5月の大型連休も終わり、風が心地よい季節となりました。

新緑が目にまぶしいこの時期、落ち着いた日常のなかで、将来の生活設計や資産について改めて考えている方もいらっしゃるかもしれません。

「お金持ち」というと、自分とは縁遠い世界の話だと感じる方も多いでしょう。

しかし、近年のデータに目を向けると、その状況は少しずつ変わりつつあるようです。

実際に、日本における富裕層や超富裕層の世帯数は増加を続けており、過去最多の数字を記録しています。

その背景には、株価などの資産価格が上昇したことに加え、相続や共働きによって資産を築く人が増えているといった、複数の要因が考えられます。

この記事では、富裕層のリアルな姿や増加の背景、そして新しい消費の形について詳しく見ていきます。

1. 日本の富裕層・超富裕層は何世帯いるのか?2005年以降で過去最多を更新

株式会社野村総合研究所が公表した「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」によれば、2023年時点での富裕層と超富裕層を合わせた世帯数が、2005年以降で最も多くなったことがわかりました。

なお、株式会社野村総合研究所の定義では、世帯が持つ純金融資産額に応じて、次のように分類されています。

  • 富裕層:1億円以上5億円未満
  • 超富裕層:5億円以上

それでは、日本の全世帯のうち、富裕層や超富裕層はどれくらいの割合を占めているのでしょうか。

1.1 富裕層と超富裕層、それぞれの資産規模と世帯数の内訳

  • 富裕層:153万5000世帯
  • 超富裕層:11万8000世帯

日本の全世帯数に占める割合は、それぞれ以下のようになっています。

  • 富裕層:約2.75%
  • 超富裕層:約0.21%

ちなみに、2021年に実施された前回の調査における富裕層・超富裕層の世帯数は、下記の結果でした。

  • 富裕層:139万5000世帯
  • 超富裕層:9万世帯

割合で見ると少ないように思えるかもしれませんが、世帯の数そのものは着実に増加していることがわかります。

では、富裕層が増え続けているのはなぜなのでしょうか。

2. 日本で富裕層が増え続けている背景にある《要因》とは?

過去10年ほどで富裕層の世帯数や資産総額が増加した背景には、株式や投資信託といった金融資産の価格が上がったことが大きく関係しています。

これらのリスク資産を多く持っていた世帯は、価格上昇による利益を得やすく、資産を大きく増やすことができたと考えられます。

加えて、富裕層や超富裕層が増加している要因として、相続で大きな資産を受け継ぎ、新たに富裕層の仲間入りをするケースが増えていることも挙げられます。

さらに最近では、「自覚がないまま富裕層の基準に達した世帯」や、「共働きでコツコツと資産を築き、富裕層になった世帯」も少なくありません。

2.1 新たな富裕層の形「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」が増加中

近年、株価の上昇やNISAの普及などを背景に、長期間にわたって資産運用を継続したことで、本人が気づかないうちに富裕層の仲間入りを果たす世帯が増加しています。

株式会社野村総合研究所は、こうした層を「いつの間にか富裕層」と名付けています。

40歳代や50歳代の会社員であっても、長年の運用を積み重ねることで、金融資産が1億円を上回るケースが増えているといわれています。

その一方で、共働きで安定した収入を得ながら資産を形成し、50歳前後で富裕層となる「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる世帯も存在します。

「いつの間にか富裕層」の特徴は、収入の範囲内で従来と変わらない生活を続けている点です。

これに対し、「スーパーパワーファミリー」は消費への意欲が高く、不動産や高価な商品への支出に積極的な傾向があるといわれています。

また、このような富裕層の増加や資産形成の拡大は、都市部だけの現象ではありません。

株式会社野村総合研究所の試算によると、生活費の地域差を考慮すれば、地方に住む世帯年収1000万円以上の大企業勤務の共働き世帯も、60歳前後で富裕層の基準に達する可能性があるとされています。

