4月は新生活が始まり、医療費や介護費など今後の支出を見直すタイミングでもあります。高齢期に入ると、年金収入を中心に生活する一方で、医療費や介護費の負担が徐々に増えていく現実があります。
実際、公的制度には年金に上乗せされる給付金や、医療費・介護費の自己負担を軽減する仕組みが複数用意されていますが、「申請しないと受け取れない制度」も多く、知らないまま見逃してしまうケースも少なくありません。
本記事では、高齢期に知っておきたい給付金制度と医療費・介護費の軽減制度を整理し、それぞれの対象要件や申請時の注意点をわかりやすく解説します。
1. 高齢期に知っておきたい給付金制度や医療費の軽減制度
高齢期の家計を支える給付金や医療費の軽減制度は、申請しなければ1円も受け取れません。「自分には関係ない」と決めつける前に、まず制度の内容と要件を確認しておきましょう。
1.1 年金生活者支援給付金
年金だけでは生活が苦しい方を対象に、年金に上乗せして毎月一定額が支給される制度です。
2026年度の基準額は以下のとおりです
- 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円(基準額)
- 障害年金生活者支援給付金:1級 月額7025円、2級 月額5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
老齢分の実際の支給額は保険料の納付済期間に応じて個別に計算されるため、基準額を下回る場合があります。なお、年金と同じ偶数月に2カ月分まとめて振り込まれる仕組みです。
対象者には毎年9月ごろ、日本年金機構からはがき型の請求書が届きます。返送しなければ受給できないため、届いたら速やかに手続きを行ってください。マイナポータルを使った電子申請も可能です。
一度手続きが完了すれば翌年以降は原則不要ですが、収入が増えて要件を外れた年は支給が止まります。
1.2 高年齢雇用継続基本給付金
60歳以降も働き続けているものの、再雇用後の賃金が大きく下がった方を対象に、その差を一部補う制度です。60歳時点の賃金と比べて75%未満まで低下した状態で働く60〜64歳の雇用保険被保険者が対象で、雇用保険への通算加入期間が5年以上あることが要件です。
支給率は賃金の低下率に応じて計算され、2025年4月1日以降に60歳に達した方の場合、低下率が64%以下のときに賃金の最大10%が支給されます。64%超75%未満の場合は低下率に応じて逓減し、75%以上では不支給となります。
1.3 65歳以降の離職時に受け取れる高年齢求職者給付金
65歳以上で退職した雇用保険の被保険者を対象に、一時金として支給される給付金です。
支給額は雇用保険の被保険者期間に応じて次の2段階に分かれます。
- 被保険者期間1年以上:基本手当日額×50日分
- 被保険者期間1年未満:基本手当日額×30日分
受給期限は、離職日の翌日から1年以内です。退職後にゆっくり手続きしようと思っているうちに期限を過ぎてしまう方が少なくありません。退職が決まったら早めに最寄りのハローワークで手続きを開始してください。
1.4 高額介護サービス費
介護サービスをたくさん使う月は、自己負担額が思わぬ高額になることがあります。そこで知っておきたいのが、払い戻しを受けられる「高額介護サービス費」の制度です。
1カ月に支払った介護保険サービスの利用者負担の合計が、所得に応じた上限額を超えた場合、申請によってその超過分が払い戻されます。上限額は世帯の課税状況と所得水準によって段階的に定められており、主な区分は以下のとおりです(2025年8月1日以降適用)。
- 生活保護受給者など:個人月額1万5000円
- 市区町村民税非課税世帯(年金収入等80.9万円以下):個人1万5000円、世帯2万4600円
- 市区町村民税非課税世帯(上記以外):世帯2万4600円
- 課税世帯(課税所得380万円未満):世帯4万4400円
- 課税世帯(課税所得380万円以上690万円未満):世帯9万3000円
- 課税世帯(課税所得690万円以上):世帯14万100円
対象となる費用は、介護保険サービスの利用者負担分のみです。居住費・食費・日常生活費、また福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担分は対象外となる点に注意が必要です。同一世帯内に複数の介護サービス利用者がいる場合は、全員の負担額を合算して上限額と比較できます。
手続きは初回のみ申請が必要で、市区町村の担当窓口(介護福祉課・保健福祉課など)に申請書を提出します。対象となった方には自治体から案内が届きますが、届いた案内をそのままにしていると受け取れません。

