3. 60歳代の貯蓄中央値は1400万円。老後の備えは十分といえるのか?
居住地による不足額の違いを理解したところで、次にJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を基に、二人以上世帯の年代別金融資産保有額から、実際の備えの状況を確認していきます。
この調査には、金融資産を保有していない世帯も含まれています。
また、調査対象の金融資産には預貯金や株式、保険などが該当しますが、生活費の決済などに用いる「日常的な普通預金」は除かれているため、将来に向けた純粋な貯蓄額を把握できます。
《二人以上世帯》年代別の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)4/4
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」 をもとにLIMO編集部作成
データを確認すると、すべての年代において「平均額」が「中央値」を大幅に上回っていることがわかります。
これは、一部の富裕層が平均値を引き上げていることを意味しており、より実態に近い多くの人々の状況とは乖離があることを示唆しています。
全世代の詳細は図表の通りですが、ここでは主な現役世代からリタイア前後の世代の数値を抜粋して紹介します。
- 30歳代:中央値 311万円
- 50歳代:中央値 700万円
- 60歳代:中央値 1400万円
リタイアが間近に迫る60歳代であっても、貯蓄の中央値は1400万円という結果です。
もし老後の不足額が3000万円を超えるような地域にお住まいの場合、現在の貯蓄だけでは足りなくなる可能性が考えられます。
そのため、今からでもお住まいの地域の特性を踏まえた準備を検討しておくと、将来の安心につながるでしょう。
まずはご自身の年代の中央値を一つの参考にしつつ、お住まいの地域で必要とされる老後資金との差額を把握することが大切です。
一律の目標額に縛られることなく、ご自身の状況に適した資産形成プランを考えていくことをおすすめします。
4. 地域と年代の実情に合わせた老後資金計画を
老後の生活資金は「2000万円」という一つの言葉でまとめられるものではなく、暮らす場所によって必要額が大きく変動します。
さらに、実際の貯蓄データに目を向けると、多くの人々が十分な備えをできているとはいえない実情も浮かび上がってきます。
だからこそ、ご自身が住む地域や年代に合わせた、現実的な目標を設定することが重要になります。
まずは現状を正確に把握することが、無理のない老後への準備を始めるための第一歩となるでしょう。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 金融庁「金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について」
- 衆議院「第198回国会/質問の一覧・令和元年六月六日提出/質問第二一〇号」
- 衆議院「第198回国会/質問の一覧・令和元年六月十八日受領/答弁第二一〇号」
- スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)「"老後2000万円問題"は本当に2000万円?」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- LIMO「【老後2000万円】30年間の累計不足額《軽い県・重い県》ランキング!備えは安心?《60歳代》貯蓄の中央値「1400万円」」
マネー編集部貯蓄班