女性の確定拠出年金加入者が全体の4分の1を超える
2017年からの個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCoへの関心の高まりは女性にもしっかりと波及しているようです。
2010年から6回にわたって行ってきたサラリーマン1万人アンケートの中から女性の確定拠出年金(DC)に関するデータを取り出して分析を行ってみました。
明らかに数値として変わってきているのは、女性のDCへの加入者の比率です。まだまだ低いとはいえ、2010年から2014年まで10%程度にとどまっていた「企業型DC」と「個人型DC」への加入者の合計比率は、2015年から20%を超えてきました。
さらに最近では個人型DCの加入者が着実に増加して、2018年には9.7%にまで高まり、企業型DCの加入者と合わせて27.4%の加入率となっています。実に女性の4人に1人以上がDCに加入していることになります。
DC認知度の高まりに注目
加入者の比率の上昇以上に注目しているのが、DCに対する認知度の上昇です。端的に表しているのが、「あなたは確定拠出年金という制度を知っていますか」との設問に、「はい」と答えた人の比率でしょう。
この比率は、2010年以降、低下傾向でしたが、2014年の21.5%をボトムに急速に上昇しています。そして2018年の調査では、46.8%とほぼ半数の女性が確定拠出年金を知っていると回答しています。かなり大きな変化だといえます。
さらに注目したいのが、「あなたは確定拠出年金に加入していますか」の設問に「わからない」と回答した人の比率の低下です。2013年の同比率は49.6%と約半数に達していましたが、急速に減って2018年には25.6%と、ほぼ半減の水準となっています。
確かに「加入していない」と回答する人が、同期間に35.1%から49.0%に増加していますが、何よりも自分が加入しているのか否かの状況を把握していることが、DCへの興味を持つ第一歩だといえるでしょう。
投資そのものへの関心の高まりと符合
こうしたDCへの認識の変化は、投資そのものに対する見方が変わっている時期と重なっています。たとえば、積立投資への理解が進んだと思われるのが2015年からです。
以前、『投資への見方はどう変化しているのか~女性の投資傾向からみえること』で紹介した通り、投資をしていない人が選ぶ投資をしない理由として「投資するだけのまとまった資金がないから」という回答の比率が、2014年の38.1%から2015年には29.5%へと大幅に低下しています。
2014年に少額投資非課税制度(NISA)がスタートしたことと大きく関連していますし、さらに2017年から個人型確定拠出年金(iDeCo)がその対象を第3号被保険者にまで拡大したことも挙げられるでしょう。
着実にDCが女性の資産形成の手段として認知されつつあるように思われます。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史