2026年6月も後半に入り、梅雨特有のどんよりとした空模様が続くなか、これから迎える本格的な夏の猛暑を前に「電気代の上昇がどれだけ家計に響くか」が気になる季節を迎えました。
長引くインフレによる生活費の負担を少しでも減らすため、身近な企業の株主優待や配当金を活用した「資産防衛」を考えている方も多いのではないでしょうか。
日本の高配当・優待株のなかでも、特に少額から購入できることで高い人気を集めているのがNTT(日本電信電話)です。
100株の保有でもドコモの携帯料金支払いや買い物に使える「dポイント」がもらえるため、初心者向けの銘柄としてよく紹介されます。
しかし、このNTTの株主優待には、特有のルールが存在します。本記事では、NTTの株主優待制度の概要を整理するとともに、エントリー手続きの見落とし、保有カウントのリセット条件、そして長期保有の前に必ず知っておきたい「配当性向の読み方」について分かりやすく解説します。
1. 毎年もらえるわけじゃない?NTTの株主優待制度の概要とdポイントの仕組み
NTTは2024年度より株主優待制度を刷新しました。
保有期間の長さに応じてdポイントが付与される設計になっており、短期売買よりも継続して持ち続けることに価値が生まれる仕組みです。
- 権利確定日:3月31日
- 対象:100株以上の保有者
- 優待内容:dポイント付与(継続保有期間により変動)
なお、付与ポイント数は保有期間ごとに応じて、以下のように定められています。
- 2年以上3年未満の継続保有:1500ポイント
- 5年以上6年未満の継続保有:3000ポイント
2年未満ではポイントが付与されません。また、毎年進呈されるものではなく、同一の株主番号で得られる最大ポイント数は4500ポイントです。「買ってすぐにもらえる」優待銘柄とは異なり、一定期間の継続保有が前提となる制度です。
2. ポイント受け取りには期限内の「エントリー」が必須
この優待を受け取るうえで見落とされやすいのが、エントリー(事前登録)の手続きです。権利確定後に郵送される株式関係書類に同封のログインID・パスワードを使い、専用のエントリーサイトで手続きを完了させる必要があります。
エントリー期間を過ぎると、継続保有要件を満たしていてもポイントは進呈されません。2026年度進呈対象株主のエントリー期間は、2026年5月29日午前8時から2027年3月31日午後9時59分までです。案内が届いたら、早めに手続きを済ませましょう。
なお、dポイントには有効期限(通常1年)があるため、付与後は使い忘れに注意することも大切です。
3. 株主番号の変更による「保有カウントのリセット」に要注意
NTTの継続保有期間は、同一の株主番号で株主名簿に連続して記載されている期間で判定されます。株主名簿への記載は、毎年3月・6月・9月・12月の最終営業日に確定します。
特に注意が必要なのは次のケースです。
- NISAの非課税枠を整理するために一時的に売却した場合
- 証券会社を乗り換える際に移管ではなく売却・再購入を行った場合
これらは、手続きの方法によって継続保有の記録が途切れる可能性があります。
売却を検討する前に、継続保有カウントへの影響を必ず確認してください。証券会社の貸株サービスを利用する場合も、同様に確認が必要です。
4. 配当方針と配当性向の意味を正しく理解する正しく理解する
NTTは、継続的な増配を基本的な考え方とし、自己株式取得も機動的に実施する方針を示しています。
配当性向とは、「当期純利益のうち、どれだけの割合を配当として株主に還元しているか」を示す指標です。計算式は「1株あたり配当÷1株あたり純利益×100」です。
一般的に、配当性向の健全な目安は30〜50%程度とされています。この水準を下回ると株主還元が不十分と見られやすく、逆に60〜70%を超えると利益以上の無理な配当リスクや、再投資余力の低下が懸念されます。NTTの40〜50%は国際的にも適正範囲内であり、財務バランスの取れた水準といえます。
継続的な増配を基本方針としている点は、長期保有者にとって確認したい材料の一つです。ただし、将来の配当が保証されているわけではないため、業績や資金繰りの変化も継続的に確認しましょう。
5. まとめ:最新の優待ルールを正しく把握し、賢い長期の資産形成へつなげよう
まず自分の継続保有期間が2年・5年の要件を満たしているかを確認し、権利確定後に届く案内が来たらその週のうちにエントリーを完了させましょう。
売却・再購入を行うとカウントがゼロに戻るため、NISA枠の整理や証券会社の乗り換え前には必ず影響を確認してください。
配当性向40〜50%の累進配当方針は長期保有者にとって安心材料です。dポイントには有効期限もあるため、付与後の使い忘れにも注意が必要です。
「持ち続けること」に価値がある銘柄と理解したうえで、長期保有の計画を立ててみてください。
参考資料
柴田 充輝