新年度が始まり、爽やかな風が吹き抜ける季節となりました。新しい生活がスタートするこの時期、改めて確認しておきたいのが「家族の備え」です。
「遺族厚生年金が5年で打ち切りになる」そんなニュースを耳にして、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。実は2028年からの改正は、単なる減額ではなく、共働き世帯の現状に合わせた「受給対象の拡大」と「短期集中支援」へのシフトなのです。
今回は、遺族厚生年金の見直しで影響がある人のポイントや、2026年度の最新改定額について分かりやすく解説します。
1. 【遺族厚生年金】「5年間の有期給付」制度の改正で「影響ある人」はどんな人?
2028年4月から段階的にスタートする制度改正では、特に「若年・中年の共働き世帯」の仕組みが大きく変わります。ご自身が対象になるかどうか、以下のポイントをチェックしてみましょう。
1.1 1. 「5年間の有期給付」へ移行する人
今回の改正の目玉は、子のいない若年層などを中心に「原則5年間」の集中給付へ切り替わることです。
■子のいない30歳代以下の妻
2028年度時点で40歳未満、かつ夫の死亡時に子どもがいない場合、給付が5年間に制限されます。
■60歳未満の夫(子どもがいない場合)
これまでは「55歳以上」でなければ受給権がありませんでしたが、改正後は年齢制限が撤廃されます。30代や40代の夫でも受給できるようになりますが、期間は同じく5年間となります。
【ここがポイント!】
給付期間は短くなりますが、この5年間は「有期給付加算」によって、受給額が現在の約1.3倍に増額されます。これは「5年間で生活を立て直すための集中支援」という考え方に基づいています。
1.2 2. 「年収要件」の撤廃により、新たに受給できる人
これまで遺族厚生年金には「年収850万円未満」という制限がありましたが、これが撤廃されます。
■高所得の共働き世帯
年収に関わらず受給できるようになるため、キャリアを積んでいる配偶者にとっても、公的保障の網の目が広がる形となります。
1.3 3. 「死亡分割」の導入で、将来の年金が増える人
■配偶者の収入が高かった方
亡くなった配偶者の厚生年金記録を分割し、自身の老齢厚生年金に上乗せできる仕組みが導入されます。これにより、65歳以降に受け取る自分の年金額が増える可能性があります。
今回の改正は「男女差の解消」と「共働き時代への適合」を目的としています。2028年時点で40歳以上の女性など、急激な変化を避けるための経過措置も用意されているため、まずはご自身の年齢と家族構成を照らし合わせてみることが大切です。
2. 【遺族基礎年金】2026年度の改定額「年額84.7万円」+子の加算額
令和8年度(2026年度)の改定により、18歳年度末までの子がいる配偶者などが対象となる「遺族基礎年金」の額が引上げられます。
- 2026年度:84万7300円+子の加算額
- 年間の増額分:約1万5600円(月1300円増額)
※昭和31年4月1日以前生まれの方は84万4900円となります。
また、会社員や公務員の方が加入していた場合に支給される「遺族厚生年金(報酬比例部分)」についても、改定率に従い2.0%の引き上げとなります。
2.1 子育て世帯の受給額をチェック!配偶者と「子ども2人」の世帯だといくらもらえる?
例えば、配偶者と子ども2人の世帯であれば、子の加算(1人につき24万3800円)を合わせて年間約133万4900円が支給されます。物価高が続く中、生活基盤の支えとなることが期待されます。
3. 遺族年金、制度改正をきっかけに「ライフプラン」を見つめ直そう
今回は、厚生労働省の最新資料をもとに、遺族年金制度の大きな転換点について解説しました。
「5年で終了」という言葉だけを見ると厳しく感じますが、その分、生活再建のための支給額が1.3倍に増えるなど、現代の共働き世帯に寄り添った内容へとブラッシュアップされています。特にこれまで受給できなかった若い夫や、年収の高い世帯に道が開かれたのは大きな一歩と言えるでしょう。
万が一の時、自分や家族にいくら届くのかを知ることは、前向きに今を生きるための安心材料になります。この春、ご夫婦で将来のマネープランについて一度ゆっくり話してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
村岸 理美