大型連休が明けて、日々の生活が戻ってきましたね。親や親戚と顔を合わせ、ご自身の老後について考え始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
来月は年金の支給日ですが、実は厚生年金受給者の約5人に1人が月10万円未満というデータがあります。今回は、厚生労働省の統計資料をもとに、年金の受給実態や、シニア世代の健康、そして「終活」の現状について、お金と健康のリアルを解説します。
1. 厚生年金、約5人に1人が「月10万円未満」今のシニア世代の平均受給額はいくら?
厚生年金(国民年金を含む)の受給額分布を詳しく見ると、意外な事実が浮かび上がります。生活費の目安となる「20万円以上」を受給する人よりも、実は「10万円未満」の人の方が多いのが実情です。
※この記事で紹介するのは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の、国民年金の月額部分を含む年金額です。
1.1 受給額分布の対比(厚生年金・男女全体)
- 月額10万円未満:19.0%(約5.3人に1人)
- 月額20万円以上:18.8%(約5.4人に1人)
わずかな差ではありますが、高額受給者の割合を「10万円に届かない層」が上回っています。
国民年金のみの受給者を含めて全体を俯瞰すれば、この「10万円未満」の割合はさらに圧倒的なものになると推測されます。
平均額が15万円台であっても、実際には受給者間の格差が大きく、個人単位で見れば、8割以上の人が「月20万円未満」の受給額となっており、自助努力での備えが重要視される背景となっています。
年金生活に入ってから「思ったより少なかった」と慌てないよう、現役時代から自身の受給予定額をシビアに見積もっておく必要があるでしょう。公的年金だけに頼り切るのではなく、早い段階からiDeCoやNISAなどを活用した「自分年金」作りを検討することが、老後のゆとりを左右する鍵となります。
2. 日本の平均寿命「男81歳・女87歳」、65歳以上の約559万人「軽度認知障害」の状況
厚生労働省が公表する「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年。前年と比べ男性は横ばい、女性はわずかに低下したものの、長期的には大きく伸びています。
長い老後を豊かに過ごすには、資産形成に加え、公的年金や医療・介護リスクへの理解が重要です。長寿化の中で避けて通れないのが「認知症」への備えです。
2.1 認知症の現状を「65歳以上」ピラミッドの図解で解説
65歳以上のシニア層3603万人を対象にした令和4年度(2022年度)の推計によると、65歳以上の高齢者における現状は以下の通りです。
- 認知症: 約443万人(12.3%)
- 軽度認知障害(MCI): 約559万人(15.5%)
認知症やその前段階とされるMCI(軽度認知障害)を含めると合計で約1002万人、およそ4人に1人が認知機能に関して何らかのサポートや注意が必要な状況にあると推計されています。認知症は今や身近な問題であり、MCI段階での対応が生活の質を左右します。
こうした背景から注目されているのが「終活」です。
3. 【終活】9割超の認知度「60歳代・70歳代」の終活は万全?
【グラフ】終活に対するイメージ(全体・男女別・年代別)

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
長寿化と認知症リスクを見据え、注目されているのが「終活」です。NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」によると、「終活」という言葉の認知度は96.2%と高い一方、「エンディングノート」は認知されていても実行が進んでいません。特に高齢になるほど「まだ早い」という心理や体力面の問題から記入が進みにくい傾向があります。
3.1 エンディングノートの意識と実行率
- 認知度:60歳代以上で9割を超える。
- 所有率:70歳代以上が24.2%と最も高いが、50歳代以下は1桁台。
- 実行率(持っている人のうち):20歳代が9割以上書いているのに対し、70歳代以上は約5割にとどまる。
高齢になるにつれて、書くべき項目が多岐にわたることや、「まだ早い」という心理的な先送り、あるいは健康上の理由などから筆が進みにくくなってしまったりする可能性があるのかもしれません。資産や医療・介護の希望を反映するためにも、気力・体力が充実しているうちから準備を始めることが重要です。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2,052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル
4. まとめにかえて
今回は、厚生年金の受給実態と、シニア世代が直面する健康問題や終活の現状について解説しました。
厚生年金の受給額は個人差が大きく、約5人に1人が月10万円未満というデータがあります。また、長寿化に伴い、65歳以上の約4人に1人が認知症やその前段階にあるという現実も見逃せません。終活への関心は高いものの、具体的な準備はまだこれからという方も多いようです。
この記事をきっかけに、ご自身の老後の資金計画や健康について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。早めに情報を集め、具体的な準備を始めることが、安心して豊かなセカンドライフを送るための第一歩となるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
- NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
長井 祐人