高齢者が介護を必要とする原因を見ると(平成28年厚生労働省国民生活基礎調査より)、「骨折・転倒18,7%」は、「認知症18.7%」、「脳血管疾患15.1%」、「高齢による衰弱13.8%」に次いで、4番目に多い原因となっております。これは事故によるものでは一番大きな原因となっているそうです。

前期高齢者(65歳~74歳)から事故が発生しやすい

「骨折・転倒」は介護を必要とする原因の4番目の多さですが、高齢者の場合は転倒が原因で寝たきり状態となり、それが原因で筋力や身体機能の衰え招く場合も多く症状を悪化させる要因にもなります。特に転倒が原因で大腿骨骨折となった場合には、歩けるまでにリハビリ等々のそれなりの時間がかかるので、そのまま寝たきりになることも少なくないようです。

高齢者の転倒・転落事故は死亡に至るおそれがあるばかりでなく、それが原因で介護が必要となるケースも多いので注意が必要になります。また、年齢が上がるほど、事故件数も増えますし危害の程度も重くなりますので、特に後期高齢者(75歳以上)になると更に死亡者数も増えているそうです。

それと日本頭部外傷データバンクによれば、高齢になると、筋力の低下や関節の可動範囲がどうしても狭くなるので転びやすくなるそうですし、転倒したときは頭の中の血管が切れやすい特徴があるそうです。その理由としては、高齢になると脳が小さくなり頭蓋骨と脳の間の隙間が大きくなるため、転倒や頭部を打った時の衝撃で脳がより動きやすい状態になるからだそうです。

家族や身近にいる人の3点確認

そこで消費者庁では、厚生労働省及び東京消防庁のデータを基に高齢者の事故状況を分析したところ、転倒・転落事故は、高齢者本人はもちろんですが家族や親戚や地域の方といった身近にいる方々が意識することで少しでも防ぐ事ができることから、特に以下の3点についてアドバイスをしております。

(1)まず生活環境を確認しておきましょう。高齢者の生活環境を確認すると一番のリスクは段差の問題です。危険となる箇所をなるべく減らし、転倒しても大ケガをしないような工夫をしたいものです。

(2)次に身体の状態を確認しておいた方が良いです。高齢になると身体機能の低下から転倒する確率は増すので、それに伴い特定の疾患、薬の副作用による転倒の可能性も増してきます。なので、高齢者の身体の状態についても家族がチェックしておきましょう。

(3)最後は転倒・転落事故が発生した場合にはどのような対処方法をすべきか、慌てないように普段から確認をしておきましょう。

転落、転倒で一番多いのが住宅内

独立行政法人国民生活センター調べでは(平成22年12月から平成24年12月末)、65歳以上の事故で一番多い場所は、住宅内事故は77.1%だそうです。次に多いのは民間施設の8.2%で、一般道路は6.9%となっています。

同センターの高齢者の家庭内事故の報告では、高齢者の住宅内事故516件の中の原因として最も多かったのは転落157件だそうです。これは住宅内事故全体の30.4%を占めるとされています。次いで転倒が114件で住宅内事故全体の22.1%)となっているようです。では自宅での転落、転倒で一番多い場所はどこかと言えば階段での転落事故が43.3%で、転倒事故は15.8%だそうです。

転倒や転落は9673人で、交通事故5004人の約2倍