2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度と比較して国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなります。
日本の公的年金制度は、働き方によって将来の受給額が大きく変わる「2階建て構造」です。厚生労働省の資料によると、厚生年金の平均受給額は月額およそ15万円ですが、この金額を実際に受け取っている人は全体の半数以下にとどまります。
特に男女間の差は大きく、男性の約7割が月15万円以上を受け取る一方で、女性は約1割という厳しい実態があります。この記事では、年金受給額の現状をデータで確認し、2025年の制度改正が与える影響、そしてこれからの老後資金準備について解説します。
1. 公的年金の基本!「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造とは?
日本の公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」という2つの制度で構成されており、その仕組みから「2階建て構造」と呼ばれています。
1.1 【1階部分】国民年金の仕組み
- 加入対象:日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入します。
- 保険料:加入者全員が同じ金額を納付し、毎年度改定されます(※1)。
- 年金額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます(※2)。未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。
※1 国民年金保険料:月額1万7920円(2026年度)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:月額7万608円(2026年度)
1.2 【2階部分】厚生年金の仕組み
- 加入対象:主に会社員や公務員などが加入します。
- 保険料:収入(報酬)に応じて保険料が決まる「報酬比例制」が採用されています(上限あり)。
- 年金額:加入していた期間や納めた保険料額によって決まり、国民年金に上乗せされる形で支給されます。
国民年金の保険料が全員一律であるのに対し、厚生年金の保険料は個人の給与や賞与といった報酬額に基づいて計算される「報酬比例制」です。このため、納める保険料は人によって異なります。
このように、現役時代にどの年金制度に、どのくらいの期間加入していたかによって、将来受け取る年金額に大きな差が生まれる仕組みになっています。
2. 厚生年金の平均月額は約15万円!15万円以上もらえる人の割合は?
厚生年金の受給額は現役時代の収入や加入期間で変わりますが、実際のところ、どれくらい受け取れるのでしょうか。
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金(国民年金分を含む)の平均受給月額は、男女合計で15万289円です。
公的年金は原則2カ月に1回支給されるため、平均的なケースでは1回の支給日に約30万円が支払われることになります。
それでは、平均額である月額15万円以上を受け取っている人は、全体のどのくらいを占めているのでしょうか。
※以下で示す厚生年金の月額には、国民年金(老齢基礎年金)が含まれています。
2.1 【男女計】厚生年金を月15万円以上受給できる人の割合
【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金を月に15万円以上受給している人の割合は、男女合計で49.8%と、全体の半数を下回っています。厚生年金の受給資格がない人を含めると、この比率はさらに下がると考えられます。
2.2 【男女別】厚生年金を月15万円以上受給できる人の割合
次に、男女別のデータを見てみましょう。
【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円
- ~1万円:3万446人
- 1万円以上~2万円未満:1万257人
- 2万円以上~3万円未満:5404人
- 3万円以上~4万円未満:5185人
- 4万円以上~5万円未満:1万4747人
- 5万円以上~6万円未満:3万9134人
- 6万円以上~7万円未満:13万4214人
- 7万円以上~8万円未満:23万186人
- 8万円以上~9万円未満:26万278人
- 9万円以上~10万円未満:26万99人
- 10万円以上~11万円未満:29万8838人
- 11万円以上~12万円未満:37万6357人
- 12万円以上~13万円未満:45万6689人
- 13万円以上~14万円未満:54万9337人
- 14万円以上~15万円未満:65万7775人
- 15万円以上~16万円未満:76万4713人
- 16万円以上~17万円未満:85万3718人
- 17万円以上~18万円未満:92万6462人
- 18万円以上~19万円未満:95万5327人
- 19万円以上~20万円未満:91万3998人
