2. 「東急」から「カインズ傘下」へ。苦戦を強いられていたハンズ
かつて「クリエイティブ・ライフ・ストア」を掲げ、日本のDIYブームや雑貨カルチャーの最前線を走り続けてきたハンズですが、近年は流通業界の激しい荒波にさらされていました。
大きな転換期となったのが、2021年12月に発表された買収劇です。
東急不動産ホールディングスがホームセンター大手のカインズ(ベイシアグループ)にハンズを売却したことで、長年親しまれた社名・商号が「東急ハンズ」から現在の「ハンズ」へと変わり、ロゴマークも一新されました。
カインズ傘下となってからは、ハンズ独自の強みとカインズの持つ商品開発力を融合させ、新たな顧客層の開拓を進めていた最中でしたが、その背景には都市型大型店舗が直面する「構造的な限界」があったことも否めません。
昨今のEC(ネット通販)市場の急激な拡大により、わざわざ重い工具やニッチな資材を実店舗に買いに行かなくても、スマートフォン一つで自宅に届く時代になりました。
実店舗のショールーミング化が進み、さらには効率性や「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する消費行動へのシフトが、渋谷店のような体験型の大型店舗にとって、大きな経営の課題となりました。
近年のハンズは、新宿店にカインズの売り場を本格導入するなど、生き残りをかけた戦略を打ち出してきましたが、渋谷店に関しては、賃貸借契約の満了というタイミングが重なったこともあり、営業を終了するという苦渋の決断に至ったとみられます。