活用を検討するなど、早期に準備をスタートさせることが重要です。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- LIMO「【国民年金+厚生年金】「月15万円(年間180万円)」もらう人は何パーセント?みんなの平均年金月額はいくらか」
鶴田 綾