- 20万円以上~21万円未満:82万204人
- 21万円以上~22万円未満:68万2702人
- 22万円以上~23万円未満:50万9842人
- 23万円以上~24万円未満:34万1191人
- 24万円以上~25万円未満:22万4720人
- 25万円以上~26万円未満:14万7563人
- 26万円以上~27万円未満:9万2856人
- 27万円以上~28万円未満:5万4156人
- 28万円以上~29万円未満:2万9810人
- 29万円以上~30万円未満:1万4935人
- 30万円以上~:1万8801人
【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円
- ~1万円:1万2953人
- 1万円以上~2万円未満:3880人
- 2万円以上~3万円未満:2万9993人
- 3万円以上~4万円未満:6万3025人
- 4万円以上~5万円未満:6万1945人
- 5万円以上~6万円未満:6万9313人
- 6万円以上~7万円未満:18万892人
- 7万円以上~8万円未満:34万8764人
- 8万円以上~9万円未満:54万1901人
- 9万円以上~10万円未満:75万1358人
- 10万円以上~11万円未満:81万3990人
- 11万円以上~12万円未満:69万5128人
- 12万円以上~13万円未満:52万2466人
- 13万円以上~14万円未満:37万4169人
- 14万円以上~15万円未満:27万1489人
- 15万円以上~16万円未満:20万322人
- 16万円以上~17万円未満:14万7604人
- 17万円以上~18万円未満:10万5489人
- 18万円以上~19万円未満:7万1561人
- 19万円以上~20万円未満:4万8617人
- 20万円以上~21万円未満:3万3387人
- 21万円以上~22万円未満:2万1931人
- 22万円以上~23万円未満:1万4116人
- 23万円以上~24万円未満:8813人
- 24万円以上~25万円未満:5491人
- 25万円以上~26万円未満:3233人
- 26万円以上~27万円未満:1811人
- 27万円以上~28万円未満:927人
- 28万円以上~29万円未満:479人
- 29万円以上~30万円未満:223人
- 30万円以上~:482人
月15万円以上の年金を受け取っている人の割合を見ると、男性が68.8%であるのに対し、女性は12.3%と、大きな差があることがわかります。
公的年金は老後の生活を支える重要な柱ですが、それだけで生活費をまかなえるかを確認することが重要です。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などを活用してご自身の受給見込額を把握し、早期から資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
3. 2025年からの年金制度改正!標準報酬月額の上限引き上げで年金は増える?
2025年6月13日に年金制度改正法が成立し、現役世代の生活に深く関わるいくつかの見直しが行われました。その中から、今回は「保険料や年金額の計算基準となる賃金上限の引き上げ」について解説します。
3.1 標準報酬月額の上限引き上げの概要
厚生年金や健康保険の保険料、そして将来の年金額は、「標準報酬月額」という基準を用いて計算されます。これは月々の給与や賞与を一定の等級に区分したものです。
改正前の標準報酬月額の上限は65万円でした。そのため、月の収入が65万円を超えても、保険料や年金額の計算には上限額の65万円が適用され、いわゆる「頭打ち」の状態でした。厚生労働省の発表では、会社員男性のおよそ1割がこの上限に該当するとされています。収入が上限を超えると保険料の負担は相対的に軽くなりますが、その分、将来受け取る年金額も抑えられていました。
今回の制度改正では、この標準報酬月額の上限が段階的に75万円まで引き上げられることになりました。
標準報酬月額の上限引き上げスケジュール
- 2027年9月~:月額68万円
- 2028年9月~:月額71万円
- 2029年9月~:月額75万円
この変更により、高所得者層は保険料の負担が増加しますが、将来は現役時代の収入により見合った年金額を受け取れるようになります。
4. まとめ:公的年金以外の老後資金対策も検討しよう
これまで厚生年金の受給額の実態について見てきました。公的年金だけに頼らず、ご自身で老後資金を準備することも重要です。
近年では、預貯金に加えて「新NISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などを活用し、資産運用で老後資金を準備する人が増えています。
これらの制度は、主に投資信託で運用するため、預貯金よりも効率的に資産を増やせる可能性があります。ただし、元本が保証されているわけではないため、利用する際はご自身で制度内容をよく理解することが大切です。まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。