このように、「富裕層といえば東京」というこれまでのイメージは変わりつつあり、地方でも新しい富裕層が誕生し、その消費の仕方にも変化が現れています。

次の章では、地方における富裕層の実態と消費の特色について見ていきます。

3. もはや「富裕層=東京」ではない?青森や沖縄でプレミアムカード保有者が増えている背景

富裕層を対象としたクレジットカード事業を展開するラグジュアリーカード合同会社が発表した「2025年の新富裕層の消費動向」によれば、2025年の新規会員数は前年と比べて134%と大幅に増加し、過去最高の数字を記録しました。

その中でも特に注目すべきは、地方に住む会員の数が増えていることです。

地方居住の会員も増加3/3

地方居住の会員も増加

出所:PRTIMES「【ラグジュアリーカード|新富裕層の消費動向調査】若年層・地方も伸長し、会員数は過去最大の増加を記録。AI利用や円安下の旅行消費、法人決済の拡大など最新調査を発表。」

東京や大阪などの大都市圏は依然として会員数が多いですが、増加率を見ると、宮崎県(前年比167%)、沖縄県(同159%)、青森県(同155%)、愛媛県(同154%)、群馬県(同153%)、兵庫県(同151%)といったように、地方で150%を超える高い成長率を示している地域が複数あります。

従来、プレミアムカードの特典やサービスは都市部に集中する傾向があり、地方の富裕層にとっては利用する価値を見出しにくい状況がありました。

しかし最近では、旅行関連のサービスが充実し、利用できる場面も増えたことで、地方でもその利便性を感じやすくなり、これまで眠っていた需要が急速に現れたと考えられます。

この傾向を裏付けるデータとして、国内の空港施設における加盟店の取扱高も前年比146%と増えています。

羽田空港(前年比161%)だけでなく、熊本空港(同150%)、広島空港(同149%)、宮崎空港(同148%)、那覇空港(同143%)など、地方の空港での決済金額も大幅に増加しています。

4. 「いつの間にか富裕層」を目指すために知っておきたい資産形成の基本

富裕層と聞けば、「特別な才能」や「高い収入」がなければなれないと感じるかもしれませんが、実際には多くの富裕層に共通した資産形成の考え方が存在します。

その一つが「長期投資」という考え方です。

短期的な価格の変動に一喜一憂せず、時間をかけてじっくりと資産を育てていく姿勢が大切です。

また、「分散投資」を実践することも不可欠です。

株式や投資信託など、複数の異なる資産に分けて投資することで、リスクを管理しながら安定した成長を目指すことができます。

さらに、収入の一部を定期的に投資に回す習慣も、多くの富裕層が実践していることです。

毎月決まった額を積み立てていくことで、市場の価格変動の影響を受けにくい資産形成ができます。

加えて、見過ごされがちですが日々の「支出の管理」も重要です。

無理に切り詰めるのではなく、自分にとって本当に価値のあることとそうでないことを見極め、無駄な出費を減らすことで、投資に回すためのお金を生み出しています。

このような日々の積み重ねは地味に見えるかもしれませんが、長い年月をかけて大きな違いとなって表れます。

まずはご自身の毎月の収入と支出を把握し、少額からでも投資を始める習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

5. まとめ:富裕層は特別な存在ではなくなりつつある

この記事では、富裕層の現状や増加している理由、そして新しい消費行動の特色について説明しました。

日本国内の富裕層・超富裕層は、全体に占める割合はまだ少ないものの、その世帯数は着実に増え続けています。

その背景には、金融資産の価格が上がったことや相続だけでなく、長期的な資産運用や共働きによる収入の増加といった要因も関係しています。

また、地方での富裕層の増加や若い世代への広がり、時間対効果を重視する消費行動への変化などからも、富裕層が特定の地域や層に限定された存在ではなくなってきていることがわかります。

このような社会の変化を踏まえて、ご自身の資産形成や将来の計画について考えてみることが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

菅原 美優