無事学校を卒業し、仕事に就き、人生の伴侶も得て…と、さまざまな経験を経た一人前の大人とはいえ、ひとたび親になってみれば、わからないことだらけ。子育てには自分が積んできた社会経験が通用しないことに愕然とすることも多々あります。

インターネット上にはあふれるほどの情報がありますが、その中から自分が必要なものだけを探し当てるのは大変です。子育てをしていれば、急に「これでいいのかしら?」と不安になることもあります。

そんな時、医学的にも社会的にも赤ちゃんと親のことを理解している相談先があれば、と思うのは自然なこと。ニュージーランドには母子のこうしたニーズにこたえたサービスを行う「プランケット」という組織があります。生後1カ月から5歳までの子どもと家族の健康と幸せをサポートしています。

子どものいる家族全体が支援の対象

プランケットは、「人生最初の1,000日間が、人の生涯を左右する」というビジョンのもと、全国規模で運営されています。創立は1907年。以後現在に至るまで、ニュージーランドの子どもたちの面倒を見ています。

プランケットのサービスを受けて育った赤ちゃんのことを「プランケット・ベビー」と呼びます。国内で生まれた新生児のうち、プランケット・ベビーが占める割合は90%超にも上ります。見かける子はどの子もプランケットの支援を受けたといっても過言ではありません。

他の親子と交流ができる「プレイグループ」の主催や、保護者のための教育、チャイルドシートに関する安全教育など、さまざまなサポートが用意されていますが、核となっているのは、「プランケット・ナース」による健診・相談サービスです。

このナースは、看護師の資格を持ち、プランケット独自の訓練を受けています。子どもが小学校にあがり、サービスが終了になるまでずっと同じナースが担当してくれます。健診・相談サービスを受ける際には、ナースに自宅に来てもらうことも、各所にあるセンターに行ってナースに会うこともできます。体重や頭囲、身長などの計測、各月齢・年齢に応じた成長をしているか、異常はないかなどを確認してくれます。

同時にナースは母親の身体的・精神的健康にも留意し、子どもが育つ環境や家族についても気を配ってくれます。同サービスは生後15カ月になるまでに約5回、その後は1年に1回行われます。面会と面会の間に相談したいことが出てきたら、担当のナースに連絡を取るか、年中無休で24時間受け付けているフリーダイヤルに電話します。

新しい町での「根っこ」を作ってくれたナース

筆者の娘もご多分にもれず、プランケット・ベビーです。娘が生後約2カ月の時に、新しい町に引っ越してきたこともあり、プランケットはとても頼りになる存在でした。