今週6月15日は年金支給日でしたが、日本の公的年金制度は、1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」からなる「2階建て構造」が特徴です。
全員一律の保険料を支払う国民年金に対し、厚生年金は現役時代の収入(報酬)に応じて保険料や将来の給付額が決まります。そのため、現役時代の働き方や加入期間によって、老後に受け取る年金額には大きな個人差が生まれます。今回は最新のデータをもとに、厚生年金の受給実態と高齢期のライフプランについて解説します。
1. 厚生年金、6月15日の支給日に「30万円(月額15万円)以上」の受給者は全体の何%?
厚生労働省の資料「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は男女全体で15万289円です。
公的年金は原則として2か月に一度、偶数月に支給されるため、1回の支給日には2ヶ月分の約30万円が振り込まれる計算になります。では、この基準となる「月額15万円以上」(1回あたり約30万円以上)を受給している人は、実際にどれくらいいるのでしょうか。
※下記の厚生年金の年金月額には国民年金(老齢基礎年金)部分を含みます。
さらに男女別で見ると、男性の平均月額は16万9967円、女性は11万1413円となっています。これは現役時代の雇用形態や就業期間など、ライフステージに応じた働き方の違いが背景にあります。
実際に月額15万円以上の受給割合は、男性が68.8%に上るのに対し、女性はわずか12.3%にとどまるのが現状です。このように、現役時代の収入や加入期間によって、将来受け取れる年金額には大きな個人差が出ます。老後の生活設計を現実的に進めるためにも、まずは「ねんきん定期便」などで自身の見込み額を確認し、早めの資金計画を立てることが大切です。
2. 日本と世界のシニア層、「生活満足度」「就労意欲」を比べてみる
内閣府から発表された「令和8年版高齢社会白書」の国際比較調査から、日本の高齢者の生活実態と意識の特徴が見えてきました。これまでに見てきた「厚生年金の平均年金月額」を踏まえ、これからの高齢期の暮らし方や選択肢を考えるためのデータを紹介します。
2.1 生活満足度は約8割、しかし4カ国中では最下位
「現在の生活に満足しているか」という問いに対し、日本の65歳以上の人の約8割(79.2%)が「満足している」または「まあ満足している」と回答しました。
一見すると高い数字に見えますが、比較対象となった他国と並べると異なる側面が浮かび上がります。
- 日本: 79.2%
- ドイツ:88.5%
- アメリカ:93.6%
- スウェーデン:96.6%
日本の高齢者の満足度は、調査対象となった4カ国の中で最も低い水準に留まっていることが分かります。
2.2 際立つ就労意欲、約4割が「仕事を続けたい」
その一方で、「収入を伴う仕事をしたいと思うか」という就労意欲の面では、日本特有の傾向が表れています。
- 日本:約4割(39.0%)が「仕事をしたい(続けたい)」と回答
- アメリカ、ドイツ、スウェーデン:3カ国ともに7割以上が「収入を伴う仕事をしたくない(辞めたい)」と回答
比較した欧米の3カ国ではリタイア後の生活を重視する傾向が強いのに対し、日本では働くことへの高い意欲が示されています。以上の結果から、他国に比べて生活満足度がやや低い半面、働くことへの意欲は高いという結果になりました。
平均的な厚生年金を受給しながらも、経済的な補填や社会とのつながりを求めて「働き続けたい」と考える、日本の高齢者の現状の一端を映し出しているのかもしれません。これからのシニアライフにおいては、年金という安心の基盤を持ちつつ、いかに自分に合った働き方をライフプランに組み込んでいくかが、生活の質(QOL)を保つ一つのポイントとなりそうです。



