新年度を迎え、税や社会保険の負担、使える公的支援を改めて確認したいと考える人も多いのではないでしょうか。
2026年度は、住民税で「年収の壁」への対応が進み、給与収入の目安にも見直しが入っています。
こうした制度変更の時期だからこそ、「住民税非課税世帯」に当てはまるかどうかを確認する意味はこれまで以上に大きいといえます。
住民税非課税世帯に該当すると、保険料の軽減や教育費の支援など、暮らしを支えるさまざまな優遇制度を利用できる可能性があります。
ただし、世帯構成や年齢、住んでいる地域によって判定基準は異なるため、言葉は知っていても、自分の世帯が該当するのか分かりにくい制度でもあります。
本記事では、住民税非課税世帯が受けられる主な支援・優遇制度を整理したうえで、制度の基本的な仕組みや収入の目安、高齢世帯における実態について分かりやすく見ていきます。
1. 住民税非課税世帯が受けられる「支援・優遇制度」5選
住民税非課税世帯に該当すると、国民健康保険料や介護保険料の軽減措置、医療費や公共料金の減免など、生活を支える複数の優遇制度が設けられています。
1.1 国民健康保険料(応益割)の減額
- 応益分保険料(均等割・平等割)の「7割・5割・2割」のいずれかを減額
1.2 介護保険料の減額
- 第1号被保険者(65歳以上)が対象。減額される金額は自治体ごとに異なる
1.3 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 全額免除・一部免除・納付猶予のいずれか
1.4 保育料の無償化
- 0歳から2歳までの保育料が無償化(※3~5歳は所得に関わらず全世帯で無償化されているため、非課税世帯は実質的に0~5歳まで無料になります)
1.5 高等教育の修学支援新制度
- 授業料・入学金の免除または減額
- 返還を要しない給付型奨学金
- 上記により大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化
上記のように国が設けている制度以外にも、各自治体が独自で行っている助成制度などもあるので、役場の窓口や自治体の公式ホームページ等で確認してみましょう。
2. 「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?
住民税には、所得に応じて負担額が決まる「所得割」と、一定の金額を全員が均等に負担する「均等割」の2種類があります。
住民税非課税世帯とは、世帯全員が「所得割・均等割の両方が非課税」の世帯を指します。
所得割・均等割の両方が非課税となるのは、以下のような方です。
- 生活保護法による生活扶助を受けている方
- 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
2.1 住民税非課税世帯となる所得要件(1級地の場合)
非課税世帯となるための所得要件は自治体によって異なり、1級地から3級地までの級地区分があります。
例えば、1級地に該当する東京23区内の場合は以下のとおりです。
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合(二人以上世帯)
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合(単身世帯)
45万円以下
※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。
※23区外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村にお問合せください。
2.2 住民税非課税世帯となる所得要件(2級地・3級地の場合)
<2級地(例:柏市)>
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合(二人以上世帯)
31万5000円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+28万9000円以下
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合(単身世帯)
41万5000円以下
<3級地例:成田市>
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合(二人以上世帯)
28万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+26万8000円以下
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合(単身世帯)
38万円以下
3. 住民税非課税世帯になる収入の目安はいくら?【東京23区の例】
住民税が非課税になる収入の目安は自治体によって異なりますが、「東京23区」(1級地)の例を例に挙げると以下のようになります。
- 単身:100万円
- 夫婦のみ:156万円
- 夫婦+子1人:205万7000円
- 夫婦+子2人:255万7000円
- 高齢者単身:155万円
- 高齢者夫婦:211万円
なお、2026年度(令和8年度)の住民税から、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。そのため、東京23区(1級地)の例では、2026年度基準で給与収入のみの単身世帯は110万円、夫婦のみ世帯は166万円が目安となります。
※目安となる年収は市区町村によって異なります。詳細はお住まいの地域の自治体が公表する情報を確認しましょう。
4. 高齢世帯ほど「住民税非課税世帯」が増加傾向に
厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」を基に、住民税課税世帯の年代別割合を確認してみましょう。
年齢によって課税・非課税の構成が大きく異なる実態が見えてきます。
4.1 【住民税課税世帯の割合】
- 29歳以下:63.0%
- 30〜39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※ 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
※ 総数には、年齢不詳の世帯を含む
※ 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む
課税世帯の割合は、年齢が上がるにつれて低下する傾向が見られ、80歳以上では52.4%にとどまっています。
言い換えれば、高齢になるほど住民税が課されない「非課税世帯」の割合が増えていることになります。
5. まとめ
住民税非課税世帯に該当すると、国民健康保険料や介護保険料の軽減、国民年金保険料の免除・猶予、保育料や高等教育費の支援など、家計を下支えするさまざまな優遇制度を利用できる可能性があります。
国の制度に加えて自治体独自の助成がある場合もあり、確認しておいて損はありません。
一方で、住民税非課税世帯の判定基準は全国一律ではなく、世帯構成や年齢、収入の種類、住んでいる地域によって異なります。
2026年度は給与所得控除の見直しにより、給与収入の目安も変わっているため、これまで対象外だと思っていた世帯でも改めて確認してみる価値があるでしょう。
また、統計を見ると高齢になるほど非課税世帯の割合は高まる傾向があります。
年金生活に入ると収入水準が変わりやすいため、使える支援制度の幅も変わってきます。自分の世帯がどの区分に当てはまるのかを把握し、利用できる制度を見落とさないようにしておきましょう。



