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2016年2月23日(火)18:00発表予定の2月独Ifo景況感指数に注目です。

ドイツ企業最大の懸念材料は、中国向けの輸出不振です。

2月独Ifo景況感指数(期待指数)の市場予想106.8を上回れるかが目先の焦点です。

2月23日(火)18:00発表予定の2月独Ifo景況感指数に注目

前回の記事(先行き不安高まるドイツ経済。2月16日(火)発表の2月独ZEW景況感指数に注目)で、Ifo景況感指数より約1週間早く発表される独ZEW景況感指数の方が、一段とマーケットとの相関性が高いため注目されると述べました。

その独ZEW景況感指数は、市場予想0.0を上回る1.0となりました。ただし、依然として独経済は低水準で推移していると言えます。

こうした中、2月23日に発表されるIfo景況感指数は、速報性は劣るものの、サンプル数が約7,000社と多く、調査対象が事業会社のため、独経済全体の健康診断をするには適しています。日本で言えば、日銀短観(Tankan)に相当します。

なお、Ifo景況感指数は、通常の景況感指数と集計方法が異なり、「現時点の景況感」と「6か月後の景況感」の加重平均を算出します(詳細は後述)。

ドイツ企業最大の懸念材料は、中国向けの輸出不振

前回、1月の独Ifo景況感指数は107.3と、12月の108.6を一段と下回る内容となり、2か月連続で低下しました。独ZEW景況感指数同様、中国の株式市場下落を発端にして、同国向けの輸出不振を懸念する企業が多くなってきていると言えそうです。

また、2015年秋以降、世界に衝撃を与えた独VWの排ガス不正問題やドイツ銀行の経営に対する先行き懸念は、ドイツ国内の調査においては影響が少ないのも興味深いところです。自国を離れて、初めて自国のことが理解できるようになるのは、古今東西変わらないと言えそうです。

2月独Ifo景況感指数の市場予想106.8を上回れるか

こうした中、2月独Ifo景況感指数が市場予想106.8を上回れば、ドイツ経済の先行き見通しに対する支援材料となり、独DAX指数を始め、欧州圏の株価指数を下支えしていくでしょう。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】独Ifo景況感指数の基礎知識

そもそも独Ifo景況感指数とは

独Ifo景況感指数は、ドイツのミュンヘンにあるIfo経済研究所が、製造業、建設業、卸売業、小売業の約7,000社にアンケート調査を行い、毎月下旬に公表するものです。Ifoとは、Information(情報)とForschung(調査)というドイツ語の頭文字をとったもです。

調査では、現時点の景況感について「良い」、「満足できる」、「悪い」の3択で回答します。また、6か月後の景況感について「より良くなる」、「変化なし」、「より悪くなる」の3択で回答します。調査項目は、生産、在庫、受注、価格、雇用となります。

公表される指数は、大きく分けてBalancesとIndexの2種類です。Balancesは「良い・良くなる」と回答した比率から、「悪い・より悪くなる」と回答した比率を差し引いたものを100~-100で表記した指数です。Indexは、Balancesの2005年の平均値を基準(100)として指数化したものです。「現時点の景況感」と「6か月後の景況感」それぞれのIndexを加重平均して算出したものが、「Ifo景況感指数(全産業・季節調整済)」となり、マーケット参加者が最も重要視します。

なお、Ifo景況感指数は、全産業に加え、産業別に製造業・卸売業・小売業・建設業の4種類も公表されます。

※元データの確認は、Ifo経済研究所のウェブサイト(英語版)をご参照ください。

【2016年2月22日 投信1編集部】

■参考記事■

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岡野 辰太郎