2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年度比2.7%の上昇となり、日銀が目標とする2%を4年連続で上回りました。食料品や日用品の値上げが続くなか、「老後も物価上昇が続いたら暮らしていけるだろうか」と不安を感じている方もいるかもしれません。
今回は年金の平均受給額や老後の家計状況から、「貯蓄を取り崩しながら何年暮らしていけるか」ということをシミュレーションします。老後の暮らしを考える際の参考にしてみてください。
1. 厚生年金、全体平均は「月15万円台」男女で約5万8000円の差あり
年金は老後の暮らしを支える大切な収入源ですが、実際のところどれくらいの金額を受け取れるのでしょうか。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の平均月額は次のとおりです。
- 全体:15万289円
- 男子:16万9967円
- 女子:11万1413円
厚生年金の受給額では、男女によって約5万8000円の差が生じています。これは、現役時代の収入水準や就労形態、加入期間の違いが反映されているためと推測されます。
一方、国民年金の平均月額は次のとおりです。
- 全体:5万9310円
- 男子:6万1595円
- 女子:5万7582円
国民年金のみの場合は全体平均で約5万9000円の受給となり、年金だけで暮らしていくことが難しいことがうかがえます。
2. 65歳以上夫婦の家計、収入約22万円・支出約26万円「毎月約4万円」の赤字
次に、老後生活における毎月の家計状況を見てみましょう。
総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1ヶ月の可処分所得は22万1544円です。それに対して月々の消費支出が26万3979円となっており、毎月4万2435円の赤字が出ていることが分かります。
不足分は貯蓄分を取り崩しながら生活することとなりますが、公的年金が国民年金のみの場合は取り崩し額がさらに大きくなることが推測されます。
3. 70歳代の貯蓄、《中央値1178万円》毎月約4万円取り崩す場合「何年貯蓄はもつ?」
収入が限られる老後において、貯蓄を取り崩しながら生活するのは不安が大きいものです。ここで、70歳代の貯蓄状況をもとに、何年間取り崩しができるのかシミュレーションしてみましょう。
J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)二人以上世帯」によると、70歳代の金融資産平均保有額は2416万円です。「70歳代で2000万円以上の資産があるなら問題ないのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、あわせて確認したいのが中央値についてです。
70歳代の金融資産保有額の中央値は1178万円となっており、平均額と大きな乖離があることが分かります。これは、多くの資産を持つ一部の世帯が平均額を引き上げているためだと考えられます。
ここでは、より実態に近い中央値で考えてみましょう。
毎月4万2435円を貯蓄から取り崩す場合、1178万円÷4万2435円=277ヶ月、つまり約23年間取り崩せる計算です。
70歳から考えても93歳までは取り崩すことができるため、平均的な寿命を踏まえればひとまずは安心できる水準といえるでしょう。
ただし、このシミュレーションの前提となっている調査では、月々の保健医療費が1万7941円となっています。もし介護や医療による支出が増えれば、毎月の取り崩し額はさらに大きくなります。
また、国民年金のみを受給している世帯では年金収入が約6万円にとどまるため、不足額が月20万円を超える点にも注意が必要です。
4. まずは自分の年金額を知ることから始めよう
将来のライフプランを立てるときに大切なのが、老後の暮らしをより具体的な数字でシミュレーションしてみることです。ここでは年金の平均受給額を紹介しましたが、年金の受給額は雇用形態や加入期間、収入水準などによってそれぞれ異なります。
将来の年金見込み額はマイナポータル経由で簡単に確認できますので、まずは自分の年金見込み額を確認してみましょう。そのうえで、「どれくらいの老後資金を準備する必要があるか」ということを考えてみてください。

