1. 「給付付き税額控除」とは?税額控除と現金給付を組み合わせた制度の基本と「給付一本化」への最新動向

本来の給付付き税額控除は、所得税から決まった額を引く「税額控除」と、それでも控除しきれない分を現金で直接支払う「給付」を合わせた制度です。

この制度の最も重要な点は、「納税額が少ない方や非課税の方ほど、給付という形で手厚い支援を受けられる」という部分にあります。

この仕組みによって、これまでの減税策では恩恵が届きにくかった層にも、確実な支援を提供できることになります。

1.1 最新動向:事務負担を考慮し「給付措置への一本化」で調整

しかし、2026年5月に開かれた社会保障国民会議では、税額控除と給付を厳密に運用すると、年末調整を担当する事業者や自治体の事務負担が非常に大きくなるという問題点が指摘されました。

このため、実務的な対応として「税務当局が保有する所得情報を基に、詳細な『給付措置』へ一本化する(広義の給付付き税額控除)」という方向で、大筋の合意が形成されています。

これから説明するのは、本来の「給付付き税額控除」の基本的なモデルです。

実際の制度運用では、これと同じくらいの負担軽減効果がある支援が、複雑な手続きなしに「給付(現金支給)」というシンプルな形で提供される予定です。

所得の水準によって支援の形は、主に以下の3つのパターンに分類されます。

※2026年6月の執筆時点では、具体的な基準や金額の詳細はまだ検討段階です。

1.2 控除額10万円の具体例で見る、所得層別の3つの支援パターン例

控除額10万円の具体例で見る、所得層別の3つの支援パターン例2/3

控除額10万円の具体例で見る、所得層別の3つの支援パターン例

出所:LIMO編集部作成

パターン1:中・高所得層の場合

所得税の納税額が、定められた控除額よりも多い層がこのパターンに当てはまります。

  • 所得税の納税額:30万円(控除額10万円を超えるケース)
  • 適用される支援:控除額である10万円の全額が税額控除となり、納税額から直接引かれます。
  • 受けられる恩恵:実際の納税額は20万円まで減少し、税の負担が軽減されます。

パターン2:低所得層の場合

所得税の納税額が、設定された控除額に届かない層が対象となります。

  • 所得税の納税額:8万円(控除額10万円に満たないケース)
  • 適用される支援:最初に納税額8万円分が減税扱いとなり、納税の必要がなくなります。その上で、控除しきれなかった差額の2万円が現金で支給されます。
  • 受けられる恩恵:所得税を支払う必要がなくなるだけでなく、2万円の現金を直接受けとることが可能です。

パターン3:非課税世帯の場合

所得が基準額に満たず、所得税を納める義務がない世帯がこのパターンの対象です。

  • 所得税の納税額:0円のケース
  • 適用される支援:所得税の納税実績がないため、税額控除は行われません。代わりに、控除額の10万円が全額現金で支給されます。
  • 受けられる恩恵:これまでの減税策では支援の対象外だった世帯にも、直接的な経済的サポートが届くことになります。

※2026年6月の執筆時点において、控除額などの具体的な内容は決まっていません。