意外と知られていないのが高齢者の「転倒や転落」での死亡者の数です。厚生労働省の統計による2017年の人口動態統計を見ると、「転倒や転落」で死亡した人の数は9673人となっておりますが、なんと65歳以上が全体の9割を占めており交通事故は5004人ですから約2倍の数字であることが分かります。
それと高齢者は一度転倒すると、自信を失ったり自力で動くことに恐怖心を持ったりするケースもあり、それをきっかけにして体を動かさなくなり筋力が次第に衰え始めるといった二次的な作用も出てきます。このように転倒は、高齢者の生活に大きく影響することがあるため、身体機能の低下を招かないように声掛けをしてあげたいものです。
更に驚くのは高齢者の入浴中の死亡事故です。厚生労働省人口動態調査を消費者庁の調べによれば、高齢者が自宅の風呂場で溺れて死亡する数が2016年は4821人(前年比342人増)だそうです。
これなども交通事故並みの数字となっておりますが、あくまでも「溺死」としての判断ですので、「病死」と判断されたものは含まれないそうです。それらを合わせた入浴中の急死者数を推測すればもっと多いのではと想像ができます。
転倒は高齢者の生活に大きな影響を与える
内閣府調べの高齢者の住宅と生活環境によれば、自宅での転倒は「庭」よりも「室内全般」の方が多いことも分かっています。例えば「居間・茶の間・リビング」もそうですし、「玄関・ホール・ポーチ」も危険が潜んでいる場所となります。あるいは「階段」「寝室」もしかりです。
高齢者にとっては「外庭」よりも一番安全と思われている「室内」にも危険が潜んでいることから、くれぐれも交通事故に対する意識と同等あるいは、それ以上の気づかいや意識をもってしても足りないという気持ちで生活をしていきたいものです。
佐々木 泉二