2026年6月15日支給日から、物価や賃金の変動を反映し国民年金・厚生年金などの公的年金額が引き上げられます。

国民年金は前年度より1.9%、厚生年金は2.0%の増額となり、受給者にはうれしい改定です。

本記事では、令和8年度の年金額の改定について確認するとともに、受給額のひとつの目安となる「月15万円以上」を受給できている人はどのくらい存在するのかを解説していきます。

1. 令和8年度の年金支給額の水準は?

厚生年金や国民年金などの公的年金の支給額は、毎年改定されています。

2026年1月23日に「2025年平均の全国消費者物価指数」が公表されたことを踏まえ、令和8年度の年金額の改定が行われました。

国民年金・厚生年金ともに令和7年度より増額となり、国民年金は1.9%の引き上げに、厚生年金は2.0%の引き上げになります。これで、4年連続の引き上げとなります。

なお、令和8年度の年金額は名目手取り賃金変動率(2.1%)を元に改定されますが、マクロ経済スライドの発動により、国民年金で△0.2%、厚生年金で△0.1%の調整が行われ、上記のような引き上げ率となっています。

具体的な支給水準額は以下の通りです。

  • 国民年金:7万608円(+1300円)
  • 厚生年金:23万7279円(+4495円)
    ※()内は昨年度比

国民年金は令和7年度より1300円の増額で7万608円に、厚生年金は4495円の増額で23万7279円になります。

国民年金で7万608円が受給できるのは、保険料を40年間(480ヵ月)納付した場合です。未納月がある場合はその分減額された金額が支給されます。

また、厚生年金は男性の平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)で40年間就業した場合に受け取る年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準とされています。

勤務年数や年収は人それぞれ異なるため、あくまでも目安として捉えておきましょう。

2. 厚生年金と国民年金の平均受給額はいくら?

前章でご紹介した受給額は、あくまでも支給水準額であり、実際の平均支給額とは異なります。

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在のシニア世代の厚生年金・国民年金の平均受給額は以下の通りです。

なお、厚生年金には国民年金分も含まれます。

厚生年金・国民年金の平均受給額2/3

厚生年金・国民年金の平均受給額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 をもとに筆者作成

2.1 【厚生年金】

  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

2.2 【国民年金】

  • 全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

厚生年金の平均受給額は15万289円(国民年金を含む)で、月15万円というのはまさに厚生年金受給者の平均的な受給額といえます。

一方、国民年金は5万9310円で、厚生年金より9万円強少ないです。

老後の生活費を年金だけで賄うのは難しいため、年金以外の方法で老後の生活費を確保しておく必要があります。

ただし、厚生年金の平均受給額は全体で15万289円ですが、男女を比較すると男性の方が女性よりも5万8000円ほど高額です。

これは、厚生年金保険への加入期間や現役時代の収入が関係しています。

厚生年金は、加入期間が長いほど、また、年収が高いほど受け取れる年金額が高額になるのが一般的です。

現在年金を受給している世代の女性は、結婚後は家庭に入ることが多く、専業主婦や、働いていても扶養の範囲内に収めている方が多い傾向にあります。

そのため、厚生年金への加入期間が短くなり、収入も男性より少ないことから、厚生年金受給額も少額になると考えられます。

一方、国民年金は保険料の納付月数によって決まり、現役時代の年収に大きな影響は受けません。そのため、男女間の差も少ないと考えられるでしょう。

3. 国民年金+厚生年金で月15万円以上受給している人はどのくらい?

前章で、国民年金を含めた厚生年金受給額は平均約15万円ということがわかりました。

では、どのくらいの割合の人が月15万円を受給しているのでしょうか。

まずは、受給額ごとの受給権者数を見ていきましょう。

  • 1万円未満:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上:1万9283人

このように、「1万円未満」から「30万円以上」まで幅広く分布しています。

上表より、厚生年金受給額が15万円以上の人の割合は約49.8%です。

厚生年金受給権者の約半数が該当することになります。

しかし、この結果には国民年金のみを受給している人は含まれていません。

国民年金は満額受給できても7万608円(令和8年度)で、15万円の半分にも満たない状況です。

そのため、国民年金のみを受給している人を含めると、そのぶん分母が大きくなり、月15万円以上もらっている人の割合は少なくなるでしょう。

4. おわりに

令和8年度の年金額の改定は4月分から反映され、来月6月15日に「4月分と5月分」の年金が支給される仕組みです。

物価高騰の続く中、少しでも受給額が増えるのは喜ばしいことですが、ゆとりのある老後生活を送れるほどの増額になるかどうかは疑問です。

今後も物価高は継続すると予測されるため、働いて給与を得たり、さらに節約したりするなどの対策が必要になるでしょう。

これから老後資金を準備する方は、ねんきんネットやねんきん定期便などで受給見込み額を確認し、計画的に貯蓄を進めることをおすすめします。

参考資料