4. 【年金制度】厚生年金15万円という受給額の現実的な水準

前章でも触れたように、厚生年金の平均受給額は月15万円前後となっています。そのため、「月15万円あれば老後は安心なのでは」と感じる人も少なくありません。

しかし実際には、年金額は“額面”と“実際に使える金額”が異なります。さらに、75歳以降は医療費や介護関連支出が増えやすく、年金だけで生活を維持する難しさが見えやすくなる年代でもあります。

ここでは、「厚生年金15万円」という数字を、実際の老後家計の視点から見ていきましょう。

4.1 年金は満額そのまま受け取れるわけではない

公的年金からは、現役時代と同じように一定の税や社会保険料が差し引かれます。

主なものとしては、

  • 所得税
  • 住民税
  • 介護保険料
  • 後期高齢者医療保険料

などがあります。

そのため、仮に厚生年金の額面が月15万円だったとしても、実際に自由に使える「手取り額」はそれより少なくなります。

さらに夫婦世帯の場合でも、片方が国民年金中心であるケースでは、世帯全体として大きな余裕があるとは限りません。

4.2 「生活費との差額」が老後家計を左右する

総務省の家計調査では、75歳以上の無職夫婦世帯の実支出は月27万円台となっています。一方で、年金収入だけでは支出を賄いきれず、毎月赤字となっている世帯も少なくありません。

たとえ年金額が平均水準であっても、

  • 物価上昇
  • 医療費負担の増加
  • 介護関連支出
  • 光熱費や食費の上昇

といった要素が重なることで、家計には継続的な圧迫が生じます。特に後期高齢期では、若い頃のように「働いて補う」という選択が難しくなるケースもあり、貯蓄を取り崩す生活へ移行していく世帯も増えていきます。

4.3 「年金額」だけでなく支出全体を見ることが重要

老後の安心感を左右するのは、「年金が何万円か」という一点だけではありません。重要なのは、

  • 持ち家か賃貸か
  • 医療・介護費がどの程度かかるか
  • どれくらい貯蓄を保有しているか
  • 生活水準をどのラインで維持したいか

といった家計全体のバランスです。

同じ月15万円の厚生年金でも、固定費が低い世帯とそうでない世帯では、暮らしの余裕に大きな差が生まれます。そのため、「平均額を超えているから安心」と考えるのではなく、自身の生活費や将来的な支出を踏まえながら、「実際にどれだけ必要なのか」を具体的に考えていくことが大切です。