新緑がまぶしい季節となり、ご自身の資産について考える機会が増えた方もいるかもしれません。「日本の中で、自分の資産はどのくらいの位置にあるのだろう」と疑問に思ったことはないでしょうか。
2026年に入っても株価の変動や物価上昇に関する報道が続いていますが、その一方で一部の「富裕層」が資産を拡大しているという話もよく聞かれます。
実際のところ、日本には「富裕層」や、さらにその上の「超富裕層」と呼ばれる人々がどれくらいいるのでしょうか。
株式会社野村総合研究所の調査によれば、「富裕層」および「超富裕層」に該当する世帯は増加を続けており、資産の分布に変化が見られるようです。
この記事では、日本の富裕層・超富裕層が占める割合やその最新動向、そして地方における新しい富裕層の消費スタイルについて詳しく解説していきます。
1. 【富裕層・超富裕層の世帯数】2005年以降で過去最多を更新
株式会社野村総合研究所が発表した「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」によると、2023年時点における富裕層と超富裕層の世帯数は、2005年以降で最も多くなっています。
なお、株式会社野村総合研究所では、富裕層・超富裕層を「世帯の純金融資産保有額」にもとづいて、以下のように定義しています。
- 富裕層:1億円以上5億円未満
- 超富裕層:5億円以上
それでは、日本全体の世帯数の中で、「富裕層・超富裕層」はどの程度の割合を占めているのでしょうか。
1.1 富裕層・超富裕層の割合は?日本全体で何%?
- 富裕層:153万5000世帯
- 超富裕層:11万8000世帯
全世帯数に対する割合は、それぞれ以下の通りです。
- 富裕層:約2.75%
- 超富裕層:約0.21%
2021年に行われた前回の調査では、富裕層・超富裕層の世帯数は下記の結果でした。
- 富裕層:139万5000世帯
- 超富裕層:9万世帯
割合でみると少なく感じるかもしれませんが、世帯数自体は着実に増えていることがわかります。
では、なぜ富裕層は増え続けているのでしょうか。
2. 日本で富裕層が増加する背景とは?考えられる2つの理由
この10年ほどで富裕層の世帯数や資産総額が増加した背景には、株式や投資信託といった金融資産の価格が上昇したことが大きく影響しています。このようなリスク資産を多く保有していた世帯ほど、価格上昇の恩恵を受けて資産を増やしたと考えられます。
また、富裕層・超富裕層が増えているもう一つの理由として、相続によってまとまった資産を継承し、富裕層の仲間入りをするケースが増えていることも挙げられます。
さらに最近では、「意識しないうちに富裕層の基準に達していた世帯」や、「共働きで資産を築き上げた結果、富裕層になった世帯」も一定数いるようです。
2.1 「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」とは?
近年、株価の上昇やNISA制度の普及などを背景に、資産運用を地道に続けた結果、自分でも気づかないうちに富裕層の基準に達する世帯が増えています。
株式会社野村総合研究所は、こうした層を「いつの間にか富裕層」と呼んでいます。40歳代や50歳代の会社員でも、長年の運用成果によって金融資産が1億円を超えるケースが目立ってきているようです。
それに加えて、共働きで安定した収入を得ながら資産形成を進め、50歳前後で富裕層の域に達する「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる世帯も確認されています。
「いつの間にか富裕層」は、給与収入の範囲内でこれまでと変わらない生活を続けているという特徴があります。一方で「スーパーパワーファミリー」は消費意欲が高く、不動産や高級消費財などを積極的に買う傾向があるとされています。
実は、このような富裕層の増加や資産形成の動きは、東京などの都市部だけの現象ではありません。
株式会社野村総合研究所の推計によると、生活コストの地域差をふまえた場合、地方においても世帯年収1000万円以上の大企業共働き世帯は、60歳前後に富裕層の基準に到達する可能性があると指摘されています。
ここからは、「富裕層=東京」というイメージが変わりつつある実態と、地方で広がる新しい富裕層の消費動向について見ていきましょう。
3. 【富裕層=東京は過去の話?】地方で急増するブラックカード保有者
富裕層向けのクレジットカード事業を展開するラグジュアリーカード合同会社が公表した「2025年の新富裕層の消費動向」によると、2025年の新規会員数は前年比134%の伸びとなり、過去最大の増加を記録しました。
その中で特に注目されるのが、地方に住む会員の急増です。
地方居住の会員も増加3/3
出所:PRTIMES「【ラグジュアリーカード|新富裕層の消費動向調査】若年層・地方も伸長し、会員数は過去最大の増加を記録。AI利用や円安下の旅行消費、法人決済の拡大など最新調査を発表。」
東京都や大阪府など都市圏の会員数自体は依然として多いものの、会員の増加率に注目すると、宮崎県(前年比167%)、沖縄県(159%)、青森県(155%)、愛媛県(154%)、群馬県(153%)、兵庫県(151%)など、地方で前年比150%を超える高い伸びを示している都道府県が複数見られます。
これまで、プレミアムカードの優待やサービスは都市圏に集中しがちで、それが地方の富裕層にとってカードを所有する上での障壁となっていました。
しかし近年、旅行関連のサービスや利用できる場面が拡充されたことで、地方でもカードを持つメリットが伝わりやすくなり、地方に眠っていた潜在的な需要が一気に表面化したと考えられます。
これを裏付けるように、国内空港施設における加盟店の取扱高も前年比146%と増加しており、羽田空港(前年比161%)だけでなく、熊本空港(150%)、広島空港(149%)、宮崎空港(148%)、那覇空港(143%)といった地方都市の空港での決済額も大きく伸びています。
4. 新富裕層の特徴とは?若年化と「タイパ重視」の消費スタイル
さらに、富裕層の若年化と多様化も進んでいます。同調査によれば、新規会員の中で20歳代の入会が増加傾向にあり、職業別に見ても経営者だけでなく「販売・セールス・営業」「技術・専門」「事務・管理職」など、経営者層以外への広がりが進んでいます。
こうした「新富裕層」の消費傾向は、単に高級品を所有することに限りません。例えば、AIツールである「OpenAI」の取扱高は前年比542%と急成長しており、経営者層を中心にビジネスの場で積極的なAI活用が進んでいることがわかります。
また、タクシー配車アプリ「GO」や「Uber Eats」といったサービスの利用は、所得が高い会員ほど利用額・利用回数ともに増える傾向にあります。
日々アクティブに活動する新富裕層は、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視し、時間を有効に使うために外部サービスを積極的に活用している様子がうかがえます。
5. まとめ:富裕層は多様化しながら全国へ拡大中
純金融資産1億円を超える日本の富裕層・超富裕層は、株高や円安、そして地道な資産運用を背景に過去最多となる165万世帯へと拡大しました。
そしてその実態は、従来の「都市部に住む一部の資産家」というイメージから大きく変化しています。地方で着実に資産を築く共働き世帯や、生産性や体験価値を重視する若き新富裕層の台頭など、日本の富裕層は多様化しながら全国へとその裾野を広げているといえるでしょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- PRTIMES「ラグジュアリーカード合同会社【ラグジュアリーカード|新富裕層の消費動向調査】若年層・地方も伸長し、会員数は過去最大の増加を記録。AI利用や円安下の旅行消費、法人決済の拡大など最新調査を発表。」
- LIMO「【富裕層ピラミッド】頂点の「超富裕層+富裕層」は何%?富裕層=東京はもう古い?地方で急増する「ブラックカード」ホルダー」
菅原 美優