6月は年金受給者にとって年金額改定後の支給内容を確認する大切な時期です。
2026年度は国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%増額されますが、一方で食料品や光熱費などの物価上昇も続いています。そのため、額面上の増額だけでなく「実際の生活がどの程度楽になるのか」を考えることが重要です。
本記事では、2026年度の年金改定内容に加え、60代・70代・80代が実際に受け取っている平均年金額を年代別に整理します。
また、マクロ経済スライドによる実質価値への影響や、NISAを活用した資産形成の考え方についてもわかりやすく解説します。
1. 【2026年度改定】国民年金7万608円・厚生年金23万7279円へ増額
2026年度における主な年金額は以下のとおりです。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(前年度比+1.9%・+1300円)
- 厚生年金(標準的な夫婦世帯モデル):月額23万7279円(前年度比+2.0%・+4495円)
標準的な夫婦世帯のモデルとは、平均的な収入で40年間就業し、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて受け取り始める場合の年金額です。単身者の厚生年金額ではなく、実際の年金額は加入期間や現役時代の収入、配偶者の年金加入状況によって大きく異なります。
2. 【年代別一覧】60代・70代・80代はいくら受給している?平均年金月額の実態
自営業者や専業主婦(夫)などが加入する国民年金は、老後収入の「土台」となる制度です。受給額は加入期間によって決まるため、人によって差はあるものの、世代ごとの平均値を把握しておくことで自分の立ち位置を確認できます。
ただし、65歳未満の国民年金受給者には繰上げ受給を選択した人が含まれ、65歳未満の厚生年金受給者は主に特別支給の老齢厚生年金の受給者です。そのため、60〜64歳の平均額は65歳以降の通常の老齢年金額とは単純比較できない点にご留意ください。
2.1 60歳代の国民年金
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
2.2 60歳代の厚生年金
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
2.3 70歳代の国民年金
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
2.4 70歳代の厚生年金
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
2.5 80歳代の国民年金
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
2.6 80歳代の厚生年金
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
厚生年金の平均受給額は80代後半でやや高く見えますが、これは現役時代の加入期間や報酬水準、世代ごとの就労環境の違いが反映された結果と考えられます。
自分の老後資金を考える際は、平均額をそのまま前提にするのではなく、ねんきん定期便やねんきんネットで自身の見込額を確認し、不足分を預貯金や運用資産でどう補うかを検討することが重要です。
3. 年金増額率とインフレ率の差を意識した資産設計を
年金は「マクロ経済スライド」という仕組みにより、物価や賃金の上昇率より少し低めに改定される場合があります。2026年度の増額率は1.9〜2.0%ですが、仮にインフレ率がそれを上回ると、年金の実質的な購買力は低下します。
生活を守るうえで、この「インフレリスク」への対応は重要です。生活費数年分の預貯金を確保したうえで、余裕資金の一部を個人向け国債や物価連動国債に投資する投資信託、分散型の株式ファンドなどに振り向ける方法があります。
株式ファンドは長期的な資産成長を期待できる一方、短期的には大きく値下がりする可能性があります。そのため。10〜20年単位の運用期間とリスク許容度を確認したうえで活用することが重要です。
NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで利用でき、NISA全体の非課税保有限度額は1800万円です。対象となる投資信託をNISA口座で保有すれば、分配金や売却益を非課税で受け取れます。「年金+非課税の運用益」を組み合わせることで、インフレに強い老後の収入基盤をつくることが可能です。
4. 【年金と資産運用の両輪が重要】老後のお金を守るための備えとは
6月支給分から反映される2026年度の年金改定により、国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%増額されます。
しかし、物価上昇が続くなかでは、受給額が増えても実質的な生活水準が大きく改善するとは限りません。
また、年金額には個人差があり、60代・70代・80代それぞれで受給実態も異なります。
まずは自身の受給額を「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」で確認し、家計とのバランスを把握することが大切です。
今後は公的年金だけに依存するのではなく、NISAなどの制度も活用しながら資産形成を進める視点も重要になります。
物価上昇が続く初夏の今こそ、将来の生活設計を見直し、老後資金の備えを改めて確認してみてください。







