増税の候補として、筆者が最も重視するのが相続税です。夫婦間はともかくとして、子が親の遺産を相続したのは幸運によるものですから、努力によって得た所得に対する税より高いのが当然でしょう。
公平の観点、貧富の格差の是正、といったことのみならず、痛税感が少ないこと、景気への影響が少ないこと、なども消費税と比べて大きなメリットでしょう。
特に、筆者が強く主張しているのが、配偶者も子も親もいない被相続人の財産を兄弟姉妹が相続する際に高い税率を課すことです。税率を100%にしても良いかもしれません。
配偶者や子が相続する時と比べると、兄弟姉妹は「棚からボタ餅」でしょうし、被相続人の「相続させたい」という思いも少ないでしょうから、税率が高くても良いでしょう。
子がいない高齢の被相続人というのは、他人の子が払った年金保険料を原資として年金を受け取っていた人々です。そうであれば、残った分くらいは国庫に返納しても良かろう、という判断もあると思います。
実質的なメリットも大きそうです。一生独身の人、結婚しても子がいない夫婦が増えていますから、税法を改正してから数十年経てば巨額の相続税収入が見込めるかもしれません。
筆者が今ひとつ主張しているのは、固定資産税の増税です。東京を地方と比べて住みにくくすることで、東京一極集中を是正しよう、という発想です。
東京から人が出て行けば、大災害の際のリスクが軽減されるでしょうし、地方創生にも資するはずです。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
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塚崎 公義