公的年金は老後の主要な収入源ですが、受給額は人によって大きく異なります。会社員として長く働いた人と、国民年金のみの人とでは月額10万円以上の差が生まれるのが実情です。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月末時点の厚生年金(第1号)老齢年金受給権者は1608万5696人です。この受給権者を月額10万円未満と月額20万円以上に分けたとき、どちらが多いかを最新データで確認します。

自分の年金額と比較しながら、ぜひ参考にしてみてください。

1. 2026年4月分から年金額は1.9〜2.0%引き上げ、6月15日支給分から反映

1.1 改定後の月額と物価上昇との関係

2026年度の年金額は、国民年金(基礎年金)が前年度比1.9%引き上げられました。また、厚生年金については報酬比例部分が前年度比2.0%引き上げられています。新しい金額が実際に振り込まれるのは、2026年6月15日に支給される4月分・5月分からです。

令和8年4月分からの年金額1/3

令和8年4月分からの年金額

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

【2026年度の主な年金額(月額)】

  • 老齢基礎年金(満額・1人分):7万608円(前年度比+1300円)
  • 厚生年金の標準的な年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む):23万7279円(前年度比+4495円)

※厚生年金の標準モデルは、夫が平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)で40年間就業し、妻が同期間ずっと専業主婦だった世帯を想定しています。この夫婦が65歳から受け取る合算月額が23万7279円です。

ただし、消費者物価指数は2025年平均で前年比2.7%の上昇です。そのため、年金月額の改定率1.9〜2.0%は物価上昇に追いついておらず、実質的な年金の価値は目減りしていることになります。

1.2 受給権者は1608万人、平均月額は15万0289円

「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(第1号)の老齢年金受給権者は1608万5696人、平均年金月額(国民年金+厚生年金)は15万0289円です。

男性平均は16万9967円、女性平均は11万1413円で、男女差は月額約5万8000円あります。

2. 月額10万円未満は305万人、月額20万円以上は302万人

2.1 月額階級別の人数を集計するとほぼ拮抗

同概況では、厚生年金(第1号)の老齢年金受給権者を月額1万円刻みで集計しています。1608万5696人を月額階級別に並べると以下のとおりです。

厚生年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数2/3

厚生年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【厚生年金第1号 老齢年金受給権者の月額階級別人数(令和6年度末)】

  • 1万円未満:4万3399人
  • 1〜2万円:1万4137人
  • 2〜3万円:3万5397人
  • 3〜4万円:6万8210人
  • 4〜5万円:7万6692人
  • 5〜6万円:10万8447人
  • 6〜7万円:31万5106人
  • 7〜8万円:57万8950人
  • 8〜9万円:80万2179人
  • 9〜10万円:101万1457人
  • 10〜11万円:111万2828人
  • 11〜12万円:107万1485人
  • 12〜13万円:97万9155人
  • 13〜14万円:92万3506人
  • 14〜15万円:92万9264人
  • 15〜16万円:96万5035人
  • 16〜17万円:100万1322人
  • 17〜18万円:103万1951人
  • 18〜19万円:102万6888人
  • 19〜20万円:96万2615人
  • 20〜21万円:85万3591人
  • 21〜22万円:70万4633人
  • 22〜23万円:52万3958人
  • 23〜24万円:35万0004人
  • 24〜25万円:23万0211人
  • 25〜26万円:15万0796人
  • 26〜27万円:9万4667人
  • 27〜28万円:5万5083人
  • 28〜29万円:3万0289人
  • 29〜30万円:1万5158人
  • 30万円以上:1万9283人

集計すると、月額10万円未満の人は305万3974人、月額20万円以上の人は302万7673人でした。差はわずか2万6301人で、両グループの規模はほぼ拮抗しています。

全体に占める割合は、10万円未満が約19.0%、20万円以上が約18.8%と、ともに5人に1人弱でした。

2.2 年代別の事情と男女差が分布をつくっている

10万円未満の層には、繰上げ受給で減額を選んだ人、厚生年金の加入期間が短い人、女性の受給権者が多く含まれます。

一方、20万円以上の約302万人のうち男性が約294万人と97%を占めています。現役時代に高い報酬を得て長く厚生年金に加入した人ほど、20万円台の受給につながりやすい構造です。

3. 国民年金の平均は5万9310円!

3.1 国民年金の分布は7万円未満に9割が集中

国民年金(老齢年金)受給権者は3345万4617人で、平均年金月額は5万9310円です。月額分布をみると、7万円未満の受給者が約3046万人と全体の約9割を占めています。

国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数3/3

国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【国民年金 老齢年金受給権者の月額階級別人数(令和6年度末)】

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1〜2万円:21万3583人
  • 2〜3万円:68万4559人
  • 3〜4万円:206万1539人
  • 4〜5万円:388万0083人
  • 5〜6万円:641万0228人
  • 6〜7万円:1715万5059人
  • 7万円以上:299万7738人

国民年金のみの平均月額5万9310円に対し、厚生年金第1号の平均月額は15万289円です。差は月9万979円、年額で約109万円にのぼり、厚生年金加入の有無が老後の月額を大きく左右しています。

4. 年金月額を上げる3つの方法

老後の月額を1〜2万円単位で底上げする方法として、次の3つが挙げられます。

4.1 厚生年金加入期間を延ばす

60歳以降も会社員として働き70歳まで加入する方法です。

短時間労働者への適用拡大も進み、2024年10月からは従業員51人以上の企業まで対象が広がりました。さらに2025年6月成立の年金制度改正法で、企業規模要件と月額賃金要件(106万円の壁)の段階的撤廃も決まり、加入できる人がさらに増える見通しです。

4.2 繰下げ受給で増額する

原則65歳の受給開始を66歳以降75歳まで遅らせる方法です。

1カ月あたり0.7%、最大10年で84.0%増額された年金が生涯続きます。月15万円の人が75歳まで繰り下げれば月27万6000円まで増える計算です。なお繰下げ期間中は年金収入がゼロになる点に注意してください。

4.3 iDeCo・新NISAで上乗せ収入をつくる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金が全額所得控除となり、現役時代の節税効果も得られます。新NISAは年間360万円・生涯1800万円までの非課税枠で運用益・配当が非課税です。

5. 自分の見込額を確認して老後計画を立て直そう

厚生年金第1号の受給権者1608万5696人を月額階級で見ると、10万円未満が305万3974人、20万円以上が302万7673人とほぼ拮抗していました。

平均月額15万289円という1つの数値だけでは見えない「分布の幅」が、老後の家計に大きな差を生んでいることがわかります。

一方、国民年金(老齢年金)受給権者全体の平均月額は5万9310円となっています。

老後の年金額は、現役時代の加入制度や加入期間、収入水準などによって大きく異なります。まずは「ねんきんネット」などで自身の年金見込額を確認しておくとよいでしょう。

50歳以上ならねんきん定期便にも見込額が記載されています。

不足が見えれば、加入期間の延長、繰下げ受給、iDeCo・新NISAでの上乗せを組み合わせて月額1〜2万円単位で底上げする計画を立ててみてください。

参考資料

苛原 寛