長らく続いたマイナス金利時代が終わり、「金利のある世界」が戻りつつあります。大手銀行の普通預金でも年0.3%程度となり、預金でも利息を多少は実感できる状況です。とはいえ、より有力な「お金の置き場所」として注目されているのが、個人向け国債です。

本記事では、2026年4月募集分の個人向け国債の最新金利を確認したうえで、100万円を投じた場合の利益を銀行預金と比較シミュレーションします。

さらに、今こそ押さえておきたい個人向け国債の仕組みとメリットを、分かりやすく整理・解説します。今後のお金の置き場所を考える上で、ぜひご参考にしてください。

1. 4月募集の個人向け国債

2026年4月6日から募集されている個人向け国債の金利(税引前)は以下のようになっています。

個人向け国債の金利情報(4月募集)1/3

個人向け国債の金利情報(4月募集)

出所:財務省「個人向け国債」

  • 変動10年:1.55%(※初回金利。半年ごとに変動)
  • 固定5年:1.79%
  • 固定3年:1.51%

2. 銀行預金vs個人向け国債

ここからは、銀行預金に預けた場合と個人向け国債を購入した場合とで、受取利息(利益)の比較を行います。今回は、4月募集の個人向け国債の中で最も金利の高い「固定5年」の商品を例に挙げて銀行預金と比較をしていきます。

2.1 銀行預金

銀行預金の金利は、数年前には「ゼロ金利」と言われるほど低く、銀行に預けても増える実感は全くありませんでした。近年ではやや回復傾向にはあるものの、大手銀行の普通預金で0.3%程度の水準です。仮に0.3%とした場合、100万円を5年間預けると金利としては以下のようになります。

【実質的な適用金利】半年ごとに金利が計算され、約20%(※正確には20.315%ですが、本シミュレーションでは分かりやすく20%として概算します)の税金が源泉徴収されるため、以下のようになります。

  • 税引後の半年利率: 0.3% ×(1/2)×(1−0.20)=0.12%

【半年ごとの資産推移】

  • 第1期(0.5年後): 利息1200円(100万円×0.12%)→利息受取後の資産額100万1200円
  • 第2期(1.0年後): 利息1201円(100万1200円×0.12%)→利息受取後の資産額100万2401円
  • 第3期〜第9期:上記と同様に計算
  • 第10期(5.0年後): 利息1213円(101万848円×0.12%)→最終資産:101万2061円

【5年間の累計利益】
101万2061円−100万円=1万2061円

複利効果により徐々に受け取れる利息は増えていくものの、5年間で得られる利益は約1万2000円にとどまる結果となります。

2.2 個人向け国債

一方で、利率1.79%の個人向け国債を購入した場合の5年後の利益は、以下のようになります。

【実質的な適用金利】
個人向け国債の利息は「単利計算」で、半年ごとに税金が差し引かれた利息が支払われます。

  • 税引後の半年利率:1.79%×(1/2)×(1−0.20)=0.716%

【半年ごとの税引後受取利息】
7160円(100万円×0.716%)

【5年間の累計利益】
10回分(5年間)合計:7160円×10=7万1600円

満期である5年間保有していれば、投資した元本100万円がそのまま償還できるため、得られる純粋な利益は7万1600円となります。

2.3 シミュレーション結果

結果として、5年間で受け取れる利息は、銀行普通預金の約1万2061円に対し、個人向け国債は約7万1600円と、約6万円もの差が生じました。6万円を大きいと捉えるかどうかは人の感じ方にもよりますが、これが「特段の労力を要せずに、ただお金の置き場所を変えただけ」で得られる差であるということは重要なポイントです。

株式や投資信託のように日々の値動きを追う手間や価格変動のリスクを負わずに効率的に資金を増やせるという点は、堅実な資産形成において大切な視点と言えるでしょう。

3. 個人向け国債のメリット

個人向け国債は、例えばNISAと比較すると「利益に対して課税される」といったデメリットも存在します。しかし、それでも個人向け国債が注目されているのにはいくつかの理由があります。

3.1 安全性が高い

個人向け国債は、原則として元本割れをすることがありません。

一般的な株式投資は価格変動があり、売買のタイミングによっては評価額が下がり損をしてしまうことがあります。一方で、個人向け国債は国が発行する債券であるため、満期まで持てば原則として「額面どおりの償還(元本の返還)」がされます。

「増え方は控えめでもいいから、減るのは困る」と考えたときに良い選択肢となります。

個人向け国債のメリット〜安全性が高い〜2/3

個人向け国債のメリット〜安全性が高い〜

出所:財務省「個人向け国債」

3.2 少額でも売買できる

個人向け国債は、1万円単位の少額から購入・売却ができます。そのため、「いきなり大金を動かすのは不安」「毎月の積立は難しい」という人でも実践しやすいのもメリットの1つです。

「普通預金に預けているお金の場所を変える」ような感覚(※ただし、発行から1年間は原則として中途換金ができない点には注意が必要です)で、資金を分散して置く先としても使いやすいでしょう。

個人向け国債のメリット〜利便性が高い〜3/3

個人向け国債のメリット〜利便性が高い〜

出所:財務省「個人向け国債」

4. 個人向け国債が合っている人

ここまでの特性を踏まえ、具体的にどのような人に個人向け国債が適しているのかを簡単にお伝えします。

1.投資は怖いけれど、できるだけお金を増やしたい
「新NISAなどに興味はあるが、元本割れのリスクが怖い」という方の投資デビューに最適なのが、個人向け国債です。元本保証の安心感を得ながら、現在の銀行の普通預金や定期預金の金利を上回る水準の利息を期待できます。

2.しばらく使う予定のない、まとまったお金がある
マイホームの頭金や教育資金など「使う時期が決まっており、絶対に減らせない資金」の保管場所に向いています。使う時期に合わせて3年・5年・10年の商品から期間を選ぶことができるため、自分のライフプランに合わせたお金の置き場所として最適と言えます。

5. おわりに

昨今の金利上昇を背景に、「安全性を保ちながら、預金よりも高い利息を得られる」選択肢として個人向け国債は注目を集めています。今回の試算はあくまで一例ですが「5年間で数万円の差」は、ただお金の置き場所を変えるだけの対価としては大きなものです。

まずは手元の資金を整理し、目的に合った商品を選ぶことで、ご自身のライフプランに沿った堅実な投資へと繋げることができます。当面使う予定のない資金があるなら、個人向け国債をぜひ「選択肢の一つ」に加えてみてください。

参考資料

斎藤 彩菜