5. 【70歳代】インフレで貯蓄はどう目減りする?実質価値の落とし穴
老後資金を考える際、多くの人は「いくら貯蓄があるか」という金額に目が向きがちです。
しかし、物価が上昇する局面では、その“額面の安心感”がそのまま維持されるとは限りません。重要になるのは、そのお金でどれだけの生活を支えられるかという「実質的な価値」です。
総務省のデータをもとに、2020年の物価を「100」とした場合の消費者物価指数(総合)の推移を見てみましょう。
- 2021年:99.8
- 2022年:102.3
- 2023年:105.6
- 2024年:108.5
- 2025年:111.9
数値から、物価が毎年のように上がり続けていることがはっきりと見て取れます。そして、この物価上昇は今後も続いていくと予測されています。
5.1 物価上昇で生活費はどの程度変わるのか
物価が毎年2%ずつ上昇した場合、10年後には生活費は現在よりもおよそ2割近く増える計算になります。
たとえば、今は月25万円で暮らせている世帯でも、同じ生活水準を維持するには将来的に30万円前後が必要になる可能性があります。
こうした変化は一気に表れるものではなく、食料品や光熱費など日常の支出の中で徐々に進むため、気づきにくい点が特徴です。
5.2 貯蓄額が同じでも購買力は低下する
預貯金は元本が大きく減りにくい反面、物価上昇に応じて増えるわけではありません。
そのため、仮に2000万円の貯蓄を持っていたとしても、年数が経つにつれてそのお金で購入できるモノやサービスの量は減っていきます。残高が変わらなくても、実際の生活に使える“力”は少しずつ低下していくのです。
ここに、すでに多くの70歳代世帯で見られる「毎月の赤字」にインフレが重なると、状況はより厳しくなります。
生活費の上昇によって赤字幅が広がれば、貯蓄の取り崩しペースも加速し、当初の想定よりも早い段階で資産が減少する可能性があります。
5.3 老後資金は「額」ではなく「持続力」で考える
老後資金は単に「いくらあるか」だけで判断できるものではありません。
」これからは、「どれだけの期間、どの水準の生活を維持できるのか」という視点で捉えることが重要になります。インフレが続く環境では、資産の額面だけでなく、その持続力を意識した家計設計が求められます。
著者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)