3. 老後資金はいくらあれば安心?目安と考え方

「老後2000万円問題」が話題になって以来、自分の老後資金に不安を感じる人が増えています。

しかし、必要な金額は人によって大きく異なり、一律の正解はありません。大切なのは、自分の状況に合わせて必要額を見積もることです。

3.1 「いくらあれば安心」に絶対的な基準はない

老後資金の必要額は、住んでいる地域や居住形態(持ち家か賃貸か)、健康状態、そして「どんな老後を送りたいか」によって大きく変わります。たとえば、地方で持ち家があり質素に暮らす夫婦と、都市部で賃貸住まいを続け旅行や趣味を楽しみたい夫婦では、必要な金額は数千万円単位で違ってきます。

メディアで語られる「2000万円」「3000万円」といった数字は、あくまで平均的なモデルケースに過ぎません。これを鵜呑みにして不安になるのではなく、自分自身の生活設計に基づいて考えることが出発点になります。

3.2 現在の家計状況を把握することから始める

シミュレーションの第一歩は、現在の支出を正確に把握することです。支出の内訳を月単位で洗い出し、定年後に減る費用(通勤費・教育費など)と、逆に増える可能性のある費用(医療費・介護費)を考慮して、老後の月々の生活費を試算します。

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家計の収支確認表(見本)

出所:日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」

一般的に、現役時代の生活費の7割程度が老後の支出目安と言われます。自分の家計簿を基に、老後の生活費をイメージしてみてください。

3.3 受け取れる年金額の見込みを確認する

次に確認したいのが、将来受け取れる公的年金の見込み額です。日本年金機構の「ねんきんネット」や毎年送られてくる「ねんきん定期便」を使えば、現時点での加入実績に基づく受給見込み額を確認できます。

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ねんきん定期便について

出所:厚生労働省「わたしの年金どうなっているの?」

老後の月々の支出から年金収入を差し引いた金額が、毎月の不足分です。これに老後の年数(仮に65歳から90歳までの25年間=300カ月)を掛ければ、準備すべき自己資金の概算が見えてきます。たとえば月5万円の不足なら、約1500万円が目安になります。

このように、「平均」ではなく「自分の数字」で計算することで、過剰に不安を抱く必要はなくなり、必要な準備の方向性も明確になります。まずは、家計の見える化と年金見込み額の確認から始めてみましょう。