3. 年金と生活保護を併用する人の約7割が単身世帯という事実
さらにデータを詳しく見て、年金を受け取りながら生活保護を利用している方々の「家族構成」を確認してみましょう。
厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」によると、生活保護を受ける年金受給者(約48万5000人)のうち、配偶者の有無は以下の通りです。
- 配偶者がいる世帯:10万2000人
- 配偶者がいない世帯:36万2000人
このうち、配偶者がいない「単身世帯」は31万6000人となっています。
つまり、生活保護を受けている年金受給者のうち、7割以上が「配偶者のいない単身世帯」であることが分かります。
夫婦世帯であれば、2人分の基礎年金を受け取ることができ、生活費も分担できます。
しかし、単身世帯の場合はそうはいかず、一人の収入で全ての生活費を賄わなければなりません。
4. 公的年金制度に残る「男女間の受給額格差」とは
もう一つ、見過ごすことのできない問題が「公的年金の男女格差」です。
厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」によると、生活保護受給者に限らず、全体の平均年金額を見ると、男性は年額192万6000円です。
配偶者がいない世帯では171万4000円となっています。
これに対して女性は年額120万7000円と、大きな差が見られます。
配偶者がいない世帯では145万2000円でした。
生活保護を受けている方に絞って見ても、女性の平均年金額は年額58万3000円(月額約4万8000円)と低い水準にとどまっています。
この背景には、年金額の決定方法が関係していると考えられます。
国民年金は「保険料の納付月数」によって、厚生年金は「現役時代の報酬額や加入期間」によって決まる仕組みです。
かつての日本では、「女性は結婚後に家庭に入る」という考え方や、パートタイム労働が中心といった雇用・社会構造が一般的でした。
こうした状況が、結果として男女間の年金額の差につながったとみられます。
近年では共働き世帯が増加しており、年金の男女差は少しずつ縮小していくと予想されます。
とはいえ、個々人の働き方による差は今後も存在し続けるでしょう。
老後に受け取る年金額は現在の働き方に直結するため、将来を見据えて自身のキャリアを考えることが重要です。

