この記事の読みどころ

  • 2千円を払って高速道路に乗り、60分の時間が短縮できるとしたら、あなたは高速道路に乗りますか?
  • ポイントになるのは、「時間単価」という考え方です。
  • 起業家ならともかく、サラリーマンや主婦の方の人生の決断にも、時間単価という考え方は役に立つのでしょうか。

もしあなたがドライブをしていて、帰り道に高速道路に乗るかどうか迷ったとします。中途半端な距離で、下道でも辿り着けるのですが、それでは少し多く時間がかかりそうです。具体的には、2千円の料金を支払うと60分の時間が短縮できるとしたら、さてあなたは高速道路に乗るべきでしょうか。家族のことは考えず、車に乗っているのはあなた1人だとします。

時間単価とは何か

私は経営コンサルタントとして起業をしたのですが、サラリーマンをやっている頃から「時間単価」という考え方を強く持っていました。しかし、口に出すと周りの反応は相当、微妙でした。起業してからは、当たり前に時間単価という言葉が会話に使えて嬉しいですし、その考え方で成果も出てきました。

まず時間単価とは、「1時間作業をした時に発生する収入(払う側から見れば費用)」のことです。アルバイトをしているのであれば時給契約なので強く意識しているはずですが、月給で仕事をしていると自分の時間単価を忘れがちです。

例えば、あなたの年収が賞与も含めて720万円なら、12か月で割って月収は60万円。20日働いているなら1日あたり3万円。残業を含めて平均10時間労働なら時間単価は3千円です。単純に年収が倍の1,440万円で労働時間が変わらないなら、時間単価は6千円ということになりますね。

仮にあなたの時間単価を3千円とすると、そこで初めて「高速道路に乗ると2千円かかるが、60分間節約できる。高速に乗るべきかどうか?」という問題が解けるようになるんです。60分間節約できるなら、その60分間で3千円を生み出すことができるので、2千円を払う価値があります。この場合、高速道路に乗るべきです。

逆に、30分しか節約できないなら、1,500円しか生み出せない時間に2千円払うことになるので、これは乗らない方が良いかもしれません。実際には、帰ってだらだらとテレビを観るだけなら何も生み出さないので微妙な判断になりますが、何にしても、自分の時間単価を知っておくことで、判断の軸ができるわけですね。

利益はどうやって決まるのか

私がやっているコンサルタントやコーチの収益構造はとてもわかりやすく、基本的には労働集約的な職種です。利益はどうやって生み出されるかというと、

(「労働時間」×「時間単価」)−「経費」

これだけです。単純ですね。利益を増やそうと思ったら、①労働時間を増やすか、②時間単価を上げるか、③経費を減らすか、この3つしかありません。明快ですね。人を雇っていればもう少し変数は増えますが、私のように1人でやっている(今のところ)なら、本当にこれだけです。

経費は無駄にはかけていませんし、労働時間を増やすことには限界がありますから、時間単価でほぼ利益が決まるということになります。なので、時間単価に拘らずに、何でも良い顔をしてやっていると、サラリーマンの時より忙しいにも関わらず、年収が大幅に減ってしまう、という事態になります。

ですから、こういう業種でやっている以上は、時間単価に拘って拘り過ぎということはないわけです。時間単価が生命線なんですね。もちろん、将来のことを考えて、多少安くても仕事を受けることはあります。しかし私は何か仕事をするときには、長期的にということも含め、時間単価で説明が付けられるか、という検証は必ずします