物価高が続くなか、6月15日の年金支給日を前に「少しでも家計の足しになる制度はないか」と気になっているシニア世代も多いでしょう。

2026年度は国民年金・厚生年金の増額改定に加え、「年金生活者支援給付金」も前年度比3.2%の引き上げが予定されています。

この制度は、一定所得以下の年金受給者に対して年金へ上乗せ支給される恒久的な支援制度ですが、対象でも申請しなければ受け取れないケースがあります。

今回は2026年度の給付基準額や対象条件、申請方法に加え、シニア世代の平均年金額についても整理して確認していきます。

1. 2026年度の「年金生活者支援給付金」はいくら? 給付額の変更点を確認

「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入額や所得が一定基準以下の方を対象に支給される制度です。

対象となるのは、老齢年金・障害年金・遺族年金の3種類で、2カ月ごとに公的年金へ上乗せされる形で支払われます。

また、給付額は毎年度見直しが行われます。

2026年度の「年金生活者支援給付金」は、前年度と比べて3.2%引き上げられ、増額分は6月に支給される「4月・5月分」の給付金から適用されます。

2026年度における各給付金の月額は、以下のとおりです。

年金生活者支援給付金の支給金額1/8

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

なお、老齢年金生活者支援給付金は、基準額をもとに保険料の納付済期間などを考慮して、個別に支給額が決定されます。

2. 【支給条件を種類別に解説】年金生活者支援給付金の対象者は?

年金生活者支援給付金には、「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれで受給要件が異なります。

給付を受けるためには、各年金ごとに定められた条件を満たす必要があります。

ここでは、それぞれの支給対象について順番に見ていきましょう。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

なお、いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給条件の判断基準のひとつとなっています。

また、条件を満たしている場合でも、自動的に支給されるわけではありません。

年金生活者支援給付金を受け取るには、所定の「請求手続き」を行う必要があります。

3. 年金生活者支援給付金の申請方法は? 受け取るために必要な手続き

年金生活者支援給付金の対象となる方には、日本年金機構から案内を兼ねた請求書が送付されます。

送られてくる時期や書類の種類は、年金の受給状況によって異なります。

ここでは、該当者が多い代表的な2つのケースを確認していきましょう。

3.1 【ケース1】65歳を迎え、老齢基礎年金を初めて請求する場合

  • 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
  • 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出

3.2 【ケース2】すでに基礎年金を受給しており、新たに対象となる場合

  • 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
  • 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
  • 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函

なお、支給要件に該当するか確認が必要な方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。

3.3 年金生活者支援給付金はいつ振り込まれる?

年金生活者支援給付金は、年6回、偶数月の15日に支給されます。

15日が土日祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで振り込まれます。

振込先は年金の受取口座と同じですが、年金とは別に入金され、通帳にも別々の振込として記載されます。

また、支払月には原則として前月までの2カ月分がまとめて支給されます。

たとえば6月の支給では、4月分と5月分の給付金が振り込まれます。

4. 【シニア世代の年金事情】老齢年金の受給額は平均いくら?

ここからは、現在のシニア世代が実際にどのくらいの年金を受け取っているのか見ていきます。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、60歳以上の受給権者における平均年金月額や、男女差に注目して整理します。

4.1 厚生年金の平均受給額(月額)

厚生年金の平均年金月額7/8

厚生年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:15万289円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

4.2 国民年金の平均受給額(月額)

国民年金の平均年金月額8/8

国民年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万9310円

  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

厚生年金(国民年金部分を含む)の平均受給額を見ると、男性は月16万9967円、女性は月11万1413円となっており、およそ6万円の差があります。

この差が生じる理由のひとつとして、厚生年金の算出方法が挙げられます。

厚生年金は、現役時代の収入額や加入期間が反映される仕組みであるため、勤続年数が長く、生涯年収が高い傾向にあった男性のほうが、受給額も高くなりやすい傾向があります。

これに対し、国民年金は加入期間に応じて年金額が決まる制度のため、厚生年金ほど男女間の差は大きくありません。

また、厚生年金の受給額は月2万円未満から30万円を超えるケースまで幅広く、現役時代の働き方や加入状況によって、受給額に大きな個人差が生じていることがわかります。

5. 【年金支給日前に確認】申請型の支援制度を早めにチェックして家計防衛につなげよう

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年度から3.2%引き上げられる予定で、低所得の年金受給者にとっては生活を支える重要な上乗せ制度となります。

一方で、制度を知らなかったり、請求手続きを行っていなかったりすると、対象でも受け取れない場合がある点には注意が必要です。

特に6月は、増額改定後の年金が支給されるタイミングでもあり、「年金額改定通知書」や「振込通知書」を確認する人も多い時期です。あわせて、自分が年金生活者支援給付金の対象になるか、ねんきんネットや日本年金機構からの案内を確認しておくと安心でしょう。

物価上昇や社会保険制度の見直しが続くなか、公的制度を正しく理解し、利用できる支援を早めに確認しておくことが、これからの老後家計を守る大切なポイントになりそうです。

参考資料