老後生活の貴重な支えとなる「年金生活者支援給付金」。年金に上乗せして振り込まれるため、「もらえると本当に助かる」という声が多い制度です。

しかし、「去年まではもらえていたのに、今年は急にストップしてしまった!」というケースもあるので注意が必要です。

基本的に、年金生活者支援給付金は一度認定されたら継続してもらい続けられるのですが、毎年の状況によって判定が変わることもあるのです。

今回は、年金生活者支援給付金の基本をおさらいしつつ、意外と陥りがちな「支給停止になるケース」を詳しく解説します。「自分は大丈夫かな?」とチェックしながら読んでみてくださいね。

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金とは、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者を支援するため、年金に上乗せして支給される制度です。

消費税率が10%に引き上げられた際の増収分を財源としてスタートしました。

老齢・障害・遺族の基礎年金を受給している方で、所得などの条件を満たせば受け取ることができます。

手続きを一度行えば、原則として翌年以降も自動で判定されますが、条件から外れると支給が止まってしまいます。

2. 年金生活者支援給付金の対象となる方の条件

年金生活者支援給付金は3種類あり、それぞれに所得などの支給要件が定められています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」と、「障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」に分けて、詳しい要件を見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件2/5

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算に含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の対象者

  • 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金、遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。

なお、いずれの給付金も、定められた要件をすべて満たす必要があります。

3. 年金生活者支援給付金がストップする『意外な理由』

ここからが本題です。年金生活者支援給付金がストップする可能性のある、代表的な3つの落とし穴をご紹介します。

3.1 子どもと同居を始めた(世帯の非課税要件から外れた)

最も多いのが、世帯構成の変化です。要件にある通り、給付金をもらうには「世帯全員が住民税非課税」でなければなりません。

例えば、収入のある子ども世帯と同居を始め、住民票を同じ世帯にした場合、子どもの収入によって「課税世帯」と判定されることがあります。

そうなれば、ご本人の年金が少なくても給付金はストップしてしまいます。

3.2 パート収入などの「ちょっとした増加」

年金をもらいながらパートなどで働いている場合、その給与収入が少し増えたことで、所得基準をオーバーしてしまうケースです。

また、シルバー人材センターからの配分金(雑所得扱い)なども所得に含まれます。「月に数千円だけシフトを増やした結果、年間数万円の給付金がもらえなくなってしまった…」という逆転現象もあり得るため、働き方には注意が必要です。

3.3 不動産の売却や株式の配当による「一時的な所得」

継続的な労働収入でなくても、前年に「自宅や土地を売却した」「株式の配当金を受け取った(申告した)」といった一時的な所得がある場合も、その年の所得としてカウントされます。

これにより基準額を上回り、その年だけ給付金が対象外になるケースが意外とあるのです。

4. 【2025年3月時点】年金生活者支援給付金の平均支給額はいくら?

厚生労働省の資料「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2025年3月時点での平均給付月額(※)は以下のようになっています。

  • 老齢年金生活者支援給付金:約4146円(月額)
  • 障害年金生活者支援給付金:約5727円(月額)
  • 遺族年金生活者支援給付金:約5228円(月額)

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。

さらに、年齢別の平均額についても詳しく見ていきましょう。

4.1 年齢別の老齢年金生活者支援給付金 平均額

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年齢別の平均額は以下の通りです。

  • 70歳未満:4905円(対象者数:43万9628件)
  • 70~74歳:4374円(対象者数:56万1362件)
  • 75~79歳:4092円(対象者数:85万9446件)
  • 80~84歳:3936円(対象者数:95万453件)
  • 85~89歳:3989円(対象者数:82万8270件)
  • 90歳以上:4045円(対象者数:86万5282件)

4.2 年齢別の障害年金生活者支援給付金 平均額

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年齢別の平均額は以下の通りです。

  • 30歳未満:5692円(対象者数:26万6276件)
  • 30~39歳:5668円(対象者数:31万6202件)
  • 40~49歳:5655円(対象者数:37万1772件)
  • 50~59歳:5671円(対象者数:46万8876件)
  • 60~69歳:5749円(対象者数:38万4626件)
  • 70~79歳:5880円(対象者数:26万4423件)
  • 80歳以上:6033円(対象者数:10万4991件)

4.3 年齢別の遺族年金生活者支援給付金 平均額

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年齢別の平均額は以下の通りです。

  • 20歳未満:4190円(対象者数:5687件)
  • 20~29歳:5310円(対象者数:529件)
  • 30~39歳:5310円(対象者数:7881件)
  • 40~49歳:5310円(対象者数:3万4072件)
  • 50~59歳:5310円(対象者数:2万7828件)
  • 60歳以上:5310円(対象者数:1710件)

5. まとめ

「年金生活者支援給付金」は、年金だけでは生活が厳しい方を助けてくれる心強い味方ですが、世帯構成の変化やちょっとした収入増で、対象外になってしまうこともあります。

「子どもと同居を始めた」「パートのシフトを増やした」というだけでも給付がストップする可能性があるため、制度の仕組みを知っておくことは非常に大切です。

もし対象外になってしまっても、翌年以降に再び要件を満たせば、改めて手続きをして受け取ることが可能です。家計の状況が変わった時は、要件に当てはまるかぜひ再確認してみてくださいね。

利用できる制度を上手に活用しながら、少しでも安心して日々の生活を送れるように、今一度ご自身の状況を確認してみることをおすすめします。

※個別の質問やご相談はお受けできません。

参考資料