社会問題としての深刻さが広く認識されるようになった就職氷河期世代の苦境。発端はNHKの「クローズアップ現代」でしたが、今年2月には『アラフォー・クライシス「不遇の世代」に迫る危機』(新潮社)として書籍化もされています。

実際、今の30代後半~40代は、就職氷河期のため新卒で正社員になれなかった人が多く、その後リカバリーができないまま貧困に陥ってしまうケースが少なくないと言われます。それに追い打ちをかけるように、昨今では将来の年金不安が高まっている状況です。そこで今回は40代に焦点を当てて、そのお金事情を見ていきます。

政府が就職氷河期世代支援の方針を打ち出したが…

厚生労働省の調べ※では、就職氷河期はバブル崩壊期の1993年から約10年ほどの時期とされ、その頃に大卒や高卒で初職への就職活動をした世代(大卒:1970年頃〜80年頃生まれ、高卒:1975年頃〜85年頃生まれ)が就職氷河期世代と示されています。

その就職難を表す数字を見ると、2018年3月大学卒業者の就職者割合は77.1%であるのに対し、1993年~2003年卒業者では50~60%台。「一時的な仕事に就いた者、進学も就職もしていない者の割合」は、2018年3月卒業者で8.6%でしたが、就職氷河期末期の2003年には27.1%と3倍超になっています。

この6月から7月下旬にかけては、政府が「骨太の方針」の素案として、就職氷河期世代支援のため今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を掲げたり、省庁横断型の支援室を新たに設置する方針であることが報道されています。長い間、国が手をこまぬいてきた就職氷河期世代の問題。遅きに失した感はあるものの、これらの動きは一歩前進と言えるかもしれません。

平成30年度 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業(第2編 就職氷河期世代の労働者への支援技法)」

40代の貯蓄現在高、他の世代との比較

ここからは、40代の貯蓄について見ていきます。まず、総務省が2019年5月17日に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)」では、40代の一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は1012万円で、全体の平均値1752万円を700万円以上下回っています。世代別の平均値は以下の通りです。

世代別の一世帯あたり貯蓄現在高平均値

40歳未満:600万円
40歳代:1012万円
50歳代:1778万円
60歳代:2327万円
70歳以上:2249万円

ちなみに、全体の平均値は1752万円ですが、この平均値を下回る世帯数は全体の3分の2(67.7%)にのぼり、貯蓄現在高が100万円未満の世帯も11%あるなど、金額が低い階級に偏った分布になっています。また貯蓄保有世帯の中央値は1046万円でした。

なお「貯蓄」には預貯金のほか、保険や有価証券などの金融資産が含まれます。

40代の金融資産保有額、二人以上世帯と単身世帯の比較

次に、金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)の「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査」のデータ(2018年11月9日発表)を見ていきます。